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いいやま線とか、、、飯山鐡道、東京電燈西大滝ダム信濃川発電所、鉄道省信濃川発電所工事材料運搬線

浅河原調整池の底へ続く軌道

2023-05-30 17:12:17 | 鉄道省信濃川発電所材料運搬線
信濃川発電所工事材料運搬線は浅河原調整池の底までレールが続いていた。
私はそれを疑っていない。当時の写真からも、信濃川水力発電所工事のために配属された軽便機関車が浅河原調整池の底となる場所で工事に従事している様子が見て取れる。下に示す写真の右下に軽便機関車が写っている。この写真は連絡水槽工事のものである。連絡水槽は浅河原調整池内にあり、ここに写っている場所は浅河原調整池の底に沈む。したがって、浅河原調整池の底まで材料運搬線の線路が繋がっていた点について疑問は無い。



一方で、どうやって材料運搬線が信濃川の形成してきた河岸段丘を克服して浅河原調整池の底まで至ったのかが分からなかった。
写真でも、郷土史の記述でも、本軽便線が浅河原の土堰堤工事で活躍したとされている。一方で、その実態を示す資料を見付けることは出来ていない。鐵道省の資料としてこの軽便線の具体的な線路図を示す資料を私は見付けれられないでいる。更に、前提として勾配に弱いという特性を持つ鉄軌道で当地の河岸段丘を克服する必要があり、私はどうやって軽便線が浅河原調整池の底へ至ったのかが理解できないでいた。私は軌道の特性を踏まえて、私なりの考えから軌道を敷けそうな地形・線形を推測する傾向がある。しかし、推測する材料を求めようにも根拠となる資料が無い。それは公式の工事誌に図なども載ってない、軽便線の線路図は無い、まさに浅河原調整池の底に至る線路を写した写真も見たことがないことから生じた悩みである。これらの要因から、私は浅河原調整池の底へ至る軌道の位置は不明として来た。せいぜい、地形的に調整池の上流から線路を引いてきたのだろうと推測をしたことはあった程度の話である。上流には浅河原川を渡り宮中まで続く材料運搬線が通っており、そこから分岐し浅河原川に沿って下りて行ったと推測した。当然、軌道跡は調整池の底に沈んでしまうため、その痕跡を追うことは出来ないと半ば諦めていた。

そんな私の疑問は一枚の写真が吹き飛ばした。
その写真は、それらしい状況証拠を示してくれている。なお、小千谷発電所一般公開のパネル展示で示された写真の一枚である。

 
土堰堤高台より締固め作業を望む(S11.9.12)

この写真は浅河原調整池の土堰堤工事を撮影した写真の一枚だ。撮影は昭和11年9月12日とキャプションされている。鐙坂側から北を向いて撮影されたもので、写真右手が浅河原川の下流であり信濃川に至る。写真の左中央から右手前にかけてが土堰堤の基礎・心壁と推測される。それらしい形が見て取れるからだ。土堰堤と言えども、岩盤を掘り下げてコンクリートで壁を作った。当然、土堰堤の基礎がある場所は浅河原調整池の底(より深い場所)である。そして、この写真にはそこへ至る軽便線の線形がくっきりと写っている。この写真から、材料運搬線が段丘崖の中腹を沿って一旦は下流に下りて、スイッチバックでその高度を克服していた様子が分かる。googleのストリートビューで現地を確認すると、以下の写真のように示せる。



更にこれを上空からの写真に置き換えると以下のようになると推測している。

 

サイロは一枚目の写真に写っている。吉田車庫は段丘面上の中学校の辺りだ。航空写真を見ると、スイッチバックはかなり浅河原川の下流(信濃川方面)へ伸びている様子が分かる。これだけの距離があれば勾配も緩和でき、鉄道の泣き所である急勾配も克服できていたのかもしれない。最後に、スイッチバックのあった場所と推測される場所の写真を紹介する。

 

軽便線が折り返すのには十分な敷地と平場だ。現在では国道の交差点になって、ちょっとした平場が形成されている。かつて、ここを軽便機関車とトロッコがスイッチバックして行き交っていたのだろう。そう想像するだけで、私は興奮する。
浅河原調整池の底へ至る軌道が確かにここにあったのだろう。


「地形的に調整池の上流から線路を引いてきたのだろうと推測をしたことはあった程度の話である。上流には浅河原川を渡り宮中まで続く材料運搬線が通っており、そこから分岐し浅河原川に沿って下りて行ったと推測した。」
浅河原川の上流から、盛土で軌道を敷いている。浅河原川を木橋で越えている。この軌道はなんだ?
 
浅河原調整池(右岸高台より上部方向)(S6.10.24)

この写真から、浅河原調整池の上流側からも下流側からも軌道が続いていた可能性が生じた。浅河原調整池関連の軽便線の解明はまだまだ資料が足りない。また分からない点が出てきた。
私個人としては、学ぶほどに知らないことが出て来て、どこまでも飽きない題材となっている。一つ知れば倍以上に知らないことが出て来る。鐵道省信濃川水力発電所工事材料運搬線は面白いなぁ!!