goo blog サービス終了のお知らせ 

健康相談ブログ

健康に関連するQ&A集やよくある相談。

便秘と下痢どちらが体に悪いのだろう?

2017-02-10 15:52:43 | 消化器

便秘と下痢は、いずれにしても苦しいものです。便秘はたえず腹部の膨満感や不快感を与え、倦怠感、食欲不振、肌荒れなどの全身症状も強くなります。急性の下痢は激しい腹痛と便意に襲われて、たびたびトイレに駆け込むことも珍しくありません。したがって、治療の緊急性と亭えば、急性の下痢でしょう。

悪い細菌に感染すると症状が長引き、著しく体力が消耗し、脱水症状を引き起こす可能性もあります。もし、経験したことのない下痢、腹痛に襲われた時は、病院で検査と治療を受けるようにしてください。とくに、海外から帰国した際には、要注意です。このようなひどい下痢はともかくとして、通常、便が緩かったり、ときどき下痢する程度であれば、健康上あまり支障はありません。

むしろ、便秘で腸内に長い間便を溜め込むほうに問題がありそうです。便のなかには食物の消化カスとともに、大量の腸内細菌、酵素、毒素、発がん性物質が含まれています。

悪玉菌の大腸菌やウェルシュ菌は、動物性たんばく質や脂肪を分解して老化促進物質を生成するほか、胆汁酸を分解して強力な発がん成分(二次胆汁酸) や発がん物質( ニトロソアミン) を作ります。

 

便秘をすると、これらの悪性物質と腸壁が長い間、接触することになります。腸は人間の免疫系にかかわる腸内細菌叢があり、「免疫の要」とも言われます。ここに凶悪な物質がいては、まさに「お腹に爆弾を抱えている」ようなもの。体に悪影響が出るのもあたりまえです。

 

排便は、たんに体の老廃物を排泄するということだけではなく、栄養を体に取り入れるためにも不可欠です。もし便秘ぎみなら、現在の食習慣、連動習慣などを見直して、1日も早く改善してほしいものです。また、便秘や下痢の原因には、重大な病気もあることを忘れてはいけません。とくに、それまでの排便習慣と違って、便秘や下痢ぎみになつた場合、大腸がんも疑われます。心配な方は、病院での検査をおすすめします。


過敏性腸症候群と診断されました

2016-07-13 16:17:16 | 消化器

質問

昨年夏より、便秘と下痢繰り返しています。いろいろ薬をのんでいますが、すっきりしません。その間、胃と大腸の内視鏡検査を受けて、「萎縮性胃炎」と「過敏性腸症候群」と診断されました。ピロリ菌の検査結果も陽性で、半年以上、ヨーグルトを食べていますが、症状が改善せず、1年間で体重が3キログラム減って、現在42キログラムです。下痢を止めて、もう少し太りたいと思っているのですが、この病気を治すよい薬はないものでしょうか。

答え

過敏性腸症候群」とは、腹痛や腹部の不快感とこれらの症状に関係した下痢や便秘が繰り返して起こるのに、大腸の内視鏡検査などの精密検査を行っても、症状の原因となる異常が見つからない病気をいいます。原因はよくわかっていませんが、腸の感染症や腸内細菌、ストレスなどが関係していると考えられています。

また、遺伝的な関与もあると報告されています。ピロリ菌の感染や「萎縮性胃炎」とは関係がありません。過敏性腸症候群は有病率の高い一般的な病気です。ただし、過敏性腸症候群と区別のつかない便通異常や腹痛は、内視鏡検査で診断できる「腸結核」などの感染症や「大腸がん」、内視鏡検査では診断できない「糖尿病」や「カルチノイド腫瘍」「甲状腺機能異常」などの内分泌疾患、「乳糖不耐症」のほか、薬の副作用、不適切な食事などでも起こりますので注意が必要です。そのため、慢性的な便通異常と腹痛や腹部不快症状を繰り返す場合には、まず過敏性腸症候群以外の病気がないか、きっちり診断をすることが大切です。

過敏性腸症候群は、腹痛と下痢を中心とした症状の方と、腹痛と便秘を中心とした症状の方に分けることができます。下痢を中心とした症状の場合には、まず食事指導を行います。下痢を起こしやすい食材である牛乳、ヨーグルト、豆類、小麦、たまねぎ、キャベツ、にんにく、オレンジ、蜂蜜、人工甘味料などは避けるようにします。

生活では、禁酒、禁煙、十分な睡眠をとってストレスを少なくすることが勧められます。薬としてはラクトバチルスなどの善玉菌を薬としたもの、腸内の水分を吸着する作用のある親水性のポリアクリル樹脂である高分子重合体薬、腸管のセロトニンの働きを抑えて腹痛や下痢を抑える薬、下痢止めであるロベラミド塩酸塩やタンニン酸アルブミンなどが使用されています。

過敏性腸症候群の治療は、担当の医師とよく相談しながら、長引く場合には少しずつ検査を追加して、隠れた病気がないか調べていくことが大切です。効果のある薬はそれぞれの患者さんで同じではありませんので、最も体に合った薬、治療法を見つけ出していくことも重要になります。

食事や生活にも気をつけていただき、ヨーグルトは下痢の原因となることもありますので、一度食べるのを控えてみられるのがよいだろうと思われます。


ピロリ菌の再除菌をするように言われています。

2016-02-18 10:51:49 | 消化器

質問

ピロリ菌の再除菌をするように言われています。

答え

「胃潰瘍」でピロリ菌が陽性であったたために、除菌治療を受け、半年後の検査ではピロリ菌が陰性であったのに、1年後には胃潰瘍の再発と同時にピロリ菌も陽性となっていたのですね。

これは時々ある残念なケースです。最初の除菌治療は、「胃潰瘍治療のガイドライン」にもあるように適切な治療です。半年後の「ピロリ菌陰性」は、結果的にみると「偽陰性」の可能性があります。このようなケースはまれですが、検査方法によっては時々あるのです。少量ですが、ピロリ菌が胃のどこかに残っていたと思われます。

もちろん、いったん除菌されていて、新しいピロリ菌が再感染した可能性はあるのですが、これは非常にまれであると考えられています。いずれにせよ、ピロリ菌の再燃または再感染とともに1年後に胃潰瘍の再発が起こったものと考えられます。したがって、最初の除菌治療は失敗したと考えて、再度の除菌治療が必要と思われます。この場合、生検組織を用いた「ピロリ菌の耐性」に関する検査を行う場合もありますが、一般的には、最初に用いた抗生物質には耐性があると判断して、異なる抗生物質を用います。具体的に申しますと、最初に用いたクラリスロマイシンをメトロニダゾールという抗菌薬へ変更した治療を行います。

除菌に成功する確率は約90%ですが、除菌治療の1週間は禁酒が必要です。ただし、このメトロニダゾールは、ピロリ菌の除菌治療に対して健康保険の適用がありません。この薬については自費になる可能性もあることを承知したうえで、担当医にご相談ください。もし、「最初と同じ抗生物質でなければ治療できない」といわれた場合は、ピロリ菌の専門医にセカンドオピニオンを求めるべきだと思います。

なお、胃潰瘍はピロリ菌の除菌治療で再発は激減するのですが、まったく再発がないわけではありません。また、胃潰瘍の人の胃は、胃がんが発症するリスクも健常者より若干高いために、除菌に成功しても定期的な内視鏡検査をお受けになつたほうが賢明です。

関連情報:

胃腸の不調はストレスよりもピロリ菌のほうが要注意


便秘を解消したい!便秘薬「センナ」がないと出ない

2015-01-16 16:19:22 | 消化器

相談内容

軽い状態も含めると10年以上も「便秘」に悩んでいます。漢方薬のセンナを服用しないと、1週間でも2週間でも便秘が続きます。ここ何年も、自然に便意を催したり、用を足したということがなく、おなかがパンパンになって、たまりかねてセンナをのむと、2日後ぐらいに便が出るという状況です。以前は腹痛を感じることもありました。長い間下剤に頼ってきたのですが、何とか自分で便を出す感覚を取り戻し、常に あるおなかの張りをなくして、気持よく食事をしたいと思います。治療法はないでしょうか。また、どの診療科を受診したらよいでしょうか。

答え

長い間の習慣が、ことに大腸の動きを怠けさせているに違いありません。生薬のセンももこれに一役買っているかもしれません。センナは刺激性の下剤ですから、怠けた腸の運動を刺激するのに役立っていたはずです。しかし、センナを服用し続けることによって、植物性の色素が大腸に蓄積して、大腸を黒く変色させ、「大腸黒皮症」という状態が起こります。

欧米では、大腸の動きを調節する神経にもこの色素が沈着するとも言われており、いずれにしても大腸の動きに影響が出ることが予想されています。そのため、だんだんに下剤の効果が落ち、使用量を増やさなければならなくなると言われています。私が診た患者さんでは、ほとんどの方で、センナの使用をやめると、沈着した色素が徐々に減っていき、やがて消えていきました。

そこでまず、センナなどの生薬を服用している場合は、生薬ではない刺激性下剤に変更します。これを毎日服用して、毎朝の排便習慣を身につけることから始めることをお勧めします。また、食物繊維を多くとるなど食事内容に気をつけたり、積極的に運動を行うなどに向田意して、やがて薬を中止することが望ましいと思います。そのためには、早起きが必要です。朝ご飯を食べたら、15分後にトイレに行き、5分間だけ排便に集中するというリズムを身につけてください。食事をすると直腸以外の大腸が活発に動きますが、特に朝は小腸もこれにあわせて動きます。

このときに、直腸にほどほどの内容物があれば、便意が発生するのです。便は夜つくられ、睡眠中に直腸に運ばれるといわれています。よい便をつくるには、食物繊維が重要です。副食では、海藻、きのこ、こんにゃくなど、食物繊維を多く含む食品を常にとるように配慮してください。野菜、果物、いも類も欠かさないでください。主食は雑穀を混ぜたご飯とし、豆類もできるだけ多くとりましょう。以上のような食品をよくかんで、たくさん食べてください。歩くことも、便秘の改善に役立ちます。会社の行き帰りの歩行運動程度でよいのですが、歩幅を大きめにとり、早足で歩くなどの工夫が必要です。また、腹筋を鍛えるために、昼食5分前くらいに、少し腹筋運こ、つもん動を行うとよいでしょう。肛門を締めたり緩めたりする運動も行ってください。相談する場合は、消化器内科を受診してください。