むらくも

四国の山歩き

寒風山~笹ヶ峰(その2 笹ヶ峰)

2009-08-20 | 石鎚山脈

稜線を吹き渡る風はなんとなく爽やかで、秋の気配を感じさせる。もう少しするとリンドウが咲くようになり、やがて錦秋の季節へと変わっていく。ウスノキに真っ赤な小さな実がたくさん付いている。妻が一粒口に放り込んだ。どんな味?と聞いても答えてくれない。手が赤い実に伸びかけたが、なんとなく躊躇して採るのを止めた。ヒーロロロ、今日初めて小鳥の鳴く声を聞いた。しばらく耳を澄ましたが姿も見えず何か分からなかった。





妻に呼び止められた。10mほど引き返すと笹の中にノギランの花穂が見えている。これも初めて見る花でもう終わりに近い姿だと教えてくれた。いつのまにか彼女の方が花には詳しくなっているし、小さな花でもすぐに気が付いて写真を撮っている。それよりも花の名前がなかなか覚えられなくて、最近、辛くなってる。今年覚えてても、次の年にはなんの花だったか思い出せない。いつの間にか南面から少し北面寄りに歩くようになってた。前方に笹ケ峰北にある沓掛山が見えている。




小さい頂の向こうには笹ケ峰がある。後ろを振り返ると歩いてきた寒風山や石鎚方面の山並みが見えた。




タカネオトギリの黄色い花が青い空に映えている。しばらくぼんやり眺めていた。リョウブの花がたくさん咲いていて、木の下を通るとき花の匂いがすごかった。




ミヤマノダケだろうか、この山では以前丸山荘の近くでも見かけたことがある。北面をぐるっと回り込んで笹ケ峰山頂に着いた。誰もいない。こんな天気のいい日に二人で貸し切りだ…と言いながら妻がトーンの高い声を出して喜んでいる。




そうは問屋が卸さないよギッチョンチョン。しばらくして登山口で会った青年が東から登ってきた。あれ?どこえ行ってたの?ちち山?はい、疲れましたとの返事が返ってきた。ここから往復1時間半のところだ、参りました。若いってことは素晴らしくいい。なんとなく元気をもらったような気にさせられるから不思議だ。そのうちに丸山荘からもご夫婦が登ってこられた。お昼ごはんにしよう、今日は昨日と違って美味しいお弁当にありつくことができた。デザートは冷えた葡萄、美味しい。




山頂でお昼寝を楽しみたいくらいにいい天気。西条の町や瀬戸内も綺麗に見えている。少し横になってくつろいだ後、帰ることにした。三人に挨拶し往路を引き返す。青年はながーくながーく景色を楽しんでいるようだ。メイゲツソウかな、来るときにあったかな?ロープを張った岩場を登る。




寒風山の上り返しが長く感じた。やっとこせ、本日二度目の寒風山でした。




ホツツジの花が見事に咲き誇っている。妻は寒風山を少し降りたところで、右に登ってる道を案内してくれた。登ってみるとそこからの景色も最高にいい。寒風山の頂が見えている。




ホソバシュロソウもそろそろ終わりかな。ナナカマドが心なしかほんのり赤くなってる。ウスノキの実を恐る恐る採って食べてみた。小学生の頃に食べたことのある、桜の木に生ってた黒っぽい小さなさくらんぼの味に似てた。




またもや青年にあっという間に追い抜かれた。桑瀬峠に着く。この峠は古の伊予と土佐の往還道だったらしい。当時はここで一休みする行商人や旅姿の人がたくさん見られたことだろう。山と渓谷社の新・分県登山ガイドブックには愛媛への道がかつてはあったと記載されている。今はもうないようだ。




どうみても富士山とは縁遠い伊予富士。ギザギザだ。誰がどこから眺めて名づけたのだろうか。どっこいしょ、降りるとしよう。




<参考>
寒風茶屋登山口8:00-8:52桑瀬峠8:58-10:12寒風山10:32ー12:13笹ケ峰12:55-14:10寒風山14:20-展望所14:30ー15:19桑瀬峠15:34-16:08寒風茶屋登山口



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(注)GPSログではありません。概念図です。