インドへのロードマップ

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SEC (Socio Economic Classification)

2006-02-01 12:18:02 | インドの基本データ
各国で消費者をクラス分けする場合に、所得によって数段階に
分類するのが普通ですが、インドの場合SECに基づいて、区分を
します。SECとはSocio Economic Classificationの頭文字を取っ
たものです。

SECはAからEまで大きく5段階に区分されていて、さらにそれぞ
れがA1とかA2とかに区分されます。A1はさらにA1+とかA+のよう
にさらにAクラスの中でも上位層を区分けする場合もあります。

SEC Aとか、SEC A1というふうに、常にSECを頭につけて表記し
ます。これをどう発音するのか、よくわからなかったのですが、
現地でのマスコミ関係の人たちは、一般的に「エスイーシーA」
とか「エスイーシーAワン」のように発音しているのがわかりま
した。「セックA」というふうに発音したりもするのかなと思っ
たのですが、そういうケースはありませんでした。

それではこのSECの区分ってどうやって決まるのかということを
ご説明いたしましょう。これには所得は関わってきません。
結果的には所得との相関関係はあるのでしょうが、SECに関して
は所得は問題にしません。それでは何を基準にして区分をして
いるのでしょうか。

上の図がそのマトリックスですが、横軸が学歴、縦軸が職業です。
学歴と職業だけで消費者をランク分けするのです。上の図の横軸
の青い部分ですが、左のほうから、Illiterate(文字の読み書き
ができない人)、5年未満の教育、というのからだんだん上がっ
ていき、左に行くに従って大卒というふうになっていきます。

縦軸は上のほうから、未経験のワーカーというところから始まり、
一番下は10人以上の従業員を持つビジネスマンというようになっ
ています。このマトリックスで右下のエリアに該当すればA1とい
うふうになります。これは一家の家長を基準にしますので、その
妻や子供も家長のSECが適用されます。

これは法的には何の効力がないもので、あくまでも消費者を把握
するための分類方法です。

このようにSECでインド消費者を区分するとどのような人口比率に
なるのかを見てみますと、以下のような比率になります。
A: 10%
B: 16%
C: 21%
D: 23%
E: 30%
データソースはIRS(India Readership Survey 2003)で、都市部
の世帯におけるSECの比率です。

農村部に行くと、このピラミッド構造はさらに末広がりになりま
す。長期的に見ると、都市部のピラミッド構造は次第に上に持ち
上がってきて、紡錘型あるいはダイヤモンド型に近くなっていく
ことが予測されています。

特に購買力のあるSEC Aにのみ着目しますと、彼らの大半は大都
市に住んでいます。A1に限ると、デリー、ムンバイなどの巨大
メトロに住んでいる確率が高くなります。

自動車や、プラズマテレビはインドでも盛んに広告されています
が、高額の耐久消費財のマーケティングということを考えると、
Aクラスの多い、巨大メトロをピンポイントで攻めていくという
のが効率のよいマーケティング手法になります。

SEC Aの人口を、都市別に見てみますと、2005年のIRSのデータに
よれば、次のようなランキングになっています。
1. デリー: 2,934,000
2. グレータームンバイ:1,975,000
3. コルカタ: 1,709,000
4. ハイデラバード:707,000
5.チェンナイ:655,000
6. バンガロール: 566,000
7. アーメダバード:408,000
8. プネ:315,000

すべての人口で見ると、ムンバイが一位で、コルカタが二位なの
ですが、SEC Aのみの人口で見ると、デリーがトップになります。
また総人口では6位のハイデラバードがSEC A人口のみでみますと
チェンナイ、バンガロールを抜いて4位に入っているというのは
注目です。

ハイデラバードは、近年IT都市として注目されていて、マイクロ
ソフトやオラクルなども拠点をハイデラバードの置いています。
ビルゲーツや、クリントンもハイデラバードを訪問しています。
私もこの1月にハイデラバードを訪問してきましたが、確かに他
の都市に比べて、奇麗な感じはしました。

バンガロールはSEC Aの人口からすると、予想外に低迷しています。
インドのシリコンバレーと騒がれていたにしては、SEC Aの人口が
思ったほどにはありません。この1月にはバンガロールも訪問し
ましたが、不動産関係は相変わら伸びていて、人々はリッチな感じ
がしたのですが、話題が先行しすぎているのかもしれません。

ということでSECという切り口で、さらに都市ごとに見て行きます
と複雑なインドも何となく見えてくるのではないでしょうか。


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