ブラジルVSガーナ戦を観終えて、お利口に就寝した昨夜。
昨夜の試合のことは、新聞で書き尽くされているだろうから省略。
気になったのは、解説者がブラジルの勝利の一因としてやたらと用いていた「伝統の力」という言葉。ガーナもリスクを背負っての果敢な攻め方だったと思うし、あれほど決定的なシュートチャンスのシュートがどれもこれも決まらなかった中には、ブラジルのGKの好セーヴというよりは不運としか言い様のないケースもあったように思う。だから、ガーナの攻めと敗退をも「伝統の差」という言葉で片付けていいのかなあと思えた。
サッカーとブラジル・・・・
その「伝統」とやらを、どこまで遡ればいいのかしら。
往々にして、国旗と国歌にその国の伝統が盛り込まれているので、
ちょっとブラジルの国歌を眺めてみた。
イピランガの川岸から聞こえる
鳴り響く勇者達の雄叫び
祖国の空に自由の太陽が光輝く
力強き腕(かいな)で勝ち取りし平等の誓い
おお 自由よ その胸の中へ
我等の魂は死をも厭わない
愛しき 崇拝すべき祖国よ
万歳!万歳!
ブラジル そこは鮮やかな夢と
愛と希望の光が振り注ぐ大地
清き微笑が漂う美しき空
南十字星がまばゆく光り輝く
生まれながらにして強く美しく
恐れ知らずの巨人よ
汝の未来は偉大なものとなろう
<コーラス>
おお 愛しき祖国 ブラジル
数多(あまた)の中で最愛の国よ
汝は我等の優しき母
愛しき祖国 ブラジル!
解説によれば、このブラジルの国歌は、
フランシスコ・マヌエル・ダ・シルバが1822年の独立当時に作曲した「凱旋マーチ」が原曲とのこと。歌詞の中で登場する「イビランガ」とは、サンパウロ市郊外のイビランガの丘を指し、ポルトガルの皇太子であったドン・ペドロが「独立か、死か」と馬上で叫び、高らかに独立を宣言した建国の地を指すそうだ。
「独立か、死か」・・・
これは「自由か、死か」といった言葉といっしょだ・・・
日本には無縁の言葉かもしれない。
メル・ギブソン主演の映画『ブレイブハート』を思い出す。スコットランドの祖ともいうべき英雄ウィリアム・ウォレスを描いた映画。メル・ギブソンが公開処刑の場で涙と涎で顔をぐちゃぐちゃにして最期に叫んだあの「フリーダム」という叫びには胸が引き裂かれそうだった。
歴史上実在のウォレスがどんな形で処刑されたか、興味のある方は検索していただき、四つ裂きというヨーロッパの誇る処刑方法をぜひ知っていただきたい。
サッカーの強い国は、そうした歴史を共有している。
これも、日本とは無縁の歴史。
ところで、ブラジル、
最初の皇帝がポルトガルの皇太子。両国の繋がりは深い。ブラジルの国語はポルトガル語。国語を英語でマザータングというけれど、ブラジルの母なる国語は、ポルトガル語なのである。
そのポルトガルは大西洋を隔てた対岸の国。
ポルトガル王家はスペインの元となるアルゴン国も治めていて、それがやがてスペインとなり、そのスペインの王が神聖ローマ帝国の王になったりしている歴史を辿ると、
ああ、ヨーロッパは一つだなあ・・・ということが人間関係で実感されてくる。
そのポルトガル王家にまつわる話で、ブラジルのサッカーに通じる凄まじいのがある。ブラジルの初代皇帝でもある18世紀のドン・ペドロ4世(ポルトガルでは4世と呼ばれ、ブラジルでは1世になる。バルセロナ王家の王)も凄まじいけれど、その時世を更に遡って14世紀にいくと、ドン・ペドロ1世(ブルゴーニュ王家)という皇帝と出くわす。
このポルトガルのペドロ1世のことを是非調べてもらいたい。
運命の女性と出会ったときの明るく陽気な直観力と美への芸術的センス、そうして好きになったら一直線、どこまでもどこまでも愛しぬく大変な情熱!横槍も陰謀もなんのその、その意志の強さ、強靭さは磐をも砕きそうである。加えて、忍耐強く、勝負強い。皇位を継承してからの知略、そして愛する女性を手にかけた相手をどこまでも追い詰めていく執念たるや大変なものである。
「女性」を「サッカーボール」に替えれば、まるでブラジルのサッカーに通じるではないの。
こうした歴史を遡っていくと、「伝統」というよりは「血」のように思われてくるのは、わたくしだけかしら・・・
そんなことを考えながら温熱治療をして寝たせいだろうか。
微熱も手伝って、おかしな夢を見た。
きっと前の日に読んだ須永朝彦の短編集のせいだろうと思うけれど、闘牛士が出てきて、なんとその同性愛の闘牛士が牛に剣を突き刺す代わりにサッカーボールを蹴るという夢だった・・・・(--;)
お陰で、
今朝になっても両足の関節が痛い。