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九月投句



刻告げる数多の椋鳥の仮の宿        摸楽宙
爽やかにカレースパイス2つ足す      摸楽宙
菊人形人に囲まれ香に酔いて        粒石
爽やかにゴールなき道仏彫る        摸楽宙
爽やかや希林笑顔の生き仕舞い       雅田如
ジャズを愛でノイズの LP 夜半の月     摸楽宙
椋鳥の群れても自在風を切り        粒石
頭を満つもさやかに忘る翁の朝       摸楽宙
病室へ目の合ふほどに小鳥来る       摸楽宙      
小鳥来る気配に笑顔交しけり        粒石
千枚田の畦道アート刈田原         雅田如
街路樹に椋鳥眠る都会っ子         里楽乃         
くれないを燃やして散るや曼珠沙華     粒石
散歩道金木犀のはしごして         里楽乃
退院日のタクシーの列涼新         雅田如
寝ておきてうたた寝て秋の長雨       里楽乃
さわやかな孫の笑顔の眩しくも       粒石
懐かしき顔無き駅や秋の風         里楽乃
爽やかや上着一枚肩に掛け         里楽乃
名月の近くに見えて二歩三歩        里楽乃
椋鳥の一揆の密談糞の山          雅田如
まだまだやまだこれからや大紅葉      変竹
大空を途方にくれて 秋あかね       変竹
吾亦紅芝生墓石にIOVEの文字        雅田如
しぜん体しみじみ生きて 天高し      変竹
満月に向って母さん逝きました       変竹
砧打つ手児奈の濡らす小袖かな       雅田如
妻病んで小鳥の声もいとをしく       粒石
駆けていく 少女爽やか風の中0      変竹
子椋鳥 絵本世界を彩りぬ         変竹

****白銀句会575分科会******

<川柳>
あの世から郵便配達 赤とんぼ          変竹林
人生はおもろいもんや 十六夜          変竹林
むく鳥や 人に恋して 嫌われて         変竹林
さわやかに生きるは難し 人生100        変竹林
生きていけケラケラ笑って 曼珠沙華       変竹林
息してる金魚は水中息してる           麻太郎
この呼吸意識させるは歌丸様           麻太郎
希林言う生きるも死ぬも是日常          麻太郎
本気度を互いに計る安倍プーチン         徹

<短歌>
自然体 しみじみ生きる 柿熟れて人みなやさし吾も優しき          変竹林
「独楽吟」身近にあるよ楽しみは 小さくたって特別でなくたって       変竹林
私が選ぶ それで私がつくられる だから私は行くこの道を          変竹林
試みに生きる支えの輪廻転生空飛ぶ天使か地を這う蟇か            麻太郎
同じ星見上ぐる君の闇深き瞬く星に思い放てよ                麻太郎
息かかるほどの丘上秋桜倒れしままの荒みし庭よ               麻太郎
人間を信じる狐その母の光と影の「てぶくろをかいに」            麻太郎
縄文期の土偶や土器の温もりに命託せし霊への祈り              麻太郎
       
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八月披講

       八月兼題 「走馬灯」「色なき風」(風の色 素風)

  天   蒙々と檸檬煌くランプの夜    里楽乃
なんとロマンチックな句だ。。中7に驚いて、下5で納得。ランプの光は檸檬だ。キャンプのテントの中だろうか。昔、志賀高原の発哺に仲間とキャンプしたことがよみがえって来た。漆黒の夜と満天の星(雅田如)

  天    走馬灯過去より未来知りたくて    摸楽宙
走馬灯に浮かびあがるのは過去、という固定観念を打ち破る斬新な感覚、ハッとしました。
先はどうなって行くのか?気になります(里楽乃)

  天    時代おくれの 男になりて夏終わる    変竹
昔から、今時の若い者はと言われてきたが、歌についてもテンポとリズムに乗れない。若者は将来そんなに早いテンポの歌を懐かしく思えるのか。なんて心配をするが、それは取り越し苦労。 その様になったらそろそろ選手交代か。 しかし「岸壁の母」はやっぱり良いモンだな~とつくづく思う(模楽宙)

  天   過呼吸に色なき風安堵かな    雅田如
些細なことにも一喜一憂に駆られる病む人の心情が伝わってきて、言葉を失う(粒石)

  天   向日葵のげらけらげらや大笑い    雅田如
ヒマワリのゲラゲラ笑い 特に晩夏の その下品なまでの 大笑い
ゆらゆら揺れて身をよじって笑ふ いいですね 笑いは命のモトだ(変竹)

  地   向日葵のげらげらげらや大笑ひ    雅田如
ひまわりを見ていると自然と笑みがこぼれる。あの底ぬの明るさと、エネルギー溢れる真黄の大輪の花を前にしては暗い顔などしていられない(粒石)

  地    卓袱台を叩く父居し走馬灯    雅田如
地震、雷……天災の次に怖い親父だが、末っ子の自分は、姉達の影に隠れて難を逃れていた。そんな親父もたまには大判振舞をした。その時の事はよく覚えていて懐かしい(模楽宙)

  地   唐黍や揃った前歯ショベルカー    里楽乃
赤塚不二夫さんの「おそ松くん」イヤミ氏が 突然 目の前に浮んできた
ショベルカー顔がトウモロコシを齧ってる もうゲラゲラ笑うっきゃない(変竹)

  地    青空に消えぬ哀しみ終戦日    粒石
どんなに青く澄んでいる空でも、いや澄んでいればなおさら、哀しみが重く浮かぶ。
戦争の酷さ、哀しさは忘れてはいけませんね(里楽乃)

  地   色なき風原爆ドームと鐘の音と    摸楽宙
季語の使い方に脱帽だ。平和のシンボルと言いながら今、世界に原爆が何万発とかあるという、全世界に向けた下5の平和メッセージが全世界に、地球に、大宇宙に響いてほしいものだ(雅田如)
 
  人   色なき風瓦礫を覆う砂紋かな    摸楽宙
下5の表現に自然界が為す冷酷な恐ろしさに脅威を覚える。そこには人間の力など入る余地のない世界だ。しかし、そこに詠者はあえて微かな抵抗の希望を見出そうとする気配を感じる。復興の力の雄叫びを(雅田如)

  人    生きてればいろいろあるさ花へちま    変竹
黄色く開いたへちまの花、風・雨・猛暑、色々あるよね。
それにも負けず実を結ぼう!(里楽乃)

  人    過呼吸に色なき風の安堵かな    雅田如
なんともすごい句だ。人は皆痛みを持っているが、他人には計り知れない。秋の風が深い慈しみを持って、いたわる如く(模楽宙)

  人   卓袱台を叩く父居し走馬灯    雅田如
昭和 あるいは大正 親父 卓袱台 と来れば 回想シーンの定番
ではありますが ちゃぶ台返し でなくて 卓袱台叩き 可愛い気(変竹)

  人   卓袱台を叩く父居し走馬灯    雅田如
且って日常的に見られた庶民の暮らしの一コマだ。
たしかに昔の父親は家長よろしく厳しかった。説教の前に拳が飛ぶことも珍しくなかった。今ではドラマの1コマだ。それにしてもなつかしい場面だ(粒石)

  佳作   卓袱台を叩く父居し走馬灯    雅田如
卓袱台も無い家がほとんどになりましたね。私もドラマやコントでしかお父さんが卓袱台を叩いたり、ひっくり返したりした姿は見たことがありません。
“昭和"ですね(里楽乃)

  佳作   貝塚の標新し昼の月    雅田如
長い年月を経て、貝塚がやっと陽の目を見た。というよりよくぞ見つけてくれたという感じか。季語が静寂と時の流れを表わしているかの様だ(模楽宙)

  佳作  貝塚の標新し昼の月    雅田如
「貝塚」の「しるべ」となると なんだか学術蒼然として 昼の月風
でも いま 縄文土器 土偶 が新しい "芸術"として 世界から注目されている(変竹)

  佳作  走馬灯過去より未来知りたくて   摸楽宙 
年経ると懐古趣味に傾くのかな と 危惧してたけど なかなかどうして
走馬灯絵柄の様なのは思い出したくもない 明るく 無意味な未来がいい(変竹) 

  佳作  ピアニッシモ色なき風の支配下に    摸楽宙
下五の表現が面白い、秋の到来をやさしく見守る自分、そして感じる繊細な気持ちの自分を自分の風として・・・・。講評を書いてる途中ですが、天地人にいれたほうがよかったかな(雅田如)。

  佳作  つまらん が胡坐をかいてる夏おわり    変竹
酷暑にひたすら耐える毎日、お面白お可笑しなこととは無縁の空間に一人つくねんとしている姿が目に浮かぶ。
秋も漸く手に届くところ迄来ている(粒石)

  佳作  時代おくれの男になりて夏終わる    変竹
時代の波の乗ってあれもこれもと便利な暮らしの中
己の考えで物事をすることが撃滅、めりはりの無い暮らしに気付く。時代おくれの男が今では自由闊達な暮らしを謳歌している(粒石)

  佳作  生きていればいろいろあるさ花へちま    変竹
何だか明日の朝が早く来ないかと思わせる俳句。
ラジオの深夜便のアンカーの一人が番組終了時に言う決まり文句「明日の朝は必ず来ます・・・・」これにひねくれ野郎は、「冗談じゃない ぽっくり病だってあるよ」とひとこと(雅田如)

  佳作  秋めくや夢で思わぬ人に合ひ    里楽乃
「お主、夢の中でも中々やるのを」
と一言言わせて頂く(粒石)

  佳作   押し押され踊らにゃ損々阿波残暑    里楽乃
今年の阿波踊りは中止が危ぶまれたが、なんとか開催する事が出来た。 やはり踊り子も観る方も、一緒になって浮かれるのが阿波踊りというものだ(模楽宙)

  佳作  走馬灯還らざる日々九十年    粒石
過去現在未来、本当によくぞ生きてこられた日々の暮らし九十年。言い尽くせない辛苦は本人にしか理解できない。せめて走馬灯に癒される自分の姿を肯定し受け入れておられるように思う(雅田如)

  佳作   青空に消えぬ悲しみ終戦日    粒石
幾百万の尊い命が失われ、終戦を告げられた。青空は明るい平和なイメージだが、人それぞれ思いがある。複雑な心境が伝わってくる(模楽宙)

  佳作   今年又八月の風慟哭す    粒石
年々夏の暑さは厳しさを増している。
風に慟哭を覚えますね(里楽乃)


  <川柳>

  ☆バイト先の女房一寸見直しぬ    屯児
いいですねー 生き生き 機敏に "寡黙" に働く女(ひと) 
                  え!オレのカミさん?(変竹林)
  ☆刺す気なく蚊にも酷暑はきつそうな    屯児
今年の猛暑 家蚊も藪蚊も ほとんど見ない 唯一の僥倖?
             ボウフラが育たない! との説も?(変竹林) 
  ☆絵本読むおれに園児のハイタッチ    麻太郎
”おはなし会 ”のジジ語り 園児たちのスマートあいさつ
              新旧ジェネレーション風景も良いモンデスら(変竹林)

  ☆鐘が鳴っている いま変わったよ風の色    変竹林
これは川柳じゃない「三行詩」だ!!(麻太郎)

  ☆ぽっかりと白い夏雲 老いの夢    変竹林
これも「三行詩」だ  何だか気持ちが晴れる 肯定して生きよう 希望が見えてきた(麻太郎)

  ☆風さんは 地球のこきゅう秋立ちぬ    変竹林
大人になるといろいろなフェルターがかかって見えなくなる。昨日ビデオで見た「トトロの世界」だ(麻太郎)

  <短歌の部>

  「良寛さん風のように水のように
            七十四年を流れるように    変竹林
講評” 無欲活淡な良寛さんなればこそ、流れる川のような七十四年の生涯が美しい余韻となって伝わってくる(屯児)
  
   生きている そのことだけで奇跡だよ 月山の天 祈る夏月    変竹林
最近呼吸が苦しい時がある、命の存在を意識する 人類の歴史は奇跡の連続にある。人間バンザイ !(麻太郎)
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