インドへのロードマップ

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インドは多言語国家

2006-01-29 13:40:07 | インドの基本データ
インドはヒンディー語が国語のように思ってしまうのですが、
実はかなりたくさんの言語が共存しています。その証拠にこの
インド紙幣の写真をご覧ください。500ルピー札の裏面の左端を
撮影してみたものです。

インドの紙幣に一番大きく表記されているのはヒンディー語と英語
ですが、、この左隅に小さくぎっしり書かれているのは、各地域
言語での表記です。

ここに表記されている言語は次の通りです。
1)アッサミー/マニプリ(アッサム州/マニプル州)
2)ベンガリ(西ベンガル州)
3)グジャラーティ(グジャラート州)
4)カンナダ語(カルナタカ州)
5)カシュミーリ(ジャッムカシミール州)
6)コーンクニー(ゴア)
7)マラヤラム(ケララ州)
8)マラティ(マハラシュトラ州)
9)ネパーリ(ヒマラヤ山麓)
10)オリヤー(オリッサ州)
11)パンジャビ(パンジャブ州)
12)サンスクリット
13)タミール(タミルナドゥ州)
14)テルグ(アンドラプラデシュ州)
15)ウルドゥー&シンディー(北インド)

これだけ見ても、インドの言語状況の複雑さが一目瞭然です。
中国も各地の中国語はかなり異なっているのですが、公式言語は
中国語(北京語、マンダリン)で、マスコミの言語も一本化され
ています。しかし、インドは複雑です。ヒンディー語が広く普及
していますが、ヒンディー語が強いのは北部地域で、東部地域、
南部地域ではそれぞれの言語が強くなります。

一番上のアッサミーはアッサム語ですが、マニプリ(マニプル語)
とは別言語なのですが、かなり似た言語と推測されます。また
その下のベンガリ(ベンガル語)とも似ていますが、どこが違う
のかは私はよくわかりません。ベンガリは、バングラデシュでも
話されていますので、人口的にはベンガル語は約2億人の人に
使われており、世界の中でも5、6位になります。

グジャラート州はインドの西のはずれにありますが、商才豊な
グジャラート商人は、インドの各都市にちらばり活躍しています。
4番めのカンナダ語というのは、カルナタカ州の言語ですが、
カルナタカ州の州都がバンガロールです。

5番目のカシュミーリに関しては、北部のインドパキスタン国境
付近で紛争のたえない地域なのですが、人口的には非常に少なく
インド全体の中ではマイナーな言語です。6番目のコンカニ語は
ゴアで話されている言語です。

7番目のマラヤラム語は、南部のケララ州で話されている言語です。
8番目のマラティ語は、ムンバイのあるマハラシュトラ州の言語
です。9番目のネパーリ(ネパール語)はネパール付近で話されて
います。10番目の中東部のオリヤーはオリッサ州の言語です。

11番目のパンジャビはデリーの近くのパンジャブ州の言語です。
その次のサンスクリットはインドの古代に公用語として使用されて
いて、宗教、学術、文学の分野で使われていた言語です。西洋での
ラテン語、ギリシャ語のような感じですね。今では、日常言語とし
てサンスクリットを使用している人はほとんどいないのですが、
公用語として認められています。

13番目のタミール語は、チェンナイのある南部タミルナドゥ州の
言語です。シンガポールにはタミール人が多いので、シンガポール
の公用語の一つにもなっています。

14番目のテルグ語は、ハイデラバードのあるアンドラプラデシュ州
の言語です。最後の、ウルドゥ語、シンディー語は同じ文字で表記
されています。ウルドゥ語とヒンディー語は基本的には同じ言語の
ようなのですが、文字が異なり、宗教も異なっているので、基本的
語彙もかなり異なってきているようです。ウルドゥーはパキスタン
の国語にもなっています。シンディーはパキスタンとインド国境付
近に住んでいるシンディー民族によって使われていますが、商人と
して各地で活躍しています。

このようにかなりの数の言語が存在しているのですが、インドの
複雑さは、同じ地域に複数言語が同時存在しているということです。
例えば、ゴアでは、コンカニ語が一番ポピュラーですが、それを
話す人は約半数、3割くらいがマラティ語を話し、0.5割くらいが
カンナダ語というように複雑です。

各言語の話者数比較および、各地域でのトップ3言語の情報が
インド国勢調査のサイトに出ています。
データはかなり古いですが、基本的な部分は大差ないと思われます。

このように言語が複雑に交錯するインドでは、公用語としての英語
の重要性は非常に高いです。とくにビジネスの世界では、英語は
キャリアアップのためにも必須条件となっているため、各言語より
もステータスの高い言語として認識されています。

マスコミの印刷媒体としては、新聞も雑誌も英語のものが圧倒的に
人気も品質も高いです。読者数で比べると、ヒンディー語の新聞、
雑誌が非常に多いですが、高所得者層に着目すると英語媒体という
ことになります。テレビの場合は、ヒンディー語の人気が高くなり
ます。

以下に、インドの言語に関して、参考になりそうなリンク情報を
添付しておきます。

インドの言語と文字
インドの言語と文字に関して、さらに詳しい表があります。

インドの言語と言語政策
インド各言語に関して、そのグループ分けおよび言語政策に関し
ての解説があります。

インフィニシスの外国語学習ソフト
このサイトにはインドで使われている数言語の学習用ソフトが
紹介されています。

アジア文字曼荼羅インド系文字
インドの文字に関する紹介が出ています。アジアアフリカ言語
研究所のサイトです。


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5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
あ・・・ (へいたらう)
2006-01-30 19:33:18
もう、お隠れになられあそばしたのですね(笑)。

こちらは、ずっと・・・だとばかり思ってましたので、保存し損ないました
返信する
あ・・・ (へいたらう)
2006-01-30 19:33:18
もう、お隠れになられあそばしたのですね(笑)。

こちらは、ずっと・・・だとばかり思ってましたので、保存し損ないました
返信する
なるほど (へいたらう)
2006-01-30 19:38:47
二度も同じコメントが行くとはこういうことだったんですね。

書いている途中で、エンター二回押したら、こうなりました。



お手数ですが、ご不要でしたら、削除くださいませ。



で、続きですが、インドと言えば英語圏と言われますが、以前、同じイギリスの統治下にあった香港に行ったとき、香港の庶民はイギリスの統治時代、教育を受けさせてもらえなかったとのことで、全然、英語が話せませんでした。

インドでの、英語普及率というのは、どの程度のものなのでしょうか?



また、中国語は、文法的には、日本語などよりも英語に近いと言われますが、インドも、これら母国語と英語の文法的な共通点など有るのでしょうか?
返信する
インドの英語普及率 (店長)
2006-01-30 21:17:29
へいたらうさん、インドに関してのコメントありがとうございます。インドの北部地域の言語(ヒンディー語、マラティ、ベンガリ、グジャラーティ、パンジャビなど)は、インドヨーロッパ語族というグループになっているので、英語と同じ仲間です。南部はドラビダ語族となっていて北部とは違います。しかしながら、文法構造は、主語>目的語>動詞という日本語と同じような言語が多く、また発音などもヒンディー語などは日本語の音に似ています。英語の普及率ですが、約2割くらいと言われています。インドでは平均数値が意味を持ちません。ビジネスの世界では必須言語です。
返信する
香港の英語 (店長)
2006-01-30 21:26:26
香港の英語が下手なのは、彼らは基本的に広東語を話す単一民族地域だからです。日常生活では広東語で用事が足ります。テレビも新聞も広東語です。シンガポールは7割が中国系ですが、他民族国家であり、また中国人もいろいろなので、結果的に英語が実質的な共通言語になっています。シンガポール人の英語は、香港人よりも上手です。インド人の英語は、発音はかなりなまっています。
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