梅雨入りが宣言されて最初の日曜日、朝から雨が降り続いている。駅までの道中、紫陽花の花が様々な個性的な色を競いあうように咲き誇っていた。
育つ土壌の性質で咲く花の色が変わるとい言われている。
初めて訪れる会場校は駒込駅近くの聖学院高校。朝早い駅前は静まりかえっていた。
前試合を100点ゲームで勝ち上がった石神井チームが勢いを失っていないか。
東大和南チームの戦力は6月4日の試合を観戦し確認した。かなり手強いが、勝機はあるという感触を得た。僭越ながら私見を倉口先生に伝えた。全員が全力を出しきって勝ちきる試合になればと期待しながら会場へ向かった。
インターハイ東京都予選4回戦
2023(平成5)年6月11日(日) 会場 聖学院高校
都石神井高校vs都東大和南高校
観戦者
34期 山本OB会会長
25期 安本、細田
他OB
その他保護者、関係者多数。
両チーム共応援席は、保護者、父母、OB等で満席、後方には多数の新入部員。
全部員で円陣、気合の声だし。超満員の会場全体が更に熱気を帯びる。
都立最強東大和南高校との対戦が始まる。
1P
石神井19:19東大和南
(19:19)
お互いノーマルなマンツーマンディフェス。
石神井、No.4ペネトレイト、ゴール下No.10とのパス交換、No.10のポストプレーでスコアーを重ね、スタートは順調。
東大和南、エースNo.7の外郭からのシュート、ファーストブレイクで対抗。
石神井No.10、東大和南得意のドリブルインを素早いステップで止める。ペイントエリア、ゴール下のシュートも2年生PFNo.19とダブルチーム気味のカバーディフェンスで自由にさせない。これまでに見られなかったファーストピリョウドからのディフェンスの強度、連携。双方互角の戦い。
石神井スターターPGNo.6、3回目のファウル。
ファウルがチームのリズムを崩す。危惧していたことが起こり、ちょっと嫌な予感。
No.6ベンチに下がり、3年生ガードNo.5投入
2P
石神井27:46東大和南
(8:27)
PGNo.6ベンチスタート。2年生ガードNo.20途中からコートへ。
大和南ディフェンス、オフェンス共強度をあげる。リバウンドから、速いトランジッションNo.7の強気のペネトレートに石神井ファウルを繰り返す。フリースロー、アンドワン、スリーポイントシュートで連続して得点される。東大和南ベンチ、応援席大声援。たたみかける。次第に石神井オフェンスが消極的になり外郭からの短調なシュート、ショットクロックバイオレーション間際のタフショットを繰り返す。
残り2分、スタートセンターNo.10負傷一時ベンチへ。
形勢変わらず点差が拡がる。
3P
石神井45:58東大和南
(18:14)
石神井ツーワンツーのゾーンディフェンス。
この変更が効を奏す。 石神井の強度の上がったディフェンスに東大和南攻めあぐねシュートエラー、ターンオバー増える。
1年生センター投入。リバウンドからフォローアップシュート2本決める。前試合から長足の進歩。
No.10復帰。
2年生PGNo.20ファストブレイク走るも強引なレイアップシュート決められず。ドライブからディフェンダーをかわすターンジャンプシュートもブロックされる。東大和南のミスから石神井オフェンス回数増えるも得点が伸びない。点差が縮まらない。15、16点差の攻防。ピリョウド終了間際、センターNo.10ポストプレー決まる。14点差。
応援席「イケルぞー」の声。
4P
石神井64:74東大和南
(19:15)
石神井更にディフェンスの強度を上げる。
高い位置からプレス気味ゾーンディフェンス。東大和南珍しく慌てたプレーでターンオーバー繰り返す。石神井ターンオーバーからの速いトランジッション、No.20トランジッションからストップジャンプシュートをたて続けに成功させる。小さくガッツポーズ。突っ込み過ぎず、ディフェンンダーとの距離を保ちストップセットジャンプシュート。前ピリョウドの失敗は繰り返さない。石神井No.7スリー、ミドルシュート決める。東大和南エースNo.7がミドル、スリーポイントシュート等で対抗。東大和南No.7に対し「上手いな・・」の声、石神井応援席からあがる。
石神井優勢ながら12、13点差の攻防
試合開始からベンチに下がること無くチームを牽引してプレーを続けてきたキャプテン、エースNo.4、体力的にかなりきつい状況と思われるが充実し、集中した表情。
石神井好機はあるも一桁台の点差に持ち込めない。
残り2分を切り石神井スリーポイントシュート連投。
石神井ファストブレイクから敢えてキックアウトパス、2年No.19コーナースリー、続けてNo.10ゴール正面からのスリーを決める。東大和南スリーのリバウンドからファストブレイク、石神井ファウルで止めるも、東大和南弱点だったフリースローを確実に決める。10点差。
試合終了ブザー。
この試合で3年生の活動は終了。
最後の試合となってしまったが、ピリョウド毎のスコアーを見ると
1P石神井19:19東大和南
3P石神井18:14東大和南
4P石神井19:14東大和南
計 石神井56:49東大和南
2Pのみ石神井8:25東大和南
2Pファウルでリズムを壊し相手に余裕のプレー、点差を与えてしまった。
2Pで連続得点され攻撃が単調になった時、応援席もこのままズルズル離されてしまう・・という雰囲気になりかけた。しかしベンチ、メンバー全員の力で盛り返した。
このチームの強みを最大限出し切り、脆さも顔を出した「らしい」試合だった。感慨深い。
チームの成績は新人戦のベスト32が最高であった。目標のBest8にチャレンジするまで勝ち上がることは叶わなかった。
勝負にタラレバは無く、語れば唇寒しだが・・。
石神井チームの悔しい試合2つ。
●関東大会東京成徳戦、
●インターハイ東大和南戦
どちらのチームも次戦余裕の大差でベスト16に勝ち上がっている。
どちらの試合も奇しくも10点差。しかし、両試合には明らかに違いがあった。短い期間ながら敗因を是正し、チーム力を一歩向上させた試合だった。
因みに東大和南は当日行われた5回戦、拓殖大第一高に24点(108:82)差での勝利。公式戦三大会全てベスト16以上を決めている。
また、別ブロックでは石神井が関東大会予選3回戦で勝利した城東高校がベスト16に勝ち上がっている。
このチームで強く記憶に残る幾つかの大接戦をものにした試合。
● 新人戦本大会1回戦小平南戦。4Pでの逆転勝利。
● 関東大会の3回戦都立城東高校戦。歴代の石神井チームに立ちはだかっ
てきた都立の雄相手に勝切った戦い。
● インターハイの小岩戦。苦闘の末の延長戦勝利
スーパーハンドラーNo.4を擁していたが、決して恵まれた体力やサイズを持ったチームではない。不遜、傲慢さはなく、ひたむきに愚直に戦いに向かう、強さと脆さを内包した少しナイーブなチーム。
コロナ禍という大逆風のなか、16名もの3年生部員が最後までよくバスケ部を引っ張り抜いた。
少し休んで次の大きなステップの成功を祈りたい。
3年生は引退。
バスケット部も次のステップへ進む。
紫陽花のように、新チームが石神井高校という環境で根を張り、成長し個性的な色の花を咲かるのは4ヶ月後の新人戦。
さて、どんな色になるか。