スカパー漂流記

CS放送「スカパー」で放送されている番組について語れればいいなぁと思う次第でございまして・・・

File-037 エレメンタル・ジェレイド/~#3 (for AT-X)

2005年05月14日 | Weblog
 創作の世界において最大の「禁忌(タブー)」とされながら、常にその傍らに在り続けるもの。
 それが「模倣(パクり)」です。
 特許などの知財からブランド品などにおける意匠、果ては漫画・アニメの同人活動に至るまで、人間の創出したモノの多くには「正規品」と「模倣品」が存在します。

 特に漫画・アニメの世界では、同人という「模倣品」の多寡が人気のバロメータにもなっているというか、ぶっちゃけ「同人世界」のヲタクを敵に回すということは、最大の「消費者団体」にケンカを売るに等しいので、著作権者も迂闊にその「模倣」を摘発できない様子。(ただ、さすがに「純粋に子供向け」のキャラクターを「アダルト」な用途で使われてはかなわんと、任天堂が「ポケモン」キャラをパクった18禁の同人にクレームをつけたようなことはありましたが・・・。ま、賢明な判断でしょう。笑)

 プチヲタは「同人活動」に関して、大いなる容認派です(もっとも、あの薄くペラペラな同人誌を1000円前後などという法外な値段で売るのはいかがなものかと・・・。買い手が納得しているのであれば文句を言う筋合いはありませんが、少なくともプチヲタは買いませんね)。
 「同人」は「ファン活動」の一環という主張は正当なもので、そこに金銭の授受があるからといって、即座にそれを「著作権を侵害した経済行為」と見なすのは間違いだと思っています。

 と言うか、偉そうに「著作権者」を名乗る側の方にこそ、実は言いたいことがあります。
 「同人」は露骨に「正規品」のパクりですが、それ故に「陽の下」には出てきません。
 「同人」はアングラに生まれ、アングラで花開き、そしてアングラの中で朽ちていきます。
 「同人」には少なくともその「節度」だけはあるのです。
 しかし、陽の下を堂々と歩いている「メジャー」はどうでしょう?

 ある漫画家(たしか江川達也だったような気がするのですが)が、某TV番組の中でこう言ってました。
「(漫画雑誌の)編集者はね、人気のある漫画を他の漫画家のところに持っていって、こういう漫画を描け!って言ったりするんですよ」
 同様の話は以前からあり、漫画界でコレは事実上「公然の秘密」みたいなものです。
 「同人」の原則は「好きだから真似をする」ですが、上の話は明らかに「金になるから真似をする」という話であり、これでは悪質な同人(最近は多いみたいだけど)と変わらないどころか、まんま「悪質コピー」の行動原理ではありませんか。

 で、「エレメンタル・ジェレイド」です。
 この作品を悪意に満ちた、商売優先の「不正コピー品」扱いするつもりは毛頭ありませんが、しかしそれにしても、あまりにお粗末な内容だと苦言を呈することは許されると思います。
 「空賊」を名乗る主人公と、物語世界を飛び回る「飛行機械(名前忘れました)」を観て、宮崎駿の作品を思い浮かべない人間が一体どれほどいるのでしょう? 
 無口で物憂げ、人間だか機械だか解らない謎の少女・・・。
 こう書いただけで、「なんかありがちなキャラ」って気、しませんか?

 とにかく第1話を観ただけで、この作品は「作者がこれまで観てきて気に入った作品の設定をそのまま流用し、自分で継ぎ接ぎして話を作った」って臭いがプンプンです。
 そしてこれこそ、紛うことなき「同人」の手法なのです。
 
 世の中に創作物が溢れかえる現代では、オリジナリティに富んだ「誰も見たことのない世界」を構築するのが困難なことは確かです(不可能と言い切ってもいいでしょう)。
 あの「ルパン三世」だって厳密に言えば「怪盗ルパン」のパクりですし、「銀河鉄道999」にしたって宮沢賢治の作品から何のヒントも得なかったと言えば嘘にしか聞こえません。
 ですがこれらの作品は、発想の出発点に他者からアイディアがあったとしても、物語の展開にはそれなりの独自性がありました。
 故にこれらは「ルパン」とか「銀河鉄道」という言葉を冠しながらも、一つの「独創的創作物」と認められてきたのです。

 しかし、表題作にはこれがありません。
 勝手な想像を書かせてもらえば、
「冒険活劇漫画を描きたいなぁ。あ、私ラピュタ好きだったから、あんな感じで。あと、ヒロインはやっぱミステリアスじゃないと。アヤナミ以降そういうのが流行だし、私エヴァ好きだったから。それから、メインの設定に漢字モノは外せないよね。アレすると、作者が頭良さそうにも見えるし、私、封神演義とか好きだったから・・・」
 と、このような軽い「同人ノリ」で、「好きだった」を理由に作者が悪意なく方々の作品をパクったようにしか見えないというか・・・。
 早い話が、拘りを持った「プロ」の作品には見えないワケなんですわ、ホントに。
 ま、本作だってそれなりにファンの方がいるからアニメ化までされたんでしょうが、作者の「絵」が好きという方以外にはこう申し上げておきましょう。

 世の中にはこの他にもアニメや漫画(もちろん映画や小説だって全然構いませんが)、たくさんあるんですよ?(うわっ、メッチャ敵作ってる予感。^^;)

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