比較的平なリム形状で、エッジもシャープに立っていて音の輪郭がハッキリ出ます。このようなリム形状のマウスピースはリップスラーなどの柔軟性に欠ける傾向にありますが、Heritage 10CSはリップスラーも容易で柔軟性があります。やはり僕の唇には平なリムでエッジがしっかり立っている形状の方が合っているようです。平なリムは高音演奏時に唇の安定感があり、安心して高音を当てる事が出来るということと、バテにくいですね。
リム形状といえば、ヘリテージシリーズは極薄リムが最大の特徴で見た目のインパクトが強烈ですが、

実際に吹いている時には極薄リムあることは全く感じられず、非常に心地良い吹奏感です。リムを極薄にした代わりにカップ下部の肉厚を厚くすることにより(ヘビーボトム)、極薄リムで反応を良くしつつヘビーボトム部で力強い太い音色になるというデザインコンセプトらしいです。この極薄リムの発想は19世紀に主流であったマウスピース形状からヒントを得たそうですが、そういえば何かの資料の写真でヘリテージのような極薄リムのマウスピースを見た記憶があります。確かサックバットのマウスピースは極薄リムのマウスピースでしたね。Heritageの意味は、「先祖伝来のもの」「(文化的)遺産」ということで、なるほど上手いネーミングですね。
実は大分前からヘリテージシリーズは気になっていたのですが、やはり極薄リムの特徴的デザインが引っかかって試すのはずっと躊躇していました。カップ下部を肉厚にしてあるということで、その形状だけを見て、ヘビータイプ(重量系)マウスピースなのか?と勝手に想像していたのですが(これも敬遠していた理由のひとつですが)、実際に重さを測ってみると、Heritage 10CSはなんと112gの超軽量マウスピースであることが判明。Marcinkiewicz ET2も随分軽いと思っていましたが(120g)、ET2よりも8g軽いんですね。しかしながらDenis Wick Heritage 10CSは軽量マウスピースを吹いているような感覚は全く無く、かなりしっかりとした吹奏感です。音色傾向としては、ヘビータイプ(重量系)マウスピースのようなパワー感がありつつも、非常に反応が良く軽快に吹ける感覚があります。まさに「極薄リム + ヘビーボトム」のデザイン形状そのままの音響効果が出ていますね。
この6日間使ってみた感じでは、いつまでも長く楽器を吹いていたいと思わせる程の心地良さがあり、大変気に入りました。とはいえ、Marcinkiewicz ET2の時と同じように、最低でも半年間は使ってみないと、本当に自分に適しているかどうかの判断は出来ないので、また半年後に報告したいと思います。
