少年と金魚とビートルズ

息子の成長と、大好きな金魚とビートルズの話と、その他いろいろ。

⑩ランチュウ

2019-07-16 12:30:19 | きんぎょ図鑑


2019.08.19更新(画像追加)




ランチュウ / 蘭鋳 / Ranchu



(すみだ水族館にて撮影/2019.8)



金魚の王様とも称されるランチュウ。
ワキンの突然変異から生まれたマルコより
派生したランチュウは
背ビレのない丸い背中と
顔の肉瘤(にくりゅう)が特徴です。
尾ビレが小さく
泳ぎはけっして得意ではありませんが
この不器用な泳ぎも魅力のひとつです。

(アクアマリンふくしまにて撮影/2019.6)



日本最古の金魚飼育書とされている
1748年刊の「金魚養玩草」(きんぎょそだてぐさ)に
すでに「卵虫」と記載されています。
ただ、当時のランチュウは
現在のように肉瘤は発達していなくて
「マルコ」と呼ばれるランチュウの原始となる金魚でした。
マルコ自体は江戸時代にオランダ人によって
中国から長崎の出島に持ち込まれたようです。
幕末以降
愛好家たちのよって改良が重ねられ
現在の肉瘤の発達した
いわゆる獅子頭ランチュウが生まれました。

寛延元年(1748)年出版「金魚養玩草」
(国立国会図書館デジタルコレクションより)




明治時代「博物館魚譜 金魚」
(東京国立博物館デジタルコンテンツより)



ランチュウは
いまだに品種の安定が難しく
交配するたびに
背ビレを生やそうとする傾向があるそうです。

元来、金魚は
真上から眺める上見(うわみ)で
楽しまれてきましたが
特にランチュウは
それが重んじられる品種でもあります。

(水元公園金魚展示場にて撮影/2018.10)








エドニシキ / 江戸錦 / Calico Ranchu


ランチュウと東錦との交配によって
作られた品種です。
ランチュウと同じく
背ビレのない丸い体と
顔の肉瘤、
そして雑色モザイク透明鱗が特徴です。

(アリオ西新井店にて撮影/2018.10)







染谷知孝ウェブサイト「金魚スタジオ




⑨ハナフサ

2018-11-19 14:26:33 | きんぎょ図鑑
2018.11.20更新(加筆)
2018.11.21更新(加筆・修正)



ハナフサ/花房/Pompon


鼻水ドバー(>3<)/
(すみだ水族館にて撮影/2018.9)


鼻孔摺(びこうしゅう/鼻ヒゲ)が
房状に肥大化した中国原産の金魚です。




鼻房の形が花の形に似ているので
「花房」という風流な名を付けられました。
毛糸を丸めたもののようにも
チアガールのポンポンのようにも見えます。
英名もそのままPompon。



背ビレのないランチュウ型を「中国花房」
背ビレのあるオランダシシガシラ型を「日本花房」と呼びますが
通常、“ハナフサ”と言えば
前者のランチュウ型を示します。

明治30年頃まで日本・伊勢地方に
オランダ型の花房(伊勢花房/イセハナフサ)があったため
背ビレのある花房を日本花房と呼び区別しています。



伊勢花房は
鎖国時代に琉球を経て九州や四国に来た
オランダシシガシラを繁殖する過程で
突然変異のものから作出されました。
一度、絶滅していますが
熱心な愛好家や養魚場の努力によって
再現されているようです。

市場に出回っているハナフサは
ランチュウ型もオランダ型も
ほとんど中国のもののようです。

(水元公園金魚展示場にて撮影/2018.10)
展示池の立派なハナフサたち。



飼育池のハナフサの子供たち。


染谷知孝ウェブサイト「金魚スタジオ



⑧チョウテンガン

2018-10-21 11:55:33 | きんぎょ図鑑
チョウテンガン/頂天眼/Celestial Eye Goldfish


これは何かの冗談か??

(すみだ水族館にて撮影/2018.9)


その姿かたちの斬新さは
スイホウガンの上を行くのではないでしょうか。

(チョウテンガン)

(スイホウガン)


赤デメキンの突然変異から
作られた金魚です。
そう言えば、見馴れたデメキンだって
ものすごい顔ですよね(^^;
スイホウガンと同じく
やまと錦魚園が昭和30年代初期に
国交がなかった中華人民共和国より輸入し
繁殖に努力して
日本式(郡山式)養殖方法によって
大量生産に成功しました。

(すみだ水族館にて撮影/2018.9)

(水元公園金魚展示場にて撮影/2018.10)



中国が誇る宮廷金魚のひとつで
深い甕(かめ)に入れて
上からのわずかな光の中で
徐々に目が上を向くようになった…
という伝説があるそうです。

(すみだ水族館にて撮影/2018.9)


目が前向きな子(*^^*)


こんなに
おめめパッチリなのに
視力はほとんどないそうで
なんだかかわいそうに思いますが
よろよろと不器用に泳ぐ姿が
なんとも愛らしく
ユーモラスな目玉には
表情が感じられます。

(すみだ水族館にて撮影/2018.9)





染谷知孝ウェブサイト「金魚スタジオ




⑦スイホウガン

2018-10-11 11:52:40 | きんぎょ図鑑


2018.10.19更新(画像追加)



スイホウガン/水泡眼/Bubble-eye


冗談みたいな顔のスイホウガン。

(すみだ水族館にて撮影/2018.9)


その名前から
大きな袋の眼と思いがちですが
その袋は眼球の角膜※のみが膨大したもの。
中身はリンパ液だそうです。
(※注釈:本によっては角膜ではなく
結膜が膨れたもの…という記載もあります)
英名もズバリ、“バブルアイ”。

袋の眼というより
ほっぺたを膨らませたような姿が
とても愛くるしいスイホウガン。
非常に危うそうな水泡ですが
実は結構丈夫な上皮で覆われていて
簡単に潰れるものではありません。
むしろ眼のまわりのクッションになり
出目金より丈夫で
輸送にも強いんだとか。

(すみだ水族館にて撮影/2018.9)



この水泡が傷つけられて小さくなったり
また水泡の出が悪かったりすると
ハマ・トウ・ユウイという魚とそっくりなため
日本名で「ハマトウ」と呼ぶこともあります。
ハマ・トウ・ユウイは
スイホウガンの原型とも言われる中国宮廷金魚で
長い間、門外不出とされていました。
スイホウガンより水泡が小さく
頭の形がガマガエルの頭に似ています。

(水元公園金魚展示場にて撮影/2018.10)



“金魚のふる里”奈良県大和郡山市の
やまと錦魚園が昭和30年代初期に
国交がなかった中華人民共和国より輸入し
繁殖に努力して
日本式(郡山式)養殖方法によって
大量生産に成功しました。

(すみだ水族館にて撮影/2018.9)



日本におけるスイホウガンは
体型が徐々に固定化され
体が丸みを帯び背中がきれいで
ランチュウよりやや長い体型をしています。

(すみだ水族館にて撮影/2018.9)



スイホウガンは
上見(うわみ)で観賞すると
その愛くるしさが引き立つかもしれませんね。

(東京タワー水族館にて撮影/2018.4)







染谷知孝ウェブサイト「金魚スタジオ





⑥ワキン

2018-10-04 13:02:08 | きんぎょ図鑑


2018.11.19更新(加筆)
2019.02.19更新(画像追加)
2019.04.20更新(加筆)



ワキン/和金/Common goldfish


(すみだ水族館にて撮影/2018.9)



金魚すくいでもお馴染みのワキン。
私たちにとって
最も身近かで親しみのある品種です。
金魚の歴史のなかで一番古いワキンですが
いつの時代も愛され続けています。

(すみだ水族館にて撮影/2018.9)





「和金」という名前から
日本生まれのようですが
実は中国から渡来した最初の金魚。
チンユウイ(金魚)という中国での呼称を
和訓読みしてコガネウオと呼んだり
単にキンギョと呼んだりしていたところ
他の金魚がどんどん移入されるようになり
その金魚たちと区別するため
一番最初に日本にいた金魚ということで
「和金」と名付けられました。

(すみだ水族館にて撮影/2018.9)


胴長の体型と小さな頭部、
各ヒレが短いのが特徴です。
尾ビレは
フナ尾、三ツ尾、四ツ尾などがあります。

(すみだ水族館にて撮影/2018.9)





ワキンは
ヒブナが変異し、そのまま固定された品種です。

ヒブナ
(すみだ水族館にて撮影/2018.9)




このワキンを元に多くの品種改良が行われ
多数の品種が作出されています。
海外では金魚の基本形として
「コモンゴールドフィッシュ」の英名が付けられています。

時を越えて
人々を魅了し続けるワキン。
たくさんの品種が作られた今現在でも
観賞美の追求が続けられています。


ジキン/地金

江戸時代初期
和金からの突然変異によって
作り出されました。
尾張藩士の天野周防守が
尾ビレが立ち上がった魚を淘汰選別し
固定化したといわれています。
以降、名古屋地方で
飼育され続けてきた地金魚(土地の金魚)で
昭和33年に愛知県の天然記念物に指定されています。

魚体が白で
口と各ヒレの6箇所が赤い
“六鱗”と呼ばれる配色が特徴です。
特に、白地を雪のように真っ白にするために
生後退色し始める頃に
酸によって鱗の色素を取り除いたり
鱗をはがして色素細胞を取り除いたりして
真っ白さを人工的に調節します。

体つきは和金型ですが
後ろから見たときにX型に見える、
くじゃく尾を持ちます。
この尾形は
中国金魚にも類を見ない
特殊なものです。

(水元公園金魚展示場にて撮影/2018.10)







染谷知孝ウェブサイト「金魚スタジオ