将門ブログ

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新将門考-崇門の巻

2005年02月10日 | 歴史考察
 平安の都は、全然平安ではなかった。人々は祟りを恐れ、それを真面目に信じていた。特に信じていたのが朝廷だった。そもそも平安京が創られた理由そのものが、祟り封じだったのだ。平安時代を理解するには、この『祟り』を避けて通るわけにはゆかない。

 長岡京に都を移してから一年後、時の桓武天皇は大変な政変に見舞われていた。785年、腹心の藤原種継が暗殺されたのである。首謀者は大伴継人等とされすぐに逮捕されたのだが、類は桓武天皇の弟・早良(さわら)親王にまで及んだ。親王は元々皇太子と決まっていたのだが、藤原種継の娘と天皇のあいだにできた子(安殿親王)が皇太子となる可能性が出てきたため、それを阻止する行動と見られたのである。しかし早良親王はこれを不服とした。幽閉先の乙訓(おとくに)寺で講義の断食を行い、淡路島へ流される途中で無念の餓死・・。
 さあ、それから天皇の周辺は大騒ぎ。まず妃の一人旅子の母が病死、続いて旅子も亡くなり、天皇の母・高野新笠(たかのにいがさ)、皇后の乙牟漏(おとむろ)も相次いで死亡。さらに皇太子として立てた安殿(あて)親王が重い病気にかかったまま回復の兆しなし。この事態を陰陽師に占わせたところ、なんと『早良親王の祟り』と出る。桓武天皇は慌てて平安京への遷都を決定した。その後早良親王は祟道天皇という称号を与えられ、大和に手厚く葬られることになる。
 平安京への遷都そのものも陰陽師の占いによって決定された。それは邪悪なものがしないようにと、風水に基き計画され、造営されていったものだった。四神相応(東・青龍、西・白虎、南・朱雀、北・玄武)の地形に囲まれ、羅生門の左右を、東寺・西寺で固め、さらに東北の鬼門・比叡山には延暦寺を建立。あの手この手を尽くして怨霊が進入しないようにと、措置が取られていた。しかしそんな努力も、桓武天皇六世の将門・貞盛の時代には、役に立たなくなっていた。

 時は醍醐天皇の御治世、903年、大宰府の地で菅原道真公が無念の死を迎えると、道真公左遷の張本人、藤原時平の周辺では、相次ぐ不幸に見舞われる。906年、大納言・藤原定国死去(41歳)、908年、参議・藤原菅根死去(53歳)。そしてついに藤原時平自身も、909年39歳の若さで死亡。それだけでは終わらず、913年、道真公の代わりに右大臣に座った源光が『底なし沼』に引き込まれて事故死(69歳)。このころから道真公の崇りといううわさが流れるが、そのうわさも皇太子・保明(やすあきら)親王が923年、21歳の若さで急死したことにより表面化。醍醐天皇は慌てて道真公左遷時の詔書を破棄して右大臣に戻し、改めて正二位を贈り、年号も延喜から延長に改正する。 そこまでして皇太子に据えた孫の慶頼(よしより)王も、2年後の925年、わずか5歳で天然痘により死去。いよいよ醍醐天皇は、心理的に追い込まれていくのである。
 藤原時平が死亡したころから、日食・月食・彗星・落雷・地震・旱魃・洪水・火事・伝染病の流行が頻繁に起こるようになり、それも道真公の崇りのうわさに拍車をかけていたのであるが、930年、ついに決定的な事件が宮中で勃発してしまうのである。6月26日、旱天続きの対策で、諸卿が殿上に侍して請雨の件で会議していたところ、にわかに雷鳴し、清涼殿西南の第一柱に落雷。殿上の間の東北隅座っていた大納言・藤原清貫と右中弁・平希世等が震死,紫宸殿に居た右兵衛佐美努忠包等が髪を焼かれるなどして死亡。
 醍醐天皇はこの事件に激しい衝撃を受けて病床に着き、咳病を患って病勢を募らせた。死期を悟った天皇は、9月22日に寛明親王に譲位(朱雀天皇)、左大臣の忠平に摂政のことを依託し、29日46歳を以て崩御されるのであった。

 将門が叔父たちの縁戚に不意打ちを食らって、鬼として暴れ始めるのが、この五年後の935年と将門記(しょうもんき)は伝える。そしてその将門記では、将門公の晩年、死んだはずの菅原道真公と直接関わる記述が載っているのである。

<あとがき>
 将門が中央で仕官したいた時は、なんと直接醍醐天皇の側仕えとして侍していたという記述を、平家礼賛というサイトにて発見いたしました。そのころの中央朝廷の雰囲気って、こんなにもおどろおどろしかったんですね。教科書には載せることができない、歴史の真実といったところでしょうか。だから陰陽師も発達してくるわけでありますが、スーパースター安倍晴明が誕生したのは921年、将門が19歳のときではないかと、伝えられております。
 ちなみに道真公が神として祀られるようになるのは、将門死後の話しであります。道真怨霊伝説は、まだまだ序の口なのでありました。う~こわっ。。

写真は茨城県水海道市にある、菅原道真公墓所。

/文:シュバン/平将門関連書籍将門奉賛会


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