岩上智一郎の作品部屋(小説・絵・漫画・料理等)

著書:新宿クレッシェンド
とりあえず過去執筆した作品、未完成も含めてここへ残しておく

『来る』と祝詞と天岩戸

2024年05月28日 07時31分12秒 | 日記(食事以外)

2024/05/27 mon

Amazon.co.jp: 来るを観る | Prime Video

AmazonPrimeの映画『来る』を観て

ハチャメチャなストーリーだけど、面白く観れた

一つ気になった点が……

 

終盤でお祓いをする際、祝詞(のりと)を唱えるシーンがあるが、ちょっと変えているけど、俺が以前群馬の先生にいいからこれを覚えなさいと言われた祝詞とほとんど一緒だった事に驚いた

 

群馬県高崎市にあった不思議な先生 - 岩上智一郎の作品部屋(小説・絵・漫画・料理等)

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当時mixiで俺が書いた記事であるが、サイトの性質上リンク付けできない為、そのままここへ文面を載せたい

 




天岩戸(あまのいわと)2010年03月13日03:46

https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1435556722&owner_id=22700953

『岩上整体』時代、時間を掛けてもどうしても痛みの取れない患者に対し、俺は患者に聞こえないようとある言葉を呟きながら手をかざした
「ひふ●よ●む●や、●と●ちろ●ね、し●るゆ●つ●ぬ、そ●たは●め●、う●●りへ●の●す、あ●け●れ●」
 病院へ行っても何もしても駄目な患者
 おそらく『岩上整体』へ来たのは、藁にもすがる思いで来たのだろう

 だから本当に俺を求めている患者でないと、治す気がしない
 施術をするからには、今の状況よりは少なくても良くさせたいし、できればすべてを治したい
 整体を経営する者としてのエゴイズムだった


「あなたは別に先生じゃないでしょ?」と小馬鹿にしてくる人間もいる
 少し前まで歌舞伎町暗黒時代を過ごし、女を日替わりで変えながら連れ歩く俺の過去の姿を知る者はムキになり、わざわざ整体まで来て、そう言う暇人もいた

 当然患者でも何でもない
 俺からすれば、ただの営業妨害に過ぎない
 あまりうるさいと「邪魔だ、消えろ」と静かに言ってやった

 逆に「先生!」と嬉しそうに来てくれる患者もいる

 別に呼び方などどうだっていい
 言いたい人が勝手に決めればいい

「回数通わせて、金を使ってもらって何ぼだよ」
 そう知り合いにはたくさん言われた

 そうじゃない
 それだったらもっと保険も利いて安く済む病院や接骨院でいいじゃないか
 困っている人を治したいからこそ、俺は整体を始めたんだ
 自信を持って言う俺に、人々は「医者でもないくせに馬鹿じゃねえの」と嘲笑される

 自己の信念を蔑まされ、時には傷つく。でも信念は曲げたくない
 本当に困っている患者が、施術後、「先生、ありがとう…、ありがとう」と俺の手をギュッと握り、何度も頭を下げながら笑顔で『岩上整体』を出て行く姿を見るのが好きだったから

 うん、実際に治った患者さえ身を持って分かってくれているのだから、それで充分幸せじゃないか
 そう思って金銭的には辛い日常を送っていた

 とある先生に言われた
「何故あなたは自分の腕に自信を持たないのです?」


「自信はあります。病院へ何度行っても駄目な患者だって、俺は一発で治したし、これからだって治す自信はある。杖をついた81歳のおばあちゃんも一回で杖を使わず笑顔で返した事あります。その人は82歳の旦那さんも連れてきてくれ、『先生、うちの人もよろしくお願いします』って。だから少しでも苦痛から逃れられるように自信を持ってやってきました」

「じゃあ何故、料金をきちんと取らないのです?」

「金、金って目先の金など欲していないだけです。長い時間掛かってしまう時は、俺が治したいって俺の勝手なエゴでやったまでなんで、追加料金など取る気なんて毛頭ありません。それでも『先生、悪いからこれだけでも受け取って』と、多めにお金を置いていってくれる患者さんだっています。お金以外に、俺の好きなものを調べて差し入れしてくれる患者だってたくさんいます」

「患者さんがね、あなたに何でそうするか分かる? あなたに感謝を感じているし、多く出したいって人は余裕があるからこそ、あなたにあげたいのね」

「俺は歌舞伎町時代、欲望の詰まった金に囲まれていました。一般人の生活をするようになって、どれだけ金を稼ぐのが大変か、身をもって知りました。だからこそ、その好意に甘える訳にはいかないなと」

「何故そう意固地になるの?」

「業が深いからですよ。本当に俺が業が深い。だから困った人をこの手で一人でも多く治していくんです。どこに行っても駄目という患者を何故俺が治せるのか分かりません。でも、救ってほしいと求めてくる患者には、俺も誠心誠意心を込めて、治してやりたい。常にそう接しています。だからこそ、態度が横柄な感じで来た患者は、見ません。『帰れ』と冷たく言い、診る事もしません」

「あなたは本当に商売に向いてないわね」

「先生ほどじゃないですよ」

「何故あなたが他で治せない患者さんを治せるのか分かる?」

「誠心誠意心を込めているからじゃないですか? 人間の腕です。そうどこも大差なんてありませんよ」

「そう、人の技術なんてミクロの差しかないものなのね。でも、あなたは実際に治している。それがどういう事かと言うと、その患者さんは『霊症』なのね」

「霊症? それじゃオカルトじゃないですか……」

「あなたの手にはその霊症を払う力があるの。自分では気付いていないようだけどね」

「馬鹿馬鹿しい……」

「じゃあ何故、あなたは治せているの? 科学的にも医学的にも、どう証明するの、それを」

「……」

「何故81歳のおばあさんが、杖をついてきてあなたのところへ来て、帰り時、杖を使わずに帰れたの? その方は医者へ何度行っても駄目だったと人生自体をほとんど諦めていたんでしょ?」


 俺はもう何も言えなかった

「ひふ●よ●む●や、●と●ちろ●ね、し●るゆ●つ●ぬ、そ●たは●め●、う●●りへ●の●す、あ●け●れ●」
 先生は呪文のような言葉を言い出し、「俺にこれを覚えろ」と言ってきた

「先生! 悪いけど俺の整体は宗教でも何でもない!」

「宗教? ずいぶんと酷い事を言うのね。これはお経でも呪文でも何でもないわ」

「じゃあ、何ですか!」

「祝詞(のりと)…、神の言葉です」

「先生…、俺、みんなに頭がおかしくなったって言われちゃいますよ!」

「誰にも聞こえないように、そして呟くようにするだけでいいです。あなたが手に負えない患者が来て、どうしょうもなくなった時だけでいいから覚えておきなさい」

『ウィキペディア(Wikipedia) 祝詞(のり-と)』
 祝詞(のり-と)とは神道において神徳を称え、崇敬の意を表する内容を神に奏上しもって加護や利益を得んとする文章をいう。通常は神職によって独自の節まわしによる朗誦が行われ、文体・措辞・書式などに固有の特徴を持つ。

 胡散臭いと思ったが、仕方なく俺はこの祝詞を暗記し、自分じゃ手に負えない患者にはこの祝詞を使うようになった
 俺は患者を治し、楽にさせるのが第一だ
 自分の施術で楽にできないなら、神だって縋ろうじゃないか

 不思議な事に、患者は「先生、本当に楽になった。ありがとう」と笑顔で帰ってくれる

 先生って本当に何者なんだろう……
 二時間話すという空間で3000円しか取らない
 変なものを買わせる訳じゃないし、何かをしろなんて勧めてくる事もない

「あ、岩上さん…、これ、ちょっと遅くなりましたが、どうぞ」
 先生は祝儀袋を目の前に出してきた

「先生…、何を言ってんですか? 気持ちだけで充分ですよ」

「私があげたいから、こうして用意しておいたのです。私はここから動けないし、あなたの整体まで行く事すらできません。次に来たら渡そう。そう思って用意しておいたのです。受け取って下さい」
 中は一万円が入っていた

 俺は整体を開業してから、休みをほとんど取らずに来たので、先生のところには一年間で二回しか来ていない
 金額にすると、6000円しか払っていないのだ……

「そんな格好つけているけど、余裕あるほど今は稼いでないくせに。人の好意は受け取っておきなさい」
 先生は珍しく意地悪そうに笑った

「ありがたくちょうだいします……」
 涙が出そうだった


2010年3月12日

 

先生と呼ばれて 01 - 岩上智一郎の作品部屋(小説・絵・漫画・料理等)

12345新宿歌舞伎町での裏稼業を引退し、まっとうに生きようと思った。もう俺も三十四歳である。いつまでも馬鹿な事をしていられない。真面目に働いてみよう。履歴書を重数年...

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 家を出る前に2年前に書いた『先生と呼ばれて』を何故かミクシーでアップしている自分がいた
 修正とかしていないけど、改行を加え、読みやすくする作業をしていると、自然に文章が目に入る
 当時自分の書いた文章を読みながら、自然と左手で胸を押さえている自分がいた
 今は時間が経ったから平常心でいられたけど、当時の感情を俺はこの作品に投影し、封印していた事に気付く

 俺は先生に『ギネスに挑戦』しているというのを伝えに群馬へ行った
 そして、最近の流れを簡潔に伝える

「天岩戸…。あなたの行為は天岩戸を開ける事をしています。自己を振り返り、欲が捨て、代わりに胸に空いていた空洞を埋めている。天岩戸が開く事を『悟りが開く』と言います。見たところ、半分ぐらいはそうなったようですね」

「……」

「あなた今、色々な事をたくさんの人に伝えようとしているでしょ?」

「う~ん、そうかもしれませんね……」

「今のあなたが自分の言葉を言ったところで、ほとんどの人がそれを分からないし、理解できないでしょう。今のままでいいですよ。ただちょっと情けは無くさないとね」

「情け?」

「変に甘いと言うか、人の面倒事に首をつっ込んでしまう変な優しさですね。やるべき事がもっとあるのは自身が一番分かっているはずですよ?」

「そうですね…、この甘さで『岩上整体』を潰したようなものです……」

「時間が経てば、周りは驚くでしょう。沈黙は金なりですよ」

「ちょっと前に、誰かにも言われた台詞ですよ……」
 俺は帰り道、因果なもんだと思い出しながら、笑顔で車を運転して帰った

天岩戸神社(西本宮)鳥居前にある手力雄命(タヂカラオノミコト)の像




 

…とかなりの長文になりました

ここまで読んでくれた方、ありがとうございます

 

映画の『来る』を観ていてですね…、この群馬の先生のところへ行った時の事、岩上整体で患者を診ていた時の事を思い出したんです

まあすべては祝詞からなんですけどね

 

群馬県高崎市にあった不思議な先生 - 岩上智一郎の作品部屋(小説・絵・漫画・料理等)

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群馬の先生についてもっと読みたいなあって方は、上記リンクで過去の不思議な話を載せています

 

 

 


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