三洋電機が来月から発売する米粒からパンを焼けるホームベーカリー「GOPAN(ゴパン)」は、大きな反響を呼んだ。 「世界初の画期的なベーカリー」。6月22日、大阪市内で開かれた三洋電機の定時株主総会で、佐野精一郎社長は未公開だったゴパンについて異例の言及をした。 「当社は特徴ある商品を生み出す技術力を保有している。パナソニックグループの中でも十分に生かしていく」 三洋はパナソニックの子会社となった昨年12月以降、デジタルビデオカメラ「ザクティ」、充電式乾電池「エネループ」で、これまで経営難から控えてきたテレビCMを再開するなど、積極的な事業運営を繰り広げていた。 「子会社化されてものみ込まれるな」。朝礼で三洋の社員が幹部から聞かされた言葉で、ゴパンの商品化にみられるように、子会社化が決まり士気はむしろ高まっていた。ある30代の男性社員は「創業時のかかわりが深いといっても、パナソニックはライバル。その気持ちは変わらない」と強い口調で言う。 佐野社長がパナソニックの大坪文雄社長から完全子会社化の意向を告げられたのは、株主総会の直後。佐野社長は「60年以上続いたSANYOブランド激安が消えていくのは寂しいが、商品に費やしてきた気持ち、技術は拡大していける」と説明した。 岩井証券の有沢正一イワイ・リサーチセンター長は、佐野社長の決断を評価する。「海外では日本人が思っている以上に日本メーカーのブランド激安力は弱い。国内が一丸とならなければ外国勢に勝てない」 9月2日、大阪市内で三洋が開いた販売店向けに新製品を紹介する展示会。担当者がふと「これが最後になるかも」と寂しそうに漏らした。約15年前から三洋製品を主に扱ってきた大阪市内の店主(58)は「パナソニック製品を売れるなら品ぞろえも広がる。でも、本当にパナソニック製品を回してもらえるのか」と懸念する。 同じく完全子会社化が決まったパナソニック電工の長栄(ながえ)周作社長は「社員には『新生パナソニックの一員になる』という希望の一方で、『先がみえない』という不安がある」と語る。 経営の神様と呼ばれたパナソニックの創業者、故松下幸之助氏は乾電池などの事業を買収する際、相手から学ぶ姿勢を失わず、信頼を得たとされる。 環境革新企業の実現にむけ、新生パナソニックが成長戦略を実行できるかどうかは、新たにグループに加わる社員の心をつかめるかにかかっている。
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