サードウェイ(第三の道) ~白井信雄のサスティナブル・スタイル

地域の足もとから、持続可能な自立共生社会を目指して

「高速道路の無料化」は理解できない?

2009年09月06日 | 雑感
写真:スイフヨウ(今年の一番花)


今回の選挙、私は久しぶりに投票を回避した。

政権交代への世論の期待も大きいなか、天邪鬼ということもあるが、民主党の政策でどうしても理解できないことがあったからだ。

それは、「高速道路の無料化」である。民主党のマニュフェストが出てから、ずっと気になっていたので、人に会うたびに話題にしていた。

ある環境関連雑誌が、この件を問い合わせ、渋滞緩和で二酸化炭素排出削減になるという回答をえて、今後もウオッチを続けることを条件に、民主党支持を表明したという話を教えてもらったこともある。

岩手大学の先生は、地方都市では渋滞がひどいので、高速道路の利用が増え、渋滞が解消されることは歓迎すると言っていた。でも、「それで需要が喚起されたら、燃費向上分が、交通量増大に相殺され、二酸化炭素排出量は増える」という意見交換をした。「地域内交通の話と地域間交通の話も区別しなければならない」という話もした。

その後、今日の報道番組を見ていたら、「混雑の経済学」に基づき、段階的に実施すると、民主党の議員が言っていた。混雑をする地域では有料のままにして、地方のような高速道路が空いている地域は無料にして、下の道の渋滞を緩和するというような話だった。

少しは裏づけの議論がされているようだ。民主党の公約の根拠から確認する必要がある。検索すると、2009年3月25日の日付で、民主党『次の内閣』閣議(中間報告)・民主党高速道路政策大綱の中で、「高速道路の無料化」が記述されている。

次のような内容だ。

以下引用・・・・・・・・・・

(1)生活コスト・企業活動コストの引き下げ
 無料化により、最大2.5兆円の国民負担の軽減が可能となり、物流コストの低下などを通じ、家計の消費増や企業の設備投資・賃金引き上げなどに波及すれば、内需拡大に繋がる。
 また、高速道路の利用や一般道の渋滞緩和で国民の時間コストを大幅に削減することができる。

(2)地域活性化
 高速道路が「生活道路」「地域道路」として利用できるため、地域間交流の活性化が期待できる。同時に都市との交流コストが大幅に引き下がり、地域産品の需要地への進出拡大、地域の観光産業の活性化(SA、PAの活用を含む)、地価の安い地域への企業進出などが期待できる。

(3)温暖化対策
 「渋滞の一般道・ガラガラの高速道路」をもたらしているのは高い高速道路料金である。無料化により、一般道の交通量の一部が高速道路に移行すれば渋滞が解消・緩和されることから、CO2の発生が抑制できる。

(4)「ムダづかい」の根絶
 一般道の渋滞を解消するためのバイパス道路建設などが各地で見られるが、現在既にある高速道路を有効に活用することによりバイパス道路建設を抑制でき、国・地方の財政負担の軽減に繋がる。

・・・・・・・引用終わり


確かに、「高速道路の無料化」は渋滞解消で温暖化対策になると書いてある。でもそれは地方だけのことだろう。都市部ではどうなのか?

また、地方都市でも、2050年に二酸化炭素排出量を7・8割削減という目標を達成するため、公共交通利用とコンパクトな市街地づくりを進めているところだ。到底、そうした議論との整合がとれる話ではなさそうだ。地方の公共交通機関を切り捨てるような話にならないのか。。。

また、地域活性化効果として、域外市場への人流・物流の活発化を期待するといっているが、逆のこともある。都市から地域に物が流れ、地域からはお金が流出するだけにことになるかも知れない。吸引力のある方に吸い取られるだけの「ストロー効果」という現象が危惧される。

域内市場の形成や地域の内発的発展という方向を目指す地域にとっては、都市へのアクセス抵抗の軽減は地域づくりを阻害する要因にすらなる。

やはり理解できない。。。

ことは、どのような国土を作りたいのか、低炭素社会をどのようにデザインするのかにも関連してくる。目先の経済効果を求める議論にならないよう、長期的なビジョンも含めて、議論をしてもらう必要があるだろう。





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