「主要大学共通テスト利用入試志願者数ランク」をお届けする。大学入学共通テスト受験前に出願する「事前出願」を対象として、1月14日までに出願を締め切った大学を集計(1月24日現在)。共通テスト利用入試のみの志願者数なので、一般選抜全体のランキングとは異なる。
共通テスト利用入試は多くの大学が独自試験を課さず、共通テストの成績だけで合否が決まる。今回の集計には早稲田大・政治経済のように、共通テストと大学独自試験の成績を組み合わせて選抜する方式は含まれていない。
共通テストは、用意された解答例から正解を選択するマークシート形式だが、正答するためには思考力が求められる。例えば、2022年度に数学の平均点が大きく下がった。これは、問題文が長文化し、まず何を問われているのかを理解した上で問題に取りかかるという、数学力と国語力が問われる出題に戸惑う受験生が多かったためだ。
こうした高い思考力が必要となる問題は、一般的な私立大の出題傾向と異なる。共通テストを受けるには、私立大と異なる対策が求められることから、共通テストを受験する私立大専願層が減っているといわれる。
もっとも、国公立大の併願者が多いこともあり、難関・準難関私立大志望者の共通テスト離れは限定的。そのため、ランキングには難関・準難関大が並ぶことになる。
23年度の共通テストは、前年に大幅ダウンとなった数学の平均点が上がったこともあり、予備校が算出する5教科7科目の平均点は、文系が20点、理系が30点以上上回った。関係者はいう。
「事前出願の場合、共通テストの持ち点が分からないうちに出願する。共通テスト受験前は不安だったものの、平均点が上がったことで、安堵している受験生が多いことでしょう」
ランキング1位は東洋大。一般選抜全体のランキングでは、2位の法政大や3位の明治大などに及ばないが、共通テスト入試に限るとこれらの大学を抑えてトップだ。
4位以下は立命館大、立教大、日本大が続き、7位には22年度まで9年連続で一般選抜全体のランキングのトップを続けている近畿大が入っている。
ランク外の大学に注目すると、MARCH(明治大、青山学院大、立教大、中央大、法政大)の一角である青山学院大は、志願者1万444人で13位。関関同立(関西大、関西学院大、同志社大、立命館大)では、関西大が1万752人で12位、関西学院大が1万205人で14位、同志社大が9531人で16位となり、いずれの大学も前年を上回った。
志願者の増え幅から注目されるのは上智大だ。現時点で4462人から9881人に倍増、15位になった。この背景には、主に国公立大志望者を対象とした4教科型での選抜に加え、私立大専願者も受けやすい3教科型を新設したことがある。