スカパー漂流記

CS放送「スカパー」で放送されている番組について語れればいいなぁと思う次第でございまして・・・

File-046 ザ・トップ10/戦闘機トップ10 (for ディスカバリー)

2005年06月07日 | Weblog
 映画やドラマなどの「創作」作品では世界を圧倒しているアメリカですが、こと「ドキュメンタリー」となると一気にレベルが下がります。
 特に「ディスカバリー」チャンネルが製作する「軍事物」は失笑の連続で、プチヲタは色々な意味で楽しませてもらってます(笑)。

 「ディスカバリー」の軍事物がどのくらいお粗末かというと、以前「戦車」に関する特集番組があったのですが、その中で米軍の主力戦車M1「エイブラムス」を、もう聞いているこちらが恥ずかしくなるほど褒めちぎり、挙げ句「このM1戦車は最高速でブレーキをかけると、ほんの3メートルで停止します!」と絶賛。
 ところが、実際に急停止する映像では、戦車が停止するまで「明らか」に10メートルは進んでいるのです。

 世に「提灯記事」という言葉がありますが、「ディスカバリー」の軍事物はまさに米軍をヨイショするためだけの「提灯番組」で、もはや「ドキュメンタリー」の範疇に入れてよいのかも疑わしいようなシロモノだと断言できます(「軍事物」以外だとかなりマトモになりますが、それでもレベルは低いです。おそらく、彼の国の「代表的な」視聴者のレベルに合わせているのでしょう。笑)。

 で、そんな「ディスカバリー」が果敢に挑んだのが今回の「戦闘機トップ10」という企画。
 「ラリーカートップ10」ならまだ理解もできますが、よりにもよって「戦闘機」でランキング物を作るとは・・・。
 正気の沙汰とは思えない番組の趣旨に、プチヲタなどは観る前から頬が緩みっぱなしです(^_^;)。

 さて、その内容ですが、期待に違わず「支離滅裂&厚顔無恥&手前味噌」爆発な、正真正銘のバカ番組でした。
 番組と同様、順位を追いつつ、この素晴らしきバカ番組・・・もとい「戦闘機」たちを解説していきましょう。

10位)F/A-22 
 米空軍の次期主力戦闘機が、まだ「何の実績」も無いのにいきなりランクイン。この時点で早くもプチヲタはクスクスです。
 選ばれた理由として「演習において、2機のF/Aー22が16機ものF-15を撃墜した!まさに最強の戦闘機だ!」などと言っていましたが、この「演習において新型機が旧型機を圧倒的に撃破した!」というのはアメリカ軍の常套句で、新型機が出る度に同じコトを言ってます(で、何年かすると「条件によっては新型機が負けることもあった」ってな情報がリークされるのもお約束。今回も間違いなくそうなりますヨ)。
 そして「10位どまり」だった理由が傑作で「その高性能に見合う任務がなく、性能が無駄になっている」との由。
 だったらどう考えても「10位」じゃなくて、完璧なる「1位」でしょうに(お題が「戦闘機トップ10」なんですから)。
 これぞまさにデタラメの見本です。

9位)シーハリアー FA2
 有名な英国製V/STOL(垂直離着陸機)が9位に入りましたが、この選出理由のヒドさも秀逸です。
 まず、ハリアーを一躍有名にした「フォークランド紛争」での活躍を挙げ、「イギリス軍はハリアーのおかげでアルゼンチン軍に勝った」と賞賛したその舌の根も乾かぬうちに「イギリス軍のパイロットは優秀だったが、アルゼンチン軍のパイロットはまともに旋回もできなかった」と言い出す始末。
 それなら飛行機の差じゃなくてパイロットの差じゃん。
 おまけに「ハリアーは20世紀末のヨーロッパにおいて随一の戦闘機!」と誉めたかと思えば「垂直離着陸を実現するため、ハリアーは戦闘機としての条件を犠牲にしていた」とか言いだしたり・・・。
 おいおい、どっちやねん!
 ちなみにヨーロッパには優秀な戦闘機(フランスのミラージュやスウェーデンのグリペンなど)があり、ハリアーが随一の戦闘機だなどとは、米英人以外は言いません。

8位)ソッピース・キャメル
 第一次大戦時のイギリスの複葉戦闘機。プチヲタは聞いたことすら無い名前です。なので、スルーします(笑)。

7位)メッサーシュミット Me262
 初めてマトモな機体が出てきました。第二次大戦末期にドイツが開発した世界初の実用ジェット戦闘機です。間違いなく航空史に残る機体なのでランクインは当然ですが、7位という順位には疑問アリアリでしょう。常識的に考えれば「トップ3」に入るべき機体です。

6位)スピットファイヤ
 名機には違いありませんが、この機体が入るなら「Me109」や「Fw190」、また「零戦」だってランクインしないとおかしいです。
 作為的に過ぎるというか、ひたすら「美しい機体」だと誉めている解説者たちの姿が滑稽でした(性能で評価すると、前述の機体もランクインさせねばならないですからね・・・)。

4位)Mig15 & F-86
 同世代のライバル機が同率でランクインです。・・・が、これには「裏」があります。この二つの機体は共に、既出の「Me262」を開発した旧ドイツの技術(後退翼やエンジンなど)をパクって作られた機体であり、ある意味「兄弟機」なのです(だからフォルムもそっくり)。
 勿論、番組では「ドイツの技術をパクった」なんて不名誉なことには一切触れていません。
 ただ、多少の罪悪感はあったのか、「エンジンは同型の物を使用しているので・・・」とだけ言っていました。
 これらの機体が開発されたされた当時、米ソは「朝鮮戦争」を戦っていましたから、そもそも「同型のエンジン」を双方が使うはずないのです。
 つまり正確には「同型」ではなく「同系」、同じ設計のエンジンをパクったってコトです。
 同じ技術をパクって、同じ時期に作ったのですから、これはもう同率にするしかなかったと(笑)。
 
3位)F-4
 F-4と言っても「ファントム」の方です。この機体はプチヲタも大好きですので文句は言いません。
 でも3位に入れた割には、解説陣は悪口ばかり言っていました(^_^;)。

2位)F-15C
 2機のF/A-22に16機で太刀打ちできなかった機体が何故か2位です(爆笑)。
 しかも、どういうワケか「C」型に限定されています。
 まぁ、良い機体には間違いないので、添付画像はコレにしました。
 番組では「米軍は2028年までこのF-15を使用する」と、さもこの機体が飛び抜けて優秀なように語っていましたケド、ぶっちゃけ最新鋭のF/A-22が高価すぎて戦闘機の数が揃えられず、やむなく旧式のF-15を継続使用するってだけの話なのですが、「ディスカバリー」の手にかかると米軍の台所事情も「神話」になってしまうようです。

1位)P-51D
 多分コレが1位だろうなと思っていたら、やっぱり1位でした。
 高性能なことに疑いは無い機体ですが、選ばれた最大の理由は「アメリカ人が一番好きな機体」だからでしょう(P-51は今でもエアレースなどで現役として飛んでたりします)。
 でも、番組では「一言」も触れられていませんでしたが、この「アメリカ人が大好き」な機体を最初に発注したのは、実は「アメリカ軍」ではなく「イギリス軍」でした。
 国内の戦闘機生産だけでは間に合わなくなったイギリス軍が、アメリカの会社に戦闘機の「開発&生産」を頼もうとしたとき、「ノースアメリカン」という小さな会社の技術者が、「40日(・・・だったと思う)で試作機を作るから、気に入ったらその機体を買ってくれ」とイギリス軍へ持ちかけたのがきっかけ。
 で、出来上がった試作機をテストしてみたら「構造簡単で量産楽々、しかも高性能」というトンでもない機体だったので、半ば横取りする形で米軍が主力戦闘機に採用したという伝説があります。
 さらに言えば、番組中「ドロップタンク(外付け式の燃料タンク)の採用で航続距離が飛躍的に増した」と自慢げに吹聴していましたが、それを最初に実用化したのは日本でしょうに・・・。

 ・・・と、まぁ、自分に都合の悪い「史実」や「事実」を中国や韓国よろしく悉く隠蔽し、ひたすら「アメリカ最高!」という主張を繰り返すワケですな、コレが。
 もしこのシリーズで「爆撃機トップ10」とか作ったら、「1位、日本に原爆を落として戦争を終わらせたB-29!」とか平気でやるんだろうなぁ、あの国は・・・。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿