プロ家庭教師 俵屋の日記

気になること あれこれ

わかろうとするんだけどこの文の意味がわからない

2012年08月08日 | 国語
ずいぶん時間が空いてしまいましたが
前回の続きです。

言葉の意味も調べたのにこの文の意味がわからん!というときには
習った文法を使いましょう。

例文として
  しかし、それが「中心」になってまた沈滞し始めると、また、「中心」でない部分に始まった
  新しいものが広がってきて、それにとって代わるー
という文を見てみましょう。

一文の基本的な骨組みは「主語ー述語」です。
それを探していきます。

探し方のポイントは「述語から探す」です。
日本語は、倒置や体言止めといった特殊な文でない限り、一文の最後に述語が来るからです。

という訳でこの文の述語は
「とって代わる」
ですね。

次に主語を探していきますが、よく「は」とか「が」がつくのが主語だ!
と覚えてしまう生徒がいますが、違いますよ。
あくまで「述語に対して何が(は)・誰が(は)」に当たるものが主語です。
例文では「何が(は)」とって代わるのか、ということです。
そうやって探すと
「ものが」
が見つかります。
「ものが」だけではよくわからないのでどんな「ものが」?と探すと
「新しい」「ものが」
だとわかります(これで2文節なので、本当は主部ですね)。

つまりこの文は
「新しいものがとって代わる」
という意味の文だとわかります。

接続語・独立語以外の残りの部分は「新しいものがとって代わる」を詳しくしているものです。
「どんな」新しいものなのか?「どのように」とって代わるのか?「いつ」とって代わるのか?
「何に」とって代わるのか?‥
それを見ていきます。

まず「何に」とって代わるのか、が一番気になりますのでそれを探すと
「それに」
ですね。これは指示語なので言い換えている元の内容を探します。
探す時の鉄則「すぐ前から探していく」を適用すると
「それが『中心』になってまた沈滞し始めると」だとわかります。

「それが『中心』になってまた沈滞し始めると」「新しいものがとって代わる」
という流れになっているのですね。

残った部分の「『中心』でない部分に始まった」は「新しいもの」を詳しくしていて、
「広がってきて」は「新しいものが」「広が」り→「とって代わる」という流れになっています。

「それが」も指示語ですが、指示内容は同じ文にはありませんね。
前の文から探すことになります。


一読して意味がわからない!というときには
このように「主語ー述語」を探すとよいでしょう。

読解

2012年07月12日 | 国語
「読解」とは読んで字のごとく「読み解くこと」です。
私の手元にある新明快国語辞典第3版では
「文章を読んで、その意味を理解すること」とあります。

国語が苦手な生徒のほとんどはこの「その意味を理解すること」ができていないのですね。

まあ、国語の読解問題は本文に書いてあることを質問してくるわけですから
「その意味が理解」できていればもちろん解けるわけです。

ではなぜ「文章を読んで、その意味を理解」できないのか?

そういう生徒のタイプのひとつとして
「字を読んでいる」ことと
「意味を理解している」ことの区別をつけていない(ついていない)、というのがあります。

よっぽど難しい漢字以外は皆「発音」ができるので
「字」だけを「発音」してそれで「読んだ」と思い込んでいるようです。
困りましたね。


このタイプの生徒にはまず
1:「。」までの一文の意味がはっきりわかってから次の文に進むこと(どうしてもわからない文はチェックして後で聞くこと)
2:普段使わない言葉は必ず全て辞書で調べること
という2つの指示を出します。

2つ目の指示は1つ目の指示を実行するために不可欠な行動なのですが(単語の意味がわからなければ文の意味をとることはできない)、
「分からない」言葉、としないのは「聞いたことがあるけど意味は曖昧、もしくは間違って覚えている」というものをなくすためです。

この癖が身につけば次の段階
「わかろうとするんだけどこの文の意味がわからない」に進めるのですが
ここがどうやら最初にして最大の難関らしくなかなか前に進めない生徒が多いです。

「字」だけを見てさーっと「読む」の方がはるかに楽で気分もいいですからね‥


次回は「わかろうとするんだけどこの文の意味がわからない」というのはどうすればよいのか!
をお送りします(予定)。



絶句

2012年06月25日 | 国語
高校生になった生徒は中学受験のときからの長い付き合いなのですが
そういえば中学3年間を通じて学校の授業で漢詩をやっていないことにふと気づきました。

学校の国語の教科書には普通に載っていたのですが
授業の古典では文法がメインで
『史記』なんかの本をもらったりしていましたが
公立の子たちがやる「絶句」「律詩」は全くやらずじまいで今高校生な訳です。

大学入試、特にセンター試験を見据えての教え方にはなかなか‥と思うところもありましたが
杜甫や李白の詩はやはり日本人の教養として知っておいてほしいですね。

そういえば私の高1のときのクラスメイトは
2年生のときに校誌に自作の七言絶句を投稿していたなあ‥
なんてはるかな思い出がよみがえってしまいました。


期末が終わったらちょっと特別授業をするとしましょうか。

お待たせしました

2011年11月09日 | 国語
すっかりほったからしにしてしまいました。



上の看板の文章を正しく直せ。

などと問題を出していましたが、出しっ放しでした。

特にどなたも覚えていらっしゃらないでしょうが
もしかしたらどなたかが待っていて下さるかもしれないので遅ればせながら解答を‥


この文章の述語は
    「お断りします」
ですので、主語は
    「誰が(は)」
になります。
断っているのはこのお寺さんですからこの場合の主語は
    「拙寺は」
あたりになるかと思いますが、こういう場合、日本語では主語は省きますね。
ですので後は目的語が必要となります(「何」を断っているのか?という部分です)。文章中を探すと
    「通行は」
になりますが、これには文頭の
    「参道を」
がかかります。これは目的語になっているのでかかる相手は動詞になりますから
    「通行は」→「通行することは」
と直します。そうすると更にこれにかかっていた
    「自転車での」
が繋がらなくなるので
    「自転車で」
と直します。
よって
    「参道を自転車で通行することは(を)固くお断りします」
となります。


何となく変だ、と思ったらそれは文法がおかしいことがほとんどですが
何回も読むうちに脳みそが慣れてしまって正しいと勘違いしてしまうことがあるそうです。

「自転車での通行」にこだわってしまったのでしょうか。

いっそのこと
    「参道内 
     自転車通行
     禁止」
とかにしてしまえばよかったのにね‥

久しぶりに

2011年09月21日 | 国語


文法のおかしな街の看板です。

ものすごく立派な置き看板、しかも参道の両端に置かれているのですが
もう少しきちんとした日本語を書ける人に検証してもらうべきでしたね‥

由緒のあるお寺さんなんですが‥

せっかくなので、問題にしましょう。

問:上の文章の文法の誤りを直し、正しく言い直しなさい。


答えは後日!

国語の時間

2011年05月10日 | 国語
20年近く家庭教師をしていますが、
ここ5-6年でしょうか、もっと前からかもしれませんが、
国語のできない子が多いような気がします。

私の受け持った子がたまたまそんな感じなのか、とも思ったのですが、
他の家庭教師の先生方も同じことをおっしゃっていたので
やはりそういう傾向にあるのだと思います。

私は中学受験生を中心に教えていて、
そうすると学年は小5・6がほとんどです。

まず漢字が書けません。
受験漢字ではなく、小1~小4で習うごくありふれた漢字です。
特に送り仮名のある訓読みの漢字はかなりやばいことになっていたりします。
そのため何年か前に、小学校の教科書に出てくる漢字を全て網羅したプリントを作ったのですが、
この間それをやった小6生(卒業したて。新中1生)は、ほとんど書けませんでした。

文章も読めないし、書けません。

読む方は、「読む」という作業が少なすぎるのが原因かもしれませんが、
「字を読む」と「文章を読む」は全く違うことだ、ということを知らないのが大きな理由のような気がします。

文章を書く方は、明らかに練習不足です。
学校で作文を書いてきていないのです。
夏休みの読書感想文も任意提出だったりします。


国語は全ての教科の根本です。
教え子にもよく言うのですが、
学校の勉強は教科書に書かれたものを理解し、使えるようにすることですし、
問題文の意味が分からなかったら、いくらテクニックを磨いても使えません。

作文を書くのは、自分の考えや思いを明確にし、
言葉に置き換え、論理的に伝える、という作業の練習です。
論理的な思考ができていないままだと、
例えば算数の文章題なんかはもうお手上げです。

私の授業では、必ず作文の課題を出します。
最初はものすごく嫌がって抵抗したりしますが、強制的にやらせます。
そうすると、だんだんきちんとした文章が書けるようになってきます。


読むのも書くのも、脳みそをきちんと使わないとできないことなので、やりたくない(面倒くさい)、という子が多いのでしょう。
しかし、嫌だからやらない、では上達はしない(現状のまま)、ということです。

願わくば、学校でもう少しやってもらえますように‥

白線まで下がって

2011年05月08日 | 国語



とある駅のホームにあった注意書きです。
でも何か変ですね。

言いたいことはわかるんだけど、なんかしっくりこない‥


これは「文がねじれている」のです。

文章の基本の骨組みはご存知のとおり 主語ー述語 です。
この短文の述語(部分)は「お下がり下さい」ですね。
それに対する主語は‥「乗車位置は」?
「乗車位置は」ー「お下がり下さい」‥みごとなねじれです。

「お下がり下さい」に対する主語は「誰が(は)」でないといけませんし、
「乗車位置は」を主語にするなら述語は「(名詞)です」でないとおかしいのです。

「乗車位置は足下の白線です」
「足下の白線までお下がり下さい」←主語をなくしました

短い字数に収めるのならこんなところでしょうか。


以前も、どなたかが書いていらっしゃいましたが、
こういうまちがった文が活字になっていることが最近多いです。

これからもねちねち探していこうと思います。