カメラでセカイの景色は変わるのか?

「○○食堂 ギョーザ定食がお勧め。モッチリとした食感が最高です」
先日、リリースされたセカイカメラをその日から使っています。世界中が注目していたソフトウェアで、期待の方が大きくなりすぎている気もしましたが、最初に使った感想は「面白い!」の一言でした。
昨年のサンフランシスコで、頓知・(とんちどっと)という会社が発表したセカイカメラは、大きな反響を生みました。まるでSF映画に出てくるように、現実世界にデジタル情報を表示した映像に多くの人が熱狂したのですが、同時に商品化は不可能だとかペーパーウェア、つまり机上の産物だといった批判も起こりました。
セカイカメラは、街中に張られた情報(この情報を張られたものはエアタグと呼ばれる)を見るだけの道具ではありません。誰もが自由に書き込め、誰かが書き込んだものは誰でも見る事ができるのです。そんなことをiPhoneのような、非力なデバイスだけで実現できるとは考えにくかったのです。そのため期待と不安が入り混じっていたのですが、とうとうリリースされたわけです。
このような世界は、アイデアとしては古くからありました。セカイカメラを説明するのに、アニメ「電脳コイル」が用いられることが多いようですが、他にも1984年の映画「ターミネーター」でも、ターミネーターの視界にはさまざまな情報が表示されていましたから、これも同じような発想だと言えるでしょう。SFの世界で行なわれていたことを、このアプリが実現したというわけです。
すでに商用利用の導入も決まっていて、お店のブランドバッグ商品にタグをつけて商品を紹介するといったサービスや、タイムバーゲンなどの情報をエアタグに張り付けるといった試みもなされているようです。以前、美術館の案内にニテンドーDSが使われたことがありますが、同様の使い方も可能で、順路を表示したり展示品の解説を載せることなどが可能になります。しかし使い方はアイデアしだいで、どんどん発展していくと思います。
気になるのは、誰もが書き込めるということで、不愉快な書き込みも増えると思われることです。時々、ストーカーが対象者を貶めるビラを街中に貼ることがありますが、セカイカメラなら肉眼では見えない誹謗中傷を街中に貼ることが可能になります。気がついたら、自分の家に罵詈雑言のエアタグがついていたなんてこともありえます。街中がネットの掲示板のようになる可能性も秘めていますので、利用する側のマナーも問われると思います。
それからiPhoneを使って景色を眺めるという行為が、周囲から見ると奇異に見えるようで、私が面白がって街中でiPhoneを使っていると「コイツなにやってんだ?」的な白い目で見られる事もしばしばで、客観的に見るとかなり変な奴になっているようでした。将来的にはメガネ型のスカウター(ドラゴンボールに出てきたアレ)みたいな形になった方が、見た目にも使い勝手的にもいいのかもしれません。
セカイカメラは世界を変えるのか?今後の展開が楽しみでもあります。