クラブボクシング@ゴールドジム湘南神奈川

普通、湘南辻堂といえばサーフィンなのにボクシングでひたすら汗を流すオッさん達のうだうだ話!

週末のはなし

2022年06月13日 | 哀しき酔客

髪を切った。

「バッサリいってくれ。」

「そんなに短くするんですか?暑いからですか?」

「それもある。ただ、若い頃の自分を取り戻したいんだ。

オジサンの最後の悪あがきさ。」

「若さと短さは関係あるんですか?

いつものツーブロックの方が若いけど。」

「自分的にって話さ。私は若くてバリバリ働いていた頃、

ずっと短かったのよ。あの頃の自分を取り戻したいのさ。

ボクシングも一生懸命やって、

仕事も愚痴ることなく取り組んでいた。

あの頃の俺に。」

 

 

走った。

どうしても飛ばしてガス欠を起こすから、

ゆっくり走っている人をペーサーにした。

遅い。遅過ぎる。歩くペースだぞ。

疲れたから歩きたいんだけど。

もっと速く走りたい。

ガス欠寸前だ。

空を見上げた。

雲行きがあやしい。

「こりゃ雨降るな。」

その刹那。

雷鳴とともにとてつもない雨が降ってきた。

一気にペースを上げた。

もうびしょ濡れだ。

紅音さん並みだ。つまりほたる並みだ。

 

雨宿りをした。

雨に濡れて困っている女性がいるといいな。

そうしたらタオルを渡してあげよう。

女性はこう言うだろう。

「洗濯して返すので連絡先教えて下さい。」

「いらないよ。また会えるさ。」

私は笑顔でそう言って、雨の中に消えていく。

女性は叫ぶだろう。

「次はいつ会えますか?せめてお名前だけでも。」

私は振り向くことなく手を挙げて

「はじまりはいつも雨だよ。」

 

そんな女性はいるはずもなく、

時間が惜しいので、雨の中を走り去った。

もう靴の中も水たまりができている。

こりゃ怒られるな。

 

 

おわり