改正総一郎の外断熱・外張り断熱日記

断熱工事に関わって38年。
快適・健康・省エネ建築について探求し続ける日々の雑記帳。
建物の外皮性能、計画換気など。

外断熱改修による管理コストの削減

2010-11-29 17:59:22 | 日記
10月31日(日)に京滋マンション管理対策協議会分譲マンション管理組合の皆さんに
「外断熱改修による管理コストの削減」というテーマで
マンション省エネ改修提案をしました。

相模原マンション管理組合ネットワークの朝野会長が成功事例を話され
私は緑化を含めたエコ改修事例を紹介しました。

マンションは住民のコミュニケーションが活性化されないと
さまざまな問題が生じるものです。

コミュニケーションが不足すると建物の老朽化や住む人の高齢化が促進されます。
分譲マンションの賃貸化なども
マンションのコミュニケーションを阻害する要因になっています。

近所付き合いが面倒だからマンションがいいと言う人も多くおられると思うので
マンションでコミュニケーションを活性化するというのは
もともと難しい要素を持っているのかもしれません。

でも少なくともファミリータイプのマンションを購入するのなら
子供の教育や防犯の意味でもマンション内のコミュニケーションは必要になってきます。

住民が周囲や建物に無関心になれば
当然建物も老朽化や陳腐化が早くなるものですから。
そうなればスラム化・・・犯罪の多発となるのかもしれません。

近所付き合いが面倒な人は賃貸住宅か億ションを選択すべきなのかもしれません。

たとえば六本木ヒルズのマンションは断熱をほとんどしていないらしい。
住む人はお金持ちだから光熱費を考える必要がないらしい。

おそらく冬の夜にそんなマンションをを赤外線カメラで撮影したら
真っ赤になっているんでしょうね。クリスマスキャンドルみたいに。
場所もいいし住民もセレブな人が多いから
資産価値も落ちないでしょう。

話をセミナーに戻しますが
講師の朝野氏はマンション管理組合に「憲章」を作られており
住民の若返り化
建物の資産価値維持
二戸一、三戸一化
大規模改修スパンの延長
賃貸化を認めない
など
住民全員の共有財産であるマンションの維持費削減や
資産価値を維持させるために
さまざまな約束事を作られています。
それの大きな要素になるのが外断熱化。

二年前にも同じような企画で同じ場所でセミナーを行ったのですが
参加者の反応は
興味はあるけど、うちのマンションではでは無理かな
って感じでした。

今回は現実の成功例を聞いたので
質問も多く、終了後も多くの方が質問に来られていました。

朝野氏の話では
京都から相模原市まで管理組合でバスをチャーターして
見学に行きたいとの声もあったようです。




マンションの省エネ改修

2010-11-15 17:41:14 | 日記
 30日(土)に大阪市住まい情報センターで、
「マンションの未来を考える」というテーマの講演会がありました。
ヨーロッパ、中国、韓国のマンション事情解説されていました。
印象に残ったことは

①1960年代後半から70年代にかけて、
ロンドンでは高層マンションが数多く建設されていたが、
80年代に高層マンションの着工は激減した。
しかし2000年代に再ブームになっている。
・・・高層マンションは空き室が多くなったとき、スラム化する。
スラム化したらますます空き室が多くなり犯罪の巣窟になる。
だから最近は改修工事で一部の高層マンションを解体し、
中低層に建替え、緑化スペースなどを周辺に配置して
コニュニティースペースをとっているらしい。
そういえばドイツも移民などでマンションがスラム化し
コミュニティー施設を増やしたり
カウンセル室などを作ったりしているのを視察時に思い出しました。
日本も個人で分譲マンションを投資用に購入して
賃貸契約して貸し出しているマンションが多くなっているけど、
やはり同じような傾向があるらしい。
マンションの自治は住民のコミュニティーが重要になるようだけど、
日本は近所付き合いがわずらわしいから都市型マンションを購入する人が多いので、
コミュニティーを形成するというのはなかなか難しいかなあ・・・
まあ、ワンルームマンションはいいとして、ファミリータイプのマンションには
子供の教育の意味でもコミュニティーは大切にすべきですよね。
ロンドンで2000年代に高層マンションがブームになっているのは、
ベイエリアなどの景色がいいところに富裕層が購入しているらしい。

②パリは何百年も前から中層の集合住宅が発達しており、
現在は90%以上が集合住宅だとか。
しかも借家率が70%。14.2%が投資用マンション。築95年以上の建物が50%以上。
ある築125年のマンションで、
「古いマンションですね」
と住民に言ったら、
こんなのちっとも古くないよ、もっと古いのがいっぱいあるよ」
と言われたとか・・・。
講演者(京都大学大学院高田光雄教授同院生関川華さん)」談。
さすがにヨーロッパは建物を大事にするなあ。
「コンシェルジュ」という言葉を耳にしたり目にしたりするけど、
これは昔、区分所有者会などが雇った管理人のことで、
奴隷と言う意味らしい。だから最近ではガルディアンと言ってるらしい。
言葉だけでも歴史を感じてしまいますね。
ヨーロッパはパリに限らずだけど、建物を大事にする。
構造体(スケルトン)を残しながら老化した内装や設備(インフィル)を入れ替え
持続的にストック活用している。これからの日本もこうでなくちゃ。

③最近の中国のマンションの床面積は日本のマンションに近くなってきているらしい。
ヨーロッパもそうだけど、
世界中の皆さん、結構こじんまりとした空間に住んでるんですよ。
欧米の家は大きいと思いがちだけど、テレビや映画の世界の話で
案外世界の庶民の皆さんは質素なんですよ。

パッシブハウス見てきました

2010-11-08 17:30:53 | 日記
先月になりますが、27日と29日に茨城と横浜のパッシブハウスを見てきました。
茨城はパッシブハウスジャパンの森みわさんがアレンジして
地元の株式会社島田材木店さんが企画運営されているものです。
木造在来工法でドイツのパッシブハウス研究所の認定をとるのが前提になっているだけあって、完璧な断熱構造でした。
オーナーの島田さんも丁寧に説明いただき、
このジャンルの木造住宅を広めていこうという意気込みが感じられました。
まだ構造体組み立ての段階なのですが、
コストもかかっているようで、リーズナブルな価格にどうもっていくかが課題だなあと感じました。

横浜はパッシブハウスセンターの堀内氏がアレンジしたもので、
東京大学大学院の坂本雄三教授の助言で、国内調達できる材料で建設しているものです。オーナーのK氏や基本設計のI氏、計算は森みわさんとも懇意なドイツ人女性のKさんで
皆さんNPO法人外断熱推進会議(EIPC)のメンバーです。
私も懇意な方ばかりなのか、当社からは積水化学工業のフェノール断熱材「フェノバフォーム」を使っていただいてます。
熱交換換気システム「インベンター」も設置しており、これも関東以西でどんな反応があるかモニター販売中です。
建物はもう完成していて、K氏の案内で隅々まで見学してきました。
気になったのは西側の日射遮蔽です。
冬は西日を有効利用できていいのでしょうが、何らかの形で夏の日射遮
蔽をしないと暑すぎないのかなあ。機会があれば聞いてみようと思います。


このパッシブハウスには大手経営コンサルティング会社の船井総合研究所からF氏が視察に来られました。
中小の工務店や建築設計事務所に10年先を見つめた時流予測フォーラムを11月26日(金)に東京で開催します。
「住宅のゼロエネルギー化とマーケティング戦術」と題し
講師が近畿大学の岩前教授、EIPCの松尾和也氏です。
岩前先生は住宅の室内温度環境と健康障害について講演されると思います。
松尾氏は住宅でサスティナブル大賞を取った実績や
設計されてる物件のほとんどがサラリーマンでも購入できる価格で高気密高断熱住宅を供給するという経営哲学の元、中小設計事務所では異例の供給実績を今も作られています。
このあたりの考え方と、高気密高断熱住宅の設計手法などを話されると思います。
船井総研がパッシブハウスに注目し、近未来予測を立て松尾さんが実践的な理論を展開する・・・
関西で活躍する二人が近未来予測を裏づけを持って東京で発信するというのは、関西出身の私としては頼もしく思っており、応援しています。


巷ではパッシブハウスジャパンとパッシブハウスセンターの二つのコンサルタントがあってややこしいという意見もあるようですが、
新しいものができる過程では末端が混乱するのはある程度仕方がないことだと思います。パッシブハウスジャパンのホームページにはパッシブハウスセンターの堀内氏が事務局長をしているNPO法人外断熱推進会議(私も理事をしています)が相互会員で紹介されてますし、
NPO法人外断熱推進会議のホームページには相互リンク先にパッシブハウスジャパンが載っています。どちらもいいことを推進しようとしているわけですし、ドイツのパッシブハウス研究所の考え方に基づいてパッシブハウスを普及させようとしているのですから、あまり目くじら立てずに応援したいものですね