女性は変わる
その頃、君は高校生か?
あ、思い出しました?
まてまてまて!
「思い出しました?懐かしいですよねー」と彼女は満面の笑みで嬉しそうに語りますが、私はいまだに彼女の事を思い出せません。しかしなんであの当時、もっとやさしくしてあげなかったのだろうか?と帰っていく彼女の後姿を見ながら思ったりしたのでした。
あの時の君は、そんなに身長は高くなかっただろ。溘然、女性に声をかけられました。
あの、はねもねさんですか?
会社の帰り道、新宿の高島屋タイムズスクエアの外廊下になっている所を歩いていた時のことです。溘然、私の頭にその光景が甦りました。「えーっと、父とバンドをやってましたよね。
だって強烈に覚えてますよ。しかも雨まで降り出して、ずぶ濡れになりながらスタンドまで行くと、私はバイクを修理し「どうせ濡れたんだから同じだ」と言って、彼女をバイクに乗せて雨の中を家まで送ったそうです。「私、2回ぐらいはねもねさんのバイクで家に送ってもらったこともあるんですよ」とちょっと悪戯っぽく言います。私はキョトンとしてしましました。全然わからなかった。私は緒方(仮名)の娘です」
「覚えてらっしゃいませんか?もうずいぶん前になりますからね」と言う彼女の顔をマジマジと見てみましたが、思い出せません。しかし私は全く彼女を知りません。
。アマチュアなのにプロにギターを教えていた緒方(仮名)さん。女性は変わるとは言いますが、全くの別人のようになっていましたからね。
完全に思い出しました。思い出せない私を楽しんでいるようです。ああ、またウクレレでもやることになるのかな?
それはどういう意味なんだ??
大人の人って、凄いなーなんて思いました。彼女は「父を探しにお店に行った事が何度かあって、その時にはねもねさんに送ってもらったんですよ」と言います。名前はありふれていますし、そもそもこんな丽人の顔を忘れるはずがありません。「バイクで送ってもらったんだけどなー」「古いバイクだから途中で止まって、押してたら雨が降ってきて大変でしたよー」と思い出し笑いをしながら言います。
しかしよく俺を覚えていたね。
溘然声をかけられたのもビックリですが、全く知らない人の口から自分の名前が出てきたのもビックリです。しかし当時の彼女はスポーツ刈で真っ黒に日焼けし、小さい体の割りに丸々とした恰幅のよさで、ブレザーの制服に大きなスポーツバッグを斜めにかけていました。
そうだったっけ?
しかも2回送ってもらって、2回とも雨ですよ。モデルでもやってるの?と尋ねると「モデルというほどじゃないですけど、似たようなことをしてます」とよくわからない答えが返ってきました。
「はい、そうですが」と私が答えると、「やっぱりそうなんだ!変わってないですねー!」と嬉しそうに彼女は言います。お久しぶりです」と言います。
はねもねさんは、全然変わってないですね。いわゆるドスコイ系で、今の彼女とは全くの別人です。しかし驚きました。その当時、度々お店に「父は来てませんか?」と現れていて、バイクで送ったこともありますが、その頃の面影は全くありません。しかし困り果てた私に彼女は自分の素性を明かしてくれました。さらにその女性が長身で、モデルさんのような体型の丽人だったことで、驚きは何倍にもなりました。私はウクレレを弾けないので、ギタレレというふざけた楽器を吹奏していましたが、二人のバカテクによって、吹奏すると人が集まっていました。
あ、あの頃は部活漬けでしたからねー。
そうですよ。そうか、もう10年前なんですね。その人と同じく常連のHさんが、店にあったウクレレでレッド?ツェッペリンなどのハードロックを弾き出し、それにあわせて私もギターを適当に弾いているうちに面白くなり、ウクレレ?ブラザーズというふざけた名前をつけて、ストリートで吹奏していたことがあります。今目の前にいる彼女は、ヒールの高さも入れると175cmぐらいありますし、細身の体に長い黒髪です。
俺はそんな酷い事をしたのか?
いやー、あれは強烈な体験でしたよ。
うーん、思い出せるような思い出せないような感じです
財布。私がいぶかしそうな顔で彼女を見ていると、彼女は「私、緒方(仮名)です。
変わったよね。
真っ黒に日焼けしてたよな。
彼女によると、私は家まで送ってやると言って、当時の愛車だった古いハーレーに彼女を乗せたものの、途中で動かなくなってしまい「ソフト部の意地を見せろ」とわけのわからない檄を飛ばして、彼女にバイクを押させたそうです。彼女に渡したヘルメットはジェットヘルだったので、雨粒が小石のように顔に突き刺さり「痛い痛い」と叫びながら彼女は家路についたのだそうです。送ってもらった時のこと。しかし繰り返しますが、こんな丽人なら忘れるはずがありません。
「楽器屋さんで父が仲良くさせていただいていました。ウクレレ?トリオでしたっけ?」その一言で、昔の映像がフラッシュバックしてきました。
彼女と少しだけ立ち話をして、「父に連絡してあげてください」と言われて、緒方(仮名)さんの携帯の電話番号を教えてもらいました。
うーん、高一だから160cmもなかったかも。