不動産よもやま話

不動産仲介会社の社員が不動産にまつわるちょっとお役に立つ表の話から裏話まで(!)綴ってまいります。

古い中古住宅の調査に行ってきました(その2)

2006-09-13 11:27:32 | Weblog
前回の続きです。

10:00頃

富里市役所につきました。
都市計画化~用途地域・建ぺい率・容積率等を確認する~
まず、都市計画課につきます。都市計画とは市役所がその地域を住宅街にするのか、工場地帯にするのか等を検討して定めるのですが、その定めに従って、建築物の制限に関連してゆきます。たとえば、住宅しか建てられない地域だと知らずに、工場建設を目的に土地を購入してしまうと、当然工場の建設は認められないので、購入者は大変な損害を被ります。そうならないように、取引の対象となる物件の所在地の都市計画を確認します。
確認したところ、この物件は市街化調整区域にあることがわかりました。市街化調整区域とは自然のまま残そうと決めた場所で、住宅などの建築物は原則として建築を認められません。ただ、いくつか例外もあって、都市計画で市街化調整区域と定められる前にすでに住宅があったような場合は、既存建築物の面積の1.5倍以内のものなら建築(再建築)OKなどの救済措置があります。
~道路維持化~物件が接している道路を調べる~
物件が接している道路が国や県、市町村が所有管理している公道なのか民間人が所有管理している私道(「わたくしどう」と言うことが多いですね。「しどう」というと市が管理する「市道」と区別がつきにくいですから。業者同士や役所の人と話をするとき「市道」の場合も区別するため「いちどう」ということが多いです)。
市役所の人に聞くと「その道路は市道です」ということですので、市道の管理番号を教えてくださいと言って、番号を聞きます(万が一間違いがあっては大変なので念のため聞いておきます)。そして道路の幅などを測定したときの図面をいただいて後にしました。不動産の購入に際してその土地が接してる道路の幅がどのくらいあるのかは大事なポイントです。例えば、4メートル幅ですと、クルマが1台停車していたら、もう道路一杯になってしまいますが、6メートル幅であれば、止まっている車の脇をもう1台すり抜けて行くことができます。
そうそう、市街化調整区域の場合も、今回の物件のように将来の建築が実質的に可能なエリアの場合は、建築の場合の建ぺい率、容積率も確認しておきます。今回はそれぞれ60%、200%とのことでした。

建築指導課
建築指導課にゆくと、接している道路が建築基準法でどういう位置づけになっている道路なのか確認することができます。また、取引の対象となっている物件の周辺で建築確認申請があるのかないのかを確かめることができます。たとえば、取引対象となる物件のすぐ南側に何らかの建物が建築される計画がある場合、事前に買い手にお伝えしないと、トラブルになってしまいます(日当たりに影響がありますでしょう?)

下水道維持課
それから下水道の管理をしている課に行きました。取引対象となる敷地のそばに本下水道が来ているのかどうかを確認します。もし来ているのであれば、それがどこを通っているのかを確認します。下水道が前面の市道を通っていて、そこから直接取引き対象となる敷地に接続することができるのであれば問題はありません。しかし、物件との位置関係によっては他人の敷地を通らないと接続できないような場合があります。こういう場合は、その敷地を通してもらう方の承諾が必要になりますし、それに伴って謝礼などの費用負担が発生することがあります。こんかいの物件の場合は市街化調整区域であるため下水道はありませんでした。そのため、個別浄化槽を各戸で用意することになります。ちなみに、市町村によって違いはありますが、個別浄化槽の新規設置や交換などに際して助成制度があることが多いと思います。

固定資産税課
不動産の売却依頼をいただくときに交わす契約書に「固定資産税評価証明書・同公課証明書の取得を委任する」という条項を盛り込んでいますので、不動産所有者の個人情報になるそれら証明書を取得することができます。建物の謄本はなかったのですが、固定資産税は請求されているのだから市役所は把握しているだろうと思ったのですが、やっぱりありました。しかし、職員さんも30分くらいかかってやっと見つけました。今回の物件が建築されている40戸ほどの住宅地は1筆の土地を開発業者が区画割りしたものですが、今回の物件は、その最初の1筆の土地の上に
建築されていることになっているそうです(いまはその最初の1筆の敷地は細かく分割されています)。私には始めての経験でしたが、今回の売却に際してはここを改めて次の買い手に引き渡すことになるでしょう(この情報をもとに再度法務局に行って建物の謄本を取得して裏をとります)。

市水道部
水道については市役所とは別の場所にある市の水道局に行かないとわからないので、そこまで移動して確認します。確認の要領は下水道のところと同じです。

続く