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蕎麦屋帳

蕎麦屋帳更新記録

抜き

2008-12-25 07:30:27 | Weblog
天ぬき、鴨ぬき、とは。

下戸は、蕎麦屋で酒を飲むこともないし、
蕎麦屋の肴を食したことがない。
たまに、玉子焼きや地の漬物でもあれば
注文するくらい。
したがって、酒の肴の良さはわからないので、
語るのはやめにしておく。

蕎麦屋酒の話で肴のなかに、
天ぬき、鴨ぬきというのがでてくる。

天麩羅そば、鴨南蛮そばなどの蕎麦のない
具と汁だけのものだそうだ。

山口瞳(サライ編「蕎麦屋で酒を飲む」によれば、ヌキで飲む達人)の

「酒食生活」

角川春樹事務所
グルメ文庫
2005/2/18 第1刷



に「浅草 並木の藪の鴨なんばん」というエッセイが収録されている。
その一部。

『並木の藪へ行くと、それが冬時分であったら、
まず鴨なんばんのソバ抜きを注文する。これを鴨ヌキという。
春とか秋とかには、天ぷらそばのソバ抜き、つまり天ヌキを頼む。
黙っていても酒が出てくる。「蕎麦屋の酒が一番うまい」のだから仕方がない。
並木の藪は菊正宗の樽酒だ。ツキダシは固く練ったミソ。
鴨ヌキで飲む酒がいい。
スープで酒を飲むのがもっともうまいし、体にもいいと私は信じている。』

というのだ。
酒の肴にどうかといわれても、コメントする資格はないが、
子どもの頃から、うどんやソバのかけの麺を食べ終わったあとで
飲み干す汁の美味さは、なにものにも代えがたいと思っている。
私は、麺を食べる前に飲むすんだ汁の味よりも、
麺を食べ終わった後に飲むにごった汁の味が好きだ。

が、酒には、澄んだスープが合うのかも知れない。

天ヌキ、鴨ヌキといっても、ただ麺を抜くだけではなく、
だしでのばして、吸い物にして出すので、飲みやすく、
「スープの油が胃壁を覆うので悪酔いしない」のだそうだ。

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