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潮待小屋

「釣れた」から「釣った」へ!魚探で釣りはこう変わる

昨年からオフショアのヒラマサ狙いに導入した魚群探知機。
当初はシンプルに「魚探があれば狙うべきタナが分かって好釣果が期待できる」と考えていたのですが、実際はそんな甘い話ではありませんでした。
一方で、使い方次第ではアングラーのスキルアップを強力にサポートしてくれるツールだということも分かりました。

以下、シマノの「探見丸」を例として、その使用法と、魚探を使うことでそれまでの釣りと何が変わるのか、私自身の感想を踏まえてご説明したいと思います。


シマノ「探見丸CV-FISH」

1.魚探の予備知識

まずは、魚探を使うにあたっての一般的な予備知識です。

(1)魚探が使えるのは「親機」搭載の船

船縁設置型の「子機」を使うためには、その船が「親機」を搭載してWI-FIで電波を飛ばしている必要があります。
親機搭載の有無は各船のHPで確認できるほか、シマノのHPにもリストが掲載されていますのでご参照ください。

ちなみに、子機を購入しなくても、スマホで手軽に探見丸子機機能を利用できるアプリもあります。
ただし、スマホのバッテリーの消耗が早いのでご注意ください。
また、大切なスマホを海に落とさないように注意!

(2)魚探に映る情報は過去の情報、かつその範囲は狭い

魚探の画面を見ると、あたかも「面」の情報が映っているかのように見えますが、実際には船の真下方向の「線」の情報が、右から左へ時系列で表示されていきます。
リアルタイムの情報は画面の右端のみ。
左側は過去の情報です。
魚探の画面に狙っている根の全景が映り、見事な魚影反応が出ていたとしても、その時には既にその上を通り過ぎて暫く経った後ということになります。

二次元プラス「時間」の三次元情報。
魚探を使い始めた当初はこの特殊な時空のねじれに戸惑う方も多いかと思います。
私もそうでしたので、本記事をお読み頂くことで多少はご理解のお手伝いができるかもしれません。

また、魚探に映るのは船の真下の狭い範囲の情報です。
船の周囲、船の通過ラインから外れた根や魚影は魚探には映りません。

2.「どてら流し」船での魚探の見方

次に、実際に船に乗って沖に出たときの魚探の見方です。

(1)「どてら流し」とは

外房の青物ルアー船は、ご存知の通り「どてら流し」が基本です。
これは、風を真横から受けるように船を停め、潮流に乗せてポイントの上を自然に流すスタイル。
浅場ではエンジンを止めることで、魚へのプレッシャーを最低限に抑えられます。
向かい風の流しでは払い潮、追い風の流しでは迎え潮になりますが、左舷、右舷公平になるように、ひと流し毎に向きを変えて流してくれます。

(2)「トレースライン」を意識する

実際に魚探を使う際に意識したいのは、「魚探のトレースライン」です。
上で説明した通り、魚探の画面には、今現在の船の位置を起点(右端)として、船が移動してきたライン(トレースライン)上の時系列情報が表示されています。
この情報を、目の前に広がる現実の海に当てはめた「空間認識」に脳内変換することが、魚探情報を活用する第一歩です。

トレースラインは、風向きと潮流の向き、それらの強弱の組合せによって決まります。
一番分かりやすい例を挙げると、風と潮流が同じ向きのとき。
海底に対して、風と潮流が同じ方向に船を押し流しますので、乗船しているアングラーから見ると次のような状況になります。

A.向かい風となる立ち位置の場合

魚探のトレースラインは、アングラーの正面に真っ直ぐ延びています。
画面に映る根や魚影は、概ね目の前の海中のリアルタイム情報。
全ての情報がシンクロし、魚探が最も活躍する場面です。

B.追い風となる立ち位置の場合

トレースラインは、アングラーの背後、船の反対側に延びています。
画面に映っているのは、既に通り過ぎてしまった後ろの海中の様子。
目の前の海中の様子は分かりません。

以上は分かりやすい例ですが、風と潮流の向きが逆だったりバラバラだったりすると、途端に難しくなります。

(3)複雑系の潮の場合

払い潮の流しでジグを前方に送り出し、着底させると何故かジグが手前に戻ってきたという経験のある方は多いと思います。
これは風と潮流の向きが逆で、風よりも潮流の影響が強いときに起きる現象です。
また、風と潮流の向きが交差している場合には、着底したジグが斜め方向に引っ張られることもあります。
このようなときは、ジグが引っ張られた方向がトレースラインになりますので、魚探の画面には、そちら方向の海中の様子が映っていると考えられます。

船と海底との相対的な移動スピードは、画面に映る海底の形状からも推定することができます。
通い慣れたポイントで、急峻な根があるはずなのに画面に映る海底の凸凹がいつもより緩やかなときは、潮が効いておらず船がほとんど流れていない可能性があります。
逆に、海上はほぼ無風でジグは真っ直ぐ下に落ちていくのに、魚探に映る海底の凸凹が激しいときは、かっ飛び潮に乗って早いスピードで移動している可能性があります。

これらを確認するためにわざとジグをボトムに放置することは、根掛かりの原因になりますのでお勧めできません。
風と潮流の向きや強さは気象情報サービス等で分かりますので、頭の中で絵を描いてイメージしながら釣りをするのがよいと思います。


3.魚探を使用することで何が変わるか

さて、本題です。
魚探は私達の釣りをどう変えてくれるのか。
実際に私が魚探を使ってみて分かったこと、感じたことを率直にご説明します。

(1)釣果に直結するわけではない

いきなり身も蓋も無い話で申し訳ありません。
既にご説明した通り、魚探の情報をリアルタイムで活用できる場面は限られています。
多くの場合、画面に映るのは自分が攻めることの出来ないライン上の情報だったり、既に通り過ぎてしまったポイントの情報だったりするので、必ずしも自分の釣果に直結するわけではありません。

それでもなお、魚探を使うことには大きな意義があると思っています。
それはなぜか。

(2)答え合わせができる

自分や周りのアングラーに魚がヒットした際、どのレンジで食ってきたか、どんな誘いを入れていたかは分かりますが、その時の海中の様子がどうであったかまでは船上からは見えません。

そんなとき、魚探の情報があれば、水深や海底地形、ベイト反応等と照らし合わせることで、捕食スイッチの入った状況を具体的にイメージすることができます。
自分でなく同船者の釣果であっても、ひとつの貴重なデータであることに変わりはありません。
そして、このような「答え合わせ」を積み上げることで、再現性のあるヒットパターンの引き出しが増えていきます。

「再現性」は、「釣れた」から「釣った」へステップアップするための大切なキーワード。
魚探はこれをサポートしてくれる強力なツールです。

(3)アングラーの「意識」が変わる

魚探を使う一番の意義は、実はこれだと思っています。

どの船でも同じですが、船長は高性能な魚群探知機でターゲットの魚影を見つけ、一番いいポイントに船をつけてくれます。
それでもその日のコンディションによっては捕食スイッチが入らず、船中全くアタリがないことも珍しくありません。
そんなとき、アングラーはどう思うでしょうか。

「今日は魚が居なかった。」

よく聞く台詞です。
気持ちは分かります。
私も昔はそんなことを言っていました。
でも、魚探を有効に使っていれば、見える世界が変わってきます。

「魚は居たけど、口を使わせることができなかった。」

同じ状況で、かたや早々に諦めモード。
良い釣果が聞こえてきたらたらまた来よう。
かたや最後の流しまで集中力を切らさず、たとえ結果が出なくても、それは自分の腕が未熟だったからとリベンジに燃えて作戦を練り直す。
どちらのアングラーが目指す獲物に一歩近づけるか、「釣れた」ではなく「釣った」と言えるか。
答えは明らかです。

釣果が無いのに毎週ムキになって通い込むアングラー。
変な奴。
もっと要領よく立ち回って、今釣れている魚を狙えばいいのに。
そう思われても仕方ないですね。
でも、もしかすると彼の目は、他の人とは違う世界を見ているのかもしれません。

4.最後に

最後になりましたが、魚探の購入に際してご注意頂きたいこと。
魚探は精密機器です。
アフターサービス体制の整った信頼できる正規取扱店で、適正価格で購入しましょう。
高額の転売品にはくれぐれもお気をつけください。

それでは皆さま、良い釣りを!


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