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首領日記。

思い出の味はいつもほろ苦く、そして甘い

【戦争RP】何時か何処かの戦の炎(15)(記録用)

2012年10月29日 01時48分17秒 | KOCSNS・【戦争RP】何時か何処かの
*** 公海上 海賊船内 ***

向かい合う鬼面の男がどこまで把握しているか不明のため、一応状況説明が必要だろう。海賊という相手の立場を考えると、
「さっき見せた襟章の通り、俺は凍牙で元帥相当の権利を与えられてる。立場は、まあ凍牙首領直下の役外任用官といったところかな」
この程度の口調がいいか。
そして、事実に近い説明だが、その権利は俺が凍牙に利する限りだということは伏せておいた。

「貴殿はおそらくルネージュと契約している船団だと思うんだが、どうかな?」
相手は少し考えーー頷く。
状況を鑑みて敵性が低いと判断してもらえたか。身元を明かしたことが奏功したな。
そしてこの男、かなり判断力は高い。
だとすると。

ここで俺は明確に口調を変える。

「……目下の私の目的は二つだ。
ネウガードを中心として進行しつつある情況の把握と、それに付随する権益の確保。そして、我が首領閣下の権勢をナハリに届かせること。
ご存知とは思うが、ナハリの政体は現在その能力を著しく欠いている。これは我が国にとっては機会でもあり、危機の芽でもある。
今後予想されるネウガード戦役を契機として、それを摘み取っておきたい」

これがこちらの大目的だ、と示し、そして本題に入る。

「周囲には伏せているが、呪いの岡での小競り合いの後、すでに我が国とルネージュは同盟締結が決定している。
今後の予定として、ルネージュ・凍牙、そして進行中の交渉次第だが、もう一国の連合軍がネウガードに向け陸路進軍を開始する。
連合軍は凍牙領土内を通って軍を進め、国境線に大軍を待機させた状態で、ナハリへ通行許可と連合軍への物資供与を要求する。
言うまでもないが、これは占領と同義だ。
だがナハリにはこの事態に対応する手段がないため、国内の富裕層、そして現在の政務関係者の多くは我先に国外脱出を図ることになるだろう。
ジグロードは傭兵国家で身を寄せる先として不適格。東西を連合軍勢力に挟まれている状況で、脱出先は海路ネウガードに向かうしかない。

ーーそこで、大挙するカモを丸ごと攫う。
貴殿にお願いしたいのはそこだ。
私は個人的な手勢を求めている。ナハリをコントロールするにあたり、私が凍鉄の牙の人間であるということを知られずに動きたい」

そしてもう一つ。
「フレッドバーンへ、ごく個人的な要件があるのだが、便は出しているかな」

【戦争RP】何時か何処かの戦の炎(14)(記録用)

2012年10月25日 01時23分50秒 | KOCSNS・【戦争RP】何時か何処かの
*** ネウガード国境付近 最前線の砦 ***

「私は、元守護騎士国家ヘルメス、第二代国王エルフィンティア。貴殿らの要求に応じ――我らの同胞を迎えに参りました。貴殿らの首魁と対面する場を設けていただきたい」
魔瘴の砦に不釣合いな、凛然とした声が響いた。


ややあって黒鋼の城門が軋み、ゆっくりと開く。
門扉の隙間から瘴気がぬるりと漏れて、風に霧散して混じってゆく。

その先。
出迎えたのは、女の声よりさらにこの場に不釣り合いな、
「お待ちしておりました。ヘルメスの御方」
仕立ての良い服に身を包んだ、少年の微笑だった。

「『G』――ギルヴィッド卿は最上階におります。ご案内の前に、失礼ではありますが、お願いしました対価を確認したいのですが、よろしいでしょうか?」

【戦争RP】何時か何処かの戦の炎(11)(記録用)

2012年10月24日 02時05分50秒 | KOCSNS・【戦争RP】何時か何処かの
*** 護森兵団デアヴァルト 参謀室内 ***

ジジジ…という不可思議な音を発し、参謀室内の空中に、四角い映像が浮かび上がった。
映し出されたのは、漆黒のドレスに身を包み、ショートヘアを典雅な髪飾りで彩った女。
『こんばんは、リュキ様、水月姫様。何かお久しぶりですね、ハーティーです。今日は凍鉄の牙首領としてこの場にお邪魔させていただきます』

*


*** ネウガード国境付近 最前線の砦・地下室 ***

「なんか後ろがちょっと汚いところですけど、気にしないで下さい。今はこのお話を首脳部だけで止めておきたいと思っているので、あえて王宮近くの闘技場の地下室を使っています」

ハーティーに化けたカティが、ギルヴィッドから預かった小剣に話しかけている。
当然だが、ここにいるのはカティだけ。
脳内ではリアルタイムで主からの指示が飛んでいる。
海賊との交渉は既に終わっていた。主は今、海賊船の船室にいる。
自分はただ、フーの小剣の幻映から伝わる情報を余すところなく主に伝え、主の命の通りにかつて見た女を演じ切るだけ。
ただ、それだけ。

*


*** 公海上 海賊船内 ***

はじまった。
相手はカムリア、護森兵団デアヴァルト。
カティの表現からするに間違いない。いるのはリュキアール・シ=ヴィト、水月姫、そしてバステトだ。

……なんとかしろよ。俺。
掌に滲む汗をシャツの二の腕で拭いながら、襲い来る得体の知れない感情を振り払う。

初手は「久しぶり」で間違いない。
三代目首領と彼女たちの面識は知らない。だが、少なくとも深い仲ではないはずだ。そうでなければ俺の知っている彼女の記憶に合わない。
そして、“会ったことを忘れていても”、悪いのはあちらだ。

*


*** 護森兵団デアヴァルト 参謀室内 ***

『さて、さっそくですけれど』
“ハーティー”が語り出す。
『フーさん、私の代理人が伝えた希望について、すこし誤解があったようですね。ナハリへのお願いは、三国の同盟の名で出して欲しいんですけれど』
映像の彼女がクスっと笑う。
『だって、私たちにはネウガードを攻める理由がないんですよ』

会談の矛先はフーへ。

【戦争RP】何時か何処かの戦の炎(10)(記録用)

2012年10月23日 22時37分41秒 | KOCSNS・【戦争RP】何時か何処かの
船室のドアをノックしたのは、到着を告げにきた船員ではなく、
「悪ぃがちょっと部屋を出て、ついてきてもらえますかね」
お世辞にも柄のよろしいとは言えない、見知らぬ男だった。
俺は報告と頭の整理のために動かしていたペンを止め、手帳を懐に仕舞い、魔術でロックする。

窓の外が濃霧で一度覆われて、それから航行の様子がややおかしかった。
随行していた軍船団とはぐれてしまい、挙句、航路の修正に手間取っている間に海賊と鉢合わせたというわけだ。なんともツキがない。


さて。2度目になるが一応。
『風読み』、起動。

肌が消える感覚。魔術による触感の拡張と接合。
仮想神経が空気を構成する分子を伝って延伸する。身体と外界の多重境界が、触感の面でのみ突破され、継ぎ足され、再構築されていく。
一瞬だけ、俺を中心とした半径800mの半球が俺の触覚領域となる。

船の減速が終わりかけたときから状況は変わっていない。
メイン1隻、フリゲートがこの船に右前から接舷し、頭を抑えている。随伴が2隻。1隻は左側面にほど近い位置で、もう1隻がやや離れた位置に陣取っている。この船の旋回を押さえると同時にクロスファイアできる位置に2隻を置き、1隻を支援と哨戒に当たらせる布陣だった。
上手く囲い込んだのだろう。相手のほうが上手だな。


ネウガードかフレッドバーンに身を寄せる相手かと疑ったが、甲板や彼我の船内の状況を確認するに、どうもルネージュかトータスブルグのお抱えらしい。領海近くで単独ふらふらしている船舶があったので、ということか。
まあ焦っても仕方あるまい。
身元が確認できればもとの航路に誘導してもらえるだろう。少し大人しくしていればい


――閃きがあった。

この海賊は、使えるな……。


船室の椅子から立ち上がり、
「貴様らは何者だ。所属を言え」
威圧する。
「私はルネージュ宮廷政任参事官、リヒャルト・S・ラスタヴィレイドだ。貴様らは何者だと聞いている」

もちろんそんな役職は存在しないし、そんな男も存在しない。

*

まずいことになった、という男の顔を罵倒と難詰の嵐で小突き回したあと、そちらの代表に会わせろという、首肯以外の反応を許さない主張を叩きつけた。

なんとか仲間を呼ぼうと振り向いた男を睨めつけながら大股で追い抜き、他の船室の乗客と男の仲間たちの視線を浴びながら、甲板へ進む。男はどうして良いかわからず従者のように後ろを着いてくる。

甲板へ出た。
頭の位置は『風読み』でわかっている。

取り乱しながら両手を振って誤解を解こうとする船長の目前に、「彼」はいた。
ツキがないか間抜けかどちらかの船長を無視し、海賊の頭の前に出る。
「頭、この方はルネージュの――」
掌を掲げて部下の声を静止し、鬼面の男が誰何する。
あなたは誰だ、と。

「船団長殿、少し二人で話ができないかな」
軍服から外しておいた襟章を、彼にだけちらりと見せた。
凍鉄の牙、国軍将官の証。
相当階級、元帥。

一応、本物。

*

フリゲートの、応接室代わりに使われているだろう船室に招かれ、鬼面の男と二人きりとなった。
年季の入った革のソファに腰を下ろす。
さっそく本題から入ろう。


「ナハリのお偉方連中から身代金をしこたま踏んだくれる、素ん晴らしい提案があるんだが」

【戦争RP】何時か何処かの戦の炎(9)(記録用)

2012年10月21日 13時37分41秒 | KOCSNS・【戦争RP】何時か何処かの
*** ネウガード国境付近 最前線の砦・最上階 ***

「……兎に角相手を誉めて称えておいてくれ給え。それだけの価値がある捕虜だからな」
言うと、ギルヴィッドは座ったまま目を閉じた。

休息に入った男の邪魔にならぬよう、カティは黙礼だけを返し砦の最上階の扉を出る。

*

《という状況です。ご主人様》
今は持ち主のいなくなった砦の記録室に篭り、少年は主へ意思を飛ばす。
《なるほどよくわかった。文面はシンプルなものでいいだろう。今から言うとおりに書け》
少年の右腕が暴れ始め、黒く泡立ち、節くれのように隆起し、黒衣に包まれた長い腕に変わった。
《準備はできたか? その方が雰囲気が出て良い》
《はい》
酒場に掲げられていた募兵の告示。筆跡のコピーも終わっていた。



“ 告 守護騎士国家ヘルメスの遺志へ

本日、貴軍・猛将ファウスト率いる騎兵隊と剣を交えけり。
此度は天運我にあれども、首級に至れず痛恨の極み。
ヘルメスの武勇、見事なり。
次なる死合、待ち遠しく願う次第。

尚、貴軍優兵、当方にて預かりき。
戦の習いにて下記の通り返還申し出る次第。
・兵一命     金貨壱千
・兵一命(荷有) 金貨弐千
御受けにならば馬に身代お預け迄。

不死兵団ヴァニティア G“



《――書けました。ご主人様、この一命とは、何故この字を用いるのでしょうか?》
《死体ではなくちゃんと生かして返すよ、だ》
《人質の数を書かなかったのは何故ですか?》
《出陣時の数から生還した数を引いて、『人質になっているかもしれない』数はわかるだろう。あとはいくらぐらい払うべきか、あちらのお偉い方にウンウン唸って考えてもらえばいい》
《なるほど。わかりました。あとはこれを括った馬を放てばいいのですね》

それから少年が一呼吸置いて、
《ご主人様、その、今後のことなのですが》
《ん?》
《むやみに晒すべきではないと、わかってはいるのですが……》
この少年には珍しい逡巡。なるほど。
《わかった。そうだな、「命」を救ってもらった御恩を返さねばな》
少年の表情がぱあっと花咲く。
《良いだろう。使え。許可する。あの方も御仁だ。学ぶところは多かろう。お役に立たせてもらえ》

使い魔カティ。
スキル「変身」、アンロック。

《あの人だけじゃない、今日の相手のファウスト氏も、肌で分かったろうが名にし負う勇者だ。この世界にはまだまだお前の知らない英雄がいる。勉強してきなさい》
《はい!》
少年には彼らが宝石のように見えていた。
《それで、ご主人様はいまどちらに?》
《ああそうだった。Gさんが起きたら伝えてくれ、商戦狙いの海賊船がまだ出回っている。ネウの海軍はまだ十全に動けていないようだ、とな》
《海賊、ですか?》

《ああ。ちょうど今、俺の船も襲われたところだ》

【戦争RP】何時か何処かの戦の炎(8)(記録用)

2012年10月19日 02時32分53秒 | KOCSNS・【戦争RP】何時か何処かの
***公海上(プラティセルバ・トータスブルグ北回り航路)***

この季節にしては穏やかな海だった。
さすがに波は高いが、強風による不規則な横揺れが少なく、船の上げる軋み声は心地よいくらいのリズムを描いていた。
客室の丸窓から、彼方に焦げ茶色の大陸の姿が覗いた。それ以外はすべて、青、青、青。
鉄錆臭い大地が別の世界だったかのような、航海日和であった。

報道機関を名乗ったとしても、軍艦に忍び込むのは労多いばかりであまり意味が無い。
俺が選んだのは、軍艦の群れに随伴していく武装商船の一つだった。

戦地周辺では海賊や私掠船が横行するため、海商は安全を取って運行を取りやめるか、他社のそれを見てリスクテイクするかという選択を迫られる。
俺は後者のうち、大きめで堅牢だが新旧の傷が多少見られる船――生き残ってきた経験者のものを選んだ。乗船前にこれまでの運行記録も確認させてもらったが、懸念すべき点はやはり見当たらず、そこまでで乗船のタイムリミットとなった。十分だろう。


《ご主人様》
カティからの交信だった。
《ギルヴィッド卿とヴァニティア、ネウガード内にて防衛勢力と交戦を開始しました》

この子をどちらにつけるべきか悩んでいたが、酒場からの出立直前にフーが姿を消したことで、自然と選択肢が消えた。
情報を流し続けることで俺を逆に縛っておくかと思ったが、案外切るのが早かったな。何か気付いたのか、それとも今後の行動は特に秘匿したいものなのか。

大きな問題はない。
よっぽどのパワーバランスの変更がない限り、二正面作戦を避けるためルネージュは凍牙を無碍にできない。それはひいては彼女と俺の関係でもあった。
そして現状、俺の側に彼女を陥れる利もない。それは彼女もおおよそ理解するところだろう。

《相手は?》
《『元守護騎士国家ヘルメス、幻竜聖締騎士団、第二部隊長ファウスト』、そう名乗られました》
ほう。ヘルメスとは。また良い名前が出てくる。
《状況を。短く》
《卿と志願兵40に同道し、ネウ領内の山岳地帯にて騎兵隊と接敵。数170ほど。僕は卿の近くにおりますが、卿の呪文の効力で身体不調。このままでは次の騎兵隊の突撃(チャージ)をおそらく生還できません》
思考する。
……変身させても結果は変わらんだろうな……。
《ダメならそのまま死んで問題ない。Gさんにひとつだけ伝えろ》

*

妖霧と怒号と爆音が支配する、ギルヴィッドとファウストの戦場。

「ギルヴィッド卿」
血みどろの場に不釣り合いな少年の声が響き、
「その子の名前は――」



あの日。
英霊たちの魂を還した同じ空の下、朽ちゆく墓剣たちの隙間に、澱のようにそれが生まれ落ちていた。
強く美しい鷹たちの思い出のほとりに湧いた、醜い蛆のようだった。


 嗚呼あの翼を
 嗚呼あの爪を
 神は何故、俺に、この僕に、私にこそ授けたまわなかったのか
 俺にもあの力さえあれば、機会さえあれば。あいつさえいなければ。あのとき嗚呼ただあのとき手を挙げてさえいればもうほんの少しツキがあれば星の廻りがわずかに違ってさえいれば。
 こんなはずではなかった
 こんなはずではなかった
 こんなはずではなかった
 俺はもっと、本当の俺はもっと、本来であればもっと、
 嗚呼こんなにも世界が
 狂ってさえいなければ


英霊に遠く至らぬ浅ましい生霊たち。
何者にもなれなかった弱くか細い名無しの民(ネームレス)。
彼らの煮え切れぬ狂おしい憎悪と羨望の炎が、地獄のように結晶していた。




「その子の名前は、アルロフェイジ。
カイゼルオーン『異食らう土(アルロフェイジ)』」


血を啜って魔剣が猛る。
見つけたと。嗚呼見つけたと。

見つけたぞファウスト。

――英雄(おまえたち)を、一人残らず否定してやる。

【戦争RP】何時か何処かの戦の炎(7)(記録用)

2012年10月18日 01時16分09秒 | KOCSNS・【戦争RP】何時か何処かの
エジュー・プラティセルバ線に向かう前に、俺はカイゼル・エジューを統治する凍鉄の牙・現首領宛に書簡を出していた。
“現状の混乱する世界で呪いの丘を放置していたとあっては、我々の手落ちになりかねない――”

情勢不透明の現時点、凍鉄の牙にとってはどちらの陣につくにもリスクが高い。時間稼ぎの理由が欲しかった彼らにとって、『不要な混乱を予防するため、第一に呪いの丘防衛』という題目は、態度保留にうってつけだろう。
ネウガード・ルネージュ間の交通の要を握っていることも、玉虫色の態度を取るだけの手札となるはず――と見るはず、と読んだ。

国境線の状況把握に一日ほどかけたところで、承諾の書簡とともに、増援が到着した。
鎮火作業は、首領からの命を受けた兵たちを用いて行った。彼らが面で抑えている間に生け贄の羊を狩り出す、ごく簡単な作業だった。


これまでも世界を呪う者たちを自ら喚んできた呪いの丘。召喚者の完全なシャットアウトは無理だが、凍牙による防衛は抑止力にはなる。
無名の寡兵で戦局を動かせる呪竜をリスク計算から外せるのであれば、戦争は統計学の手の中に戻る。攻者優位の電撃戦モードから、あちらを立てればこちらが立たずの票読みモードへ。
これで、出兵したルネージュが手薄となった背後を突かれる恐れも、多少は減らせただろう。


"首謀者"の処刑を見届けたあとに凍牙の軍服を着替え、
「報道機関の者です」
取って付けた腕章と、集中力が散漫になる程度の精神魔術を用いて、ルネージュに入国した。

このまま報道機関の者として、トータス行きの船に紛れ込む。
大酒場で鬨の声が上がって3時間ほどになる。
トータスへの到着は、第三陣といったところか。

【戦争RP】何時か何処かの戦の炎(6)(記録用)

2012年10月17日 23時44分47秒 | KOCSNS・【戦争RP】何時か何処かの
「フーさん、そして少年。一つ聞こう。昼夜を問わず行軍し兵糧も必要とせず…………そんな軍に追われる気分は、如何なモノであろう……」

途中から、彼の言葉は耳に入っていなかった。
闇の眷属を率い、酒場に集った猛者たちを熱狂の渦に引き込んでいくその男を、カティはじっと見ていた。


ああ、ご主人様。
ありがとうございます。
お計らいのおかげで、こんな素晴らしいひとを見ることができました。
こんなひとが欲しかった。
このひとは、いい。


鬨の声にかき消されて、少年の呟きは誰にも届かなかった。
カティはじっと、その男を見ている。