インターネットの憂鬱

仮想空間と現実の狭間で

世の中はスピード勝負ですw

2012年05月03日 | 雑感

例えば工務店などに、見込み客を紹介してくれるビジネスがある。
このビジネスは、有名無名の色々な情報企業が行なっているようだ。

単価は高い(と、思う)。一件につき紹介料は7,000円~1万円だ。
で、契約した途端、どこにこれほど見込み客がいたのかという勢いで、毎月何10件も紹介してくる。
紹介料の支払いは数10万になるわけだが、成約できればとりあえずはペイできると
経営者は思うだろう。「だって見込み客がこんなにいるのだから…」

さっそく、期待に胸を膨らませながら、電話営業を開始する。
電話に出ない。話を切り出した途端、電話を切られる。あきらかに不快な様子で断られる。
まともに話を聞いてくれる相手がほとんどいない。ここで、経営者はうろたえ始める。
「時間帯が悪かったのか」、「トークの方法が間違っているのか」、「じゃあもう一度…」と
再度トライしても結果は変わらない。

それなら、今回のリストが悪かったのだろう、違う業者のリストなら変わるのではないかと。
もう一度、苦しい資金繰りの中から、紹介手数用を払ってリストを購入する。
しかし、奇跡は起きなかった。反応は前回とほとんど変わらない。名乗っただけで、ガチャリと電話が切れる。
頭から水を浴びせられたような事態に、経営者は途方に暮れるだけだ。

結局、100件近い見込み客のリストを手に入れたが、成約はゼロだ。

それなりに実績があり、販売内容にも特徴がある工務店なのに、成約できなかったのはなぜか?

考えられる大きな理由は、紹介された見込み客が、実は見込み客ではなかったということ。
どういうことかと言えば、まず、見込み客の絞り込みが完全ではないことが考えられる。
また、リストの情報の中には古いものがある可能性もあるだろう。さらには、内容を多少変更したリストを
同業他社や他業種も利用しているはずなので、見込み客は何回も営業をかけられてうんざりしているtか。
実際のリアクションでも、それがうかがえたという。そして、最悪、サクラがいておかしくない。

何しろリストの作成と管理は紹介会社が行なっているのだから、こちらはその実態を確認できない。
商業道徳に基づいて誠実に行なわれているという前提で、リストを購入するしかないのだ。
しかし、なんでもありの世の中で、そういう善意に巡り会う方が難しいのではないかと私は思う、

では、信用できるリストはどうすれば手に入るのか……それを考えるのが私の仕事です。


ITだとか情報だとか、形のないもののやり取りほど、不確実なものはない。
見込み客リストだって、まず電話で営業。話が決まればメールで送信。それで終了だ。
どこに相手をチェックするタイミングがあるのか。ない。ないから、都合がいい。

売り込み先に、判断する材料も、考える時間も与えない。
これが情報ビジネスで“ボロ儲け”するための基本なのだ。

「限定100個」「先着20名様」なんて小売り販売の常套手段から始まって、「販売終了まで、あと何分」なんて
コンマ01秒単位で目まぐるしく動くカウンターを使う情報商材屋とか、インチキ全開である。
限定=プレミアム感だと、もっともそうに言うプランナーや評論家が多いが、大ウソだ。
あれは客を“焦らせて”、正常な判断ができないように仕向ける、ごく初歩的な方法なのだ。

そういうことで、情報収集や購入で失敗しないためには、“彼ら”の逆張りをすればいい。
つまり、最低限の時間をかけて、よく考えることである。それが不可能な話は疑っていい。

確かに、時間勝負の場合もあるだろう。ワンチャンスのタイミングを逃す場合もあるだろう。
でも、それならまた別の何かを探せばいいのではないだろうか。この世に「たった一つ」なんてものは
そうそうない。そんな時に、潜在的な焦燥感を煽ろうと「情報の速度ガ~」「市場の変化ガ~」という
得意の呪文を唱えるITバカがいても無視すればいい。

何かが速くなったところで、人間の歩く速度は変わらない。