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1月投句

一月投句
次の世も水仙のの咲く丘あらば  粒石
水仙や飛び石ごとに日は満てり     雅田如
初糶や指をしもべに濁声は       模楽宙
なまはげの振りかざす斧上げしまま   雅田如
神住まむ男鹿の海より生身剥      変竹
なまはげや素振りの奥の眼は嫁に    模楽宙
ふりかえりふりかえりゆく雪女     雅田如
偕老に水仙届く晴れた日に       粒石
なまはげの哮りやはらぐ雪の嵩     模楽宙
夢や夢あさきゆめみし初昔       変竹
春場所の粋な白塗り砂被り       雅田如
水仙に亡き人の影重ねみて       粒石
振袖の着付けの仕草水仙花       模楽宙
なまはげや神の使いのおとろしき    変竹
手のひらの雪達磨融け煙立つ      雅田如
野水仙の淡き香りの八十路かな     粒石
生身剥障子の影の悲鳴かな       模楽宙
街びとの植えしスイセン新坂川     変竹
なまはげの笑いを誘ふ威しかな     粒石
縋る子をさしだしたまふ生身剥ぎ    模楽宙
水仙のなよたる嘘や浮世の絵      変竹
なまはげの律義に務めて柄杓酒     粒石
わが身こそわが身こそなれ白水仙    変竹
寒鯉のひとりぼっちの空まさを     雅田如
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十二月披講

              兼題   「湯豆腐」  「天狼」(シリウス 青星 狼星)

  天    湯豆腐の飾らぬ味や三代目   粒石
豆腐は変に味付けをしない方が良い、まして湯豆腐ともなるとなおさらのこと。昔からの素朴な味の伝統を守ってこそ、ファンを惹きつけて離さない。三代続く事は必然でしょう(模楽宙)

  天   湯豆腐の飾らぬ味や三代目      粒石
京 南禅寺の湯豆腐を食った 鍋には一丁の豆腐と一片の昆布のみ 是が彼の~ と思ったが 
是が彼の~ なのである 飾らぬ味が旨いのだ 三代を生きぬいた味なのだ わけても豆腐は(変竹) 

  天   由緒あり湯島の坂の湯豆腐屋    変竹
今でも湯島の坂の片側は高い石垣が連なり、おぼろげながら明治、大正の色合いを遺している。おそらく老舗であろう古色蒼然とした建物に鏡花の「婦系図」を重ねみて、大正ロマンに思いを馳せてみた(粒石)

  天   天狼や掘られし骨に刀傷       模楽宙
どの国の歴史にも戦はつきもの。発掘現場でのロマンあふれる句に感動だ。シリウスの季語でこの句がイキイキと蘇った(雅田如)

  地   天狼や掘られし骨に刀傷       模楽宙
モンゴル草原の墓か あるいは楼蘭 敦煌の発掘現場か 遠い歴史から甦った頭骨に戦の傷跡
蒼き狼の末裔 戦乱にあけ戦乱に暮れた戦士が現代にあばかれた 頭上には今も煌めく青星が(変竹)

  地   まっさらな紙の如きの冬となる    変竹
平易な言葉のなかに遥か地平線まで極寒厳しいの空気感が伝わってくる。勉強になりました(雅田如)

  地   シリウスを指さしてみる失意の日    変竹
永い人生の旅路には山あり谷あり、歓喜の美酒に酔う時も、はた又失意のどん底で天を仰ぎ呻吟の日々を送ることも、言うなれば壮大なドラマだ。吟者の心情を共有するにやぶさかでない(粒石)

  地    墨匂ふ一夜三尺雪の嵩         雅田如
墨匂う、に戸惑いました。年賀状を毛筆で書いているところか。一夜明けると外は一面の銀世界。黒と白の対比が面白いと思います(模楽宙)

  人   雪達磨明日になれば人に生(あ)れ    雅田如
雪ダルマちゃん なんとも愛らしく可愛いい そして 妙に人なつっこくちょっと寂しげ
今夜はまだ雪達磨だが 明けて日の出とともに 人に生まれ変わってるかも知れない と(変竹)

  人   天狼の夢に追はるる汽車の窓       模楽宙
夜汽車の旅とくれば何かしらロマンチックな雰囲気が漂う。移りゆく窓外の景色、満天に煌めく星の群、孤独をいとおしむような旅に違いない(粒石)

  人   シリウスやホール遍しプリマの声     模楽宙
ソプラノの透明感のある歌声とシリウスの煌めき、この取り合わせ見事だ。脱帽である(雅田如) 

  人    湯豆腐にシャンソン歌ふ友ありて     粒石
和の湯豆腐と、洋のシャンソン。異質なものの組み合わせがこの句の魅力でしょうか。宴席の皆も暫し耳を傾けている(模楽宙)

  佳作  湯豆腐や友を呼び度き夜となりぬ     粒石
しみじみと冬の夜は更けて行く 湯豆腐はしみじみと胃の腑に融けてゆく
こんな夜は 旧い友を呼んで しみじみと しみじみと語りたくなる(変竹) 

  佳作  湯豆腐や友を呼び度き夜となりぬ     粒石
寒い日の湯豆腐は心まであったかくしてくれる。親しい友と語りあいたい気持ちに共感する作者の優しさが滲み出ている句だ(雅田如)

  佳作  湯豆腐やうつろひゆらぐ恋ごころ     雅田如
久保田万太郎の辞世句だったか 命のゆらぎを詠った 名句があったような気がする が
ここでは 命が萌える恋を詠う 命も恋も ゆらゆら揺れて頼りない でも豆腐は案外…(変竹)

  佳作  ゴスペルの手拍子軽ろきポインセチア   雅田如
迫り来る重々しい冬将軍を軽快なリズムで迎えるようだ。ポインセチアに暖炉の光が映えている光景が目に浮かぶ(粒石)

  佳作   シリウスや悪しき災い弓に射し      雅田如
災いは忘れた頃にやってくる。降りかかる魔の手を追い払う如く、弓矢を放つ。シリウス(天狼)の鋭い眼が光っている(模楽宙)

  佳作  シリウスや砂漠を染めしサラセン軍    模楽宙
アラブ系遊牧民が興したサラセン帝国 十字軍との血ぬられし戦い との歴史観ながら 
耀くシリウス星 煌めく刀険そして碧きドーム いかにも 美しきロマネスク世界でも(変竹)

  佳作   モンゴルの草原を行く天狼下    変竹
モンゴルの草原となると雲一つ無い青空かと思いきや、天狼なので星空の下の草原…。それにしてもモンゴルの星空を見たいものです。満天にきらめく星々に圧倒され、一際明るく輝くシリウス(模楽宙)

  佳作  新しき島できるらし柚子の風呂    変竹
想像すらできない自然の壮大な営みを眼前に見せられ、口をつく言葉なし。而し、わが国の領海に新しい島が出来、刻々と大きくなってくるとは  驚きと共に欣びも又ひとしおだ。下五の柚子の風  呂は自然への賛歌だ(粒石)

  佳作  新しき島できるらし柚子の風呂    変竹
冬至の日の柚子風呂にひとりのんびり入る、そこにはぷかぷか浮かぶ柚子と新島誕生の連想があった。翁曰く「俳句は童の発想が大事・・」(雅田如)

  佳作  新しき島できるらし柚子の風呂    変竹
棚からボタモチというか、日本には昔から海底噴火によって、新たな島をプレゼントされる。領土の誕生は目出度いばかり。柚子を島に見たて、一時を空想するのもオツなもの(模楽宙)


     次回兼題   「なまはげ」(生身剥、なもみ剥、なごめ剥)    「水仙」 
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