インドへのロードマップ

インドでの消費者情報、広告媒体情報などに特化したブログです。

インドのテレビ所有率

2006-02-17 23:20:07 | インドの基本データ
インドの家庭にテレビはどれくらい普及しているのでしょう。
上のグラフはNRS(National Readership Sruvey)という媒体
関係の調査の2005の数値をもとにしています。農村部を除い
た都市部のSEC AからEまで(つまり金持ちから貧しい世帯ま
でのあらゆる世帯)の数値が上の段、そして、SEC Aのみ
(つまり金持ち層)で見た数字が下の段になります。

テレビの所有率でみますと、全体では、約半数の世帯がまだ
テレビを所有していないということになりますが、お金持ち
層では95%以上の世帯がテレビを持っています。

次にカラーかモノクロかという項目がありますが、インドで
は未だにモノクロテレビが存在しています。他の国ではモノ
クロテレビ自体見る事はまれなのですが、インドではテレビ
を持っている人たちの約半数がモノクロです。しかしながら
お金持ち層では、ほとんどカラーテレビというふうになりま
す。ちょっと前まで、大半のテレビがモノクロだったのです
が、カラー化は急速に進展してきています。

さてその次はリモコンタイプかそうでないかということです。
これも、テレビを持っている世帯で約半数がリモコンタイプ
ではないテレビということですが、お金持ち層では当然リモ
コンタイプが多くなります。

インドにおいて携帯電話、自動車、パソコンなどの普及率は
全体でみると非常に低いのですが、テレビはそれらに比べる
とかなり高い普及率になっています。

テレビと言うと日本製と思いきや、実は、人気が高いのは、
LGとサムスン、それからオニダとかビデオコンというインド
のブランドなど。日本のブランドは苦戦しています。

この一月にハイデラバードのマリオットホテルに泊まったの
ですが、部屋にあったテレビは、LGのフラットパネルのLCD
テレビでした。ホテルの部屋でそれを見たのははじめてで、
さすがハイデラバードは最先端だと感心したものでした。

インドの数字のシステム

2006-02-07 22:19:22 | インドの基本データ
この間、インドのラック(Lakh)とクロー(Crore)に関して
お知らせしましたが、やはり上には上がありました。インド
人の知り合いに問い合わせていたのですが、この上の表のよ
うなシステムになっているのがわかりました。

数字が二つづつで、位があがっていきます。ゼロの数は見事
な奇数の序列です。クローの上のゼロが9個ついたものを
アラブ(arab)といいます。日本語にすと10億です。さらに
その上、ゼロが11個ではカラブ(kharab)となります。千億
です。その上は、ほとんど使わないそうですが、ニール、
パドマ。シャンク、マハシャンクというふうになっていきま
す。

これはあくまでも昔のインドのシステムで、現代では、例え
ばゼロが12個ついた場合(日本語では一兆)、1lakh crores
のように言う場合もあるのだとか。知っていないとわけが
わからなくなります。国家予算をルピーで表記するときには
使われるのでしょうか。

パドマとか、カラブというのは、ヒンディー語では時々使わ
れることもあるらしいのですが、インド人でも知らない人も
多いかもしれません。

アラブ(十億)の語源はわかりませんが、地名のアラブと関連
しているとしたら面白いですね。アラブの民と言ったら、十億
の民ということになるのかもしれません。

アラブ以上の数字は、めったに使う事はないので、覚えておく
必要はあまりないですが、普通のインド人も知らないインドの
ことを知っておくと、何かで得することもあるかもしれません。






インドの新聞における発行部数と購読者数

2006-02-03 11:42:47 | インド雑学
インドには新聞がいろいろあります。英語の新聞から、地域
語の新聞まで様々です。2000年のデータでは379の新聞タイ
トルが存在し、監査されていない新聞まで含めると3500もの
新聞が存在しているということです。

世界新聞協会(WAN)が発表した2004年度の調査によりますと、
一日あたりの新聞発行部数は、中国が一位の約9350万部、
二位がインドで、7880万部、三位が日本の7040万部という
ランクなので、インドではかなりの新聞が消費されている
ことになります。人口が多いので一人当たりの数は日本に
負けてしまいますが。

インドの新聞は、その発行部数および読者数を、ABC (Audit
Bureau of Circulation)という管理局で監査されます。発行
部数(circulationと言います)と、読者数(readershipと
言います)は、インドでは極端に違います。

それは何故か?インドでは新聞は一人で読むものではないの
です。家族で、親戚で、そして会社で、みんなで回し読む。
その数字が読者数に反映されてきます。この回し読みという
行為は田舎に行くほど顕著になります。

一つの新聞を何人で共有するのかというのは、新聞によって
異なります。それはきちんとオーディットされているという
ことなのですが、ある新聞は3、4人で読み、ある新聞は10
人くらいで読むというその根拠が何かアバウトな感じもする
のですが、一応そのような形でモニターされています。

インドの新聞は(雑誌も同じですが)、発行部数で見るのか、
読者数で見るのかによって、ランキングが大きく変わります。

インドで発行部数が最も多い新聞は、英字紙のTimes of India
で、トータルの発行部数は257万部です(2005年)。この上の
写真の手前に写っている新聞です。この新聞についてはまた
後日詳しく解説しますが、ムンバイをベースに、インドの主要
メトロをだいたいカバーしています。

読者数で見た場合は、発行部数では7位くらいのヒンディー語
の新聞のダイ二ク・バスカル(Dainik Bhaskar)が一千万人以上
の読者ということになり一気にナンバーワンに躍り出るのです。
読者数という点で見ると、ヒンディー語の新聞、テルグ語の新
聞、マラヤラム語の新聞などが上位にランクアップされます。

インドで一番の新聞と言った場合、Times of IndiaもDainik
Bhaskarも両方とも一番を主張できるので、注意しないといけま
せん。また英字紙としては一番、ヒンディー語としては一番、
テルグ語としては一番とか、チェンナイでは一番とか、歴史の
長さでは一番とか、いろんな切り口でナンバーワン(インド人
の発音ではヌンベルワン)を主張してくるのでよくわからなく
なるので注意しましょう。

インドは新聞に限らず、かなり自己アピールの強い傾向があり
ます。ちなみに、Times of IndiaはUSA Todayの発行部数
(230万部)を抜いて、英語の新聞としては、昨年ヌンベルワン
になったと自慢しておりました。日本の新聞の発行部数には負
けますが。

インドの新聞(とくに英字紙)は、近年、カラーページが増え、
印刷もかなり奇麗になりました。英語の文章ということに関し
てはインドの英字新聞はきちんとした格調の高い文章を書くの
で、シンガポールのストレーツタイムズを読むよりは、英語の
勉強になる、とシンガポールに住むインド人の人が言っていま
した。インドの英字新聞の文章は、確かに難しい単語を使った
り、関係代名詞などを使って長々とした文章になったりして、
我々からすると読みにくいこと限りないです。やっぱりインド
人ってそういう文章読解能力にも優れているのですね。

インドの数字の位取りに関して

2006-02-02 00:31:41 | インド雑学
インドでビジネスをしていると、ラック(Lakh)とかクロー(Crore)
という言葉が頻繁に現れ、最初は戸惑います。最初だけではなく、
私などは今でもわけがわからなくなってしまいます。

インドでは、数が大きくなると、Millionなどの西洋の単位では
なく、10万を1ラック、100万を10ラックスというふうに表しま
す。1000万になると、100ラックスとは言わずに、1クローとい
ふうに位がアップします。そして、1億が10クローになります。
それ以上の単位もあるのかもしれませんが、それ以上は寡聞に
して知りません。

このLakh(LakとかLacとか表記されたりもします。複数形はsを
つけます)とか、Croreとかは、インドでビジネスをしていると
しょっちゅう出てきます。日常的な買い物程度では、あまり関
系ないのですが、仕事での取引で、何十万ルピーだとかの金額
になるとラックスが登場してきます。また人口統計だとかにな
るとムンバイの人口は1.6クロー(1600万)とか表現したりす
るのです。

この数字の位取りに関して、どこかのサイトで誰か解説してい
ないかと探してみたのですが、なかなか見つかりませんでした。
インドでのビジネスにおいてはきわめて重要な概念なのですが、
誰もこのことに関して触れていないのは納得がいきません。と
いうわけで、この件に関しては自分で解説を書かなければと思
いたったわけです。

実は、何年もの間、インド人と金額交渉や、媒体の読者数など
に関して打ち合わせしている時に、このラックスやクローが出
てきて、そのつどゼロがいくつだったかなと計算しなおさなけ
ればならずとても非効率でした。いつもわけがわからなくなり、
と言って調べてもなかなか出てないので、この記事に記した、
1ラック=10万、1クロー=1000万というのは、実は自分用の
メモです。

インドのこの独特の位取りの歴史的な背景はよくわからないの
ですが、おそらく何か深い哲学的な思想が背後にあるのかもし
れません。何しろ、数字のゼロの概念を発見したのはインド人
だと言われていているくらいで、また果てしなく大きな数の、
無量大数に至るまでの数のシステムもインドで作られた概念と
聞いていますので、ラックやクローの背後に潜む謎をご存じの
方は是非ともご教授いただきたく存じます。

インドの数字に関して考えていると、果てしないラビリンスに
迷い込むような気がして、そしてそれは仏教の奥義と接してい
るような、そしてまた最先端の高等数学や、コンピュータにお
けるデジタルの考え方にもひょっとしたら通じているのかとも
想像されたりして、チャネリングの境地に到達しそうになって
しまいます。

数学的に、このインドの位取りがどんなもんかという分析は、
専門の方におまかせするとして、上の図でも示した通り、ラッ
クと、クローの位取りでゼロにカンマを入れてみます。する
と、千のくらいで一つのカンマ、そしてゼロが二つでラック
のカンマ、そしてまたゼロが二つでクローのカンマとなります。

欧米の位取りは、3、3、3と3が基本になります。ゼロ3つ
でカンマが入ります。それに対してインドは、3、2、2とい
うふうになります。ゼロの数だけ並べると何か不規則ですが、
ゼロの合計数でみると、最初のゼロ3つで千になり、トータル
5つでラックになり、トータル7つでクローになるという規則
性があるのがわかります。3、5、7ときちんと奇数になって
いるのです。これに気付いたときは、自分でもすごい発見かと
思ったのですが、だからこれがどんな意味を持つのかというこ
とまではわかりません。インド人のことだからおそらくこれに
は我々にわからないような科学的な思想が隠されているのかも
しれません。

このゼロ二つづつでの位取りですが、以前、インドから来た
見積もりに、千の位のカンマにゼロ二つでまたカンマがついて
いるのがありました。インド人はそれをラックのカンマとして
用いていました。ところが、我々はそんなのを見た事がありま
せん。西欧流のやり方に染まっている我々は、そのカンマのつ
けかたを、何かのミスとして扱ってしまいました。ゼロを一個
うっかりとタイプミスしてしまっていると。

ラックのことを知っていれば、それはそういう位取りだと分か
のですが、知らないと、大変な誤解につながります。そのカン
マの付け方は、インドではごく普通に行われる方式だったので
す。インド関係のお仕事をされる方はそのことを頭のどっかに
記憶しておいてもらえると、このような誤解を未然に防ぐこと
ができます。

日本の位取りは、一十百千万億兆というふうになっていますが、
実はゼロが4つづつで位があがるというシステムです。本来は、
数字表記を欧米に合わせてゼロ3つごとにカンマをうつのでは
なく、4つめごとにカンマをうてば、日本語としては数字を読
みやすくなります。日本のカンマは、日本の位取りと一致して
いないので、非常に読みにくいのです。インドと同じように、
我が道を行くで、4つのゼロでカンマというシステムにしたら
よかったのかもしれません。今となっては遅いですが。

インドで話をしていて、ここに書いてある30クローというのは
300ミリオンだとか説明されると余計にこんがらがってしまいま
す。大きな数字になるとどうしても日本語の概念で把握する癖
が抜けきれず、30クローというのは3億だと理解したほうが楽
になります。クローには本当に苦労させられます。

インドは、掛け算の九九を99x99まで覚えさせられるというのは
有名な話です。九九九九となってしまい、なかなか苦しそうな
勉強です。しかしこの計算能力がインド人を数学に強くしている
のですね。シンガポールの両替商はインド人が多いですが、お金
の計算や、おつりの計算の仕方はかなり速いです。

インド人は、おそらくラックとかクローという概念を使い、大き
な数字をひとまとめにして扱うことでメリットを得ているような
気がします。日本のようにゼロが4つでやっと万が億になるとい
のだと、ちょっとITの時代には合わないのかもしれません。イン
ド人がITに強いというのも数字の位取りに秘密があるのかもしれ
ませんね。

SEC (Socio Economic Classification)

2006-02-01 12:18:02 | インドの基本データ
各国で消費者をクラス分けする場合に、所得によって数段階に
分類するのが普通ですが、インドの場合SECに基づいて、区分を
します。SECとはSocio Economic Classificationの頭文字を取っ
たものです。

SECはAからEまで大きく5段階に区分されていて、さらにそれぞ
れがA1とかA2とかに区分されます。A1はさらにA1+とかA+のよう
にさらにAクラスの中でも上位層を区分けする場合もあります。

SEC Aとか、SEC A1というふうに、常にSECを頭につけて表記し
ます。これをどう発音するのか、よくわからなかったのですが、
現地でのマスコミ関係の人たちは、一般的に「エスイーシーA」
とか「エスイーシーAワン」のように発音しているのがわかりま
した。「セックA」というふうに発音したりもするのかなと思っ
たのですが、そういうケースはありませんでした。

それではこのSECの区分ってどうやって決まるのかということを
ご説明いたしましょう。これには所得は関わってきません。
結果的には所得との相関関係はあるのでしょうが、SECに関して
は所得は問題にしません。それでは何を基準にして区分をして
いるのでしょうか。

上の図がそのマトリックスですが、横軸が学歴、縦軸が職業です。
学歴と職業だけで消費者をランク分けするのです。上の図の横軸
の青い部分ですが、左のほうから、Illiterate(文字の読み書き
ができない人)、5年未満の教育、というのからだんだん上がっ
ていき、左に行くに従って大卒というふうになっていきます。

縦軸は上のほうから、未経験のワーカーというところから始まり、
一番下は10人以上の従業員を持つビジネスマンというようになっ
ています。このマトリックスで右下のエリアに該当すればA1とい
うふうになります。これは一家の家長を基準にしますので、その
妻や子供も家長のSECが適用されます。

これは法的には何の効力がないもので、あくまでも消費者を把握
するための分類方法です。

このようにSECでインド消費者を区分するとどのような人口比率に
なるのかを見てみますと、以下のような比率になります。
A: 10%
B: 16%
C: 21%
D: 23%
E: 30%
データソースはIRS(India Readership Survey 2003)で、都市部
の世帯におけるSECの比率です。

農村部に行くと、このピラミッド構造はさらに末広がりになりま
す。長期的に見ると、都市部のピラミッド構造は次第に上に持ち
上がってきて、紡錘型あるいはダイヤモンド型に近くなっていく
ことが予測されています。

特に購買力のあるSEC Aにのみ着目しますと、彼らの大半は大都
市に住んでいます。A1に限ると、デリー、ムンバイなどの巨大
メトロに住んでいる確率が高くなります。

自動車や、プラズマテレビはインドでも盛んに広告されています
が、高額の耐久消費財のマーケティングということを考えると、
Aクラスの多い、巨大メトロをピンポイントで攻めていくという
のが効率のよいマーケティング手法になります。

SEC Aの人口を、都市別に見てみますと、2005年のIRSのデータに
よれば、次のようなランキングになっています。
1. デリー: 2,934,000
2. グレータームンバイ:1,975,000
3. コルカタ: 1,709,000
4. ハイデラバード:707,000
5.チェンナイ:655,000
6. バンガロール: 566,000
7. アーメダバード:408,000
8. プネ:315,000

すべての人口で見ると、ムンバイが一位で、コルカタが二位なの
ですが、SEC Aのみの人口で見ると、デリーがトップになります。
また総人口では6位のハイデラバードがSEC A人口のみでみますと
チェンナイ、バンガロールを抜いて4位に入っているというのは
注目です。

ハイデラバードは、近年IT都市として注目されていて、マイクロ
ソフトやオラクルなども拠点をハイデラバードの置いています。
ビルゲーツや、クリントンもハイデラバードを訪問しています。
私もこの1月にハイデラバードを訪問してきましたが、確かに他
の都市に比べて、奇麗な感じはしました。

バンガロールはSEC Aの人口からすると、予想外に低迷しています。
インドのシリコンバレーと騒がれていたにしては、SEC Aの人口が
思ったほどにはありません。この1月にはバンガロールも訪問し
ましたが、不動産関係は相変わら伸びていて、人々はリッチな感じ
がしたのですが、話題が先行しすぎているのかもしれません。

ということでSECという切り口で、さらに都市ごとに見て行きます
と複雑なインドも何となく見えてくるのではないでしょうか。