私が死んだあとであなたが読む物語

基本的には「過食症患者の闘病記」、と言っていいでしょう。

「八日目の蝉」 角田光代

2013年05月31日 20時27分46秒 | 読書感想
この本は去年、過食状態への転化によって頓挫した本です。

そのときに半分くらいまでは読んでいます。

内容もなんとなく覚えています。

見知らぬおばさんの家に泊まったり、怪しい施設に入ったり、そのあとには小島に渡って食堂で働きながら暮らしていたことなんかは覚えています。

でも、最初から読むことにしました。

だから、前半部分は知っていることをなぞるだけで退屈だったんですが、2章までは読んでいなかったようで、大人になった薫が主人公になってからは新鮮な気持ちで読めました。

誘拐なのでハッピーな話じゃないですし、悲壮感もありますが、希和子の薫に対する愛情が真っ直ぐなので、救いようもなく暗いってわけでもないです。

結局二人がちゃんと再会していないのがいいですね。

「ラッシュライフ」 伊坂幸太郎

2013年05月29日 21時33分05秒 | 読書感想
ネタバレ注意。


複数の登場人物を用意し、それぞれを別々に描き、複数の物語を同時並行的に進行させるという手法、好きですね伊坂さん。

伊坂さんに限らず、こういった小説って結構あります。

これらの話がどこでどう絡まるんだろうかって思いながら読者は読むわけです。

オチとして、実は時系列がずれているっていうトリックもよくあります。

でも、この小説は犯人がいるわけでもないし、ミステリーってわけでもないですね。

文学的な小説を目指して描いたんでしょうが、それにしても構成とか練ったんだろうな。

そう思えるだけでもまあよかったのかな。

「プラチナデータ」 東野圭吾

2013年05月26日 00時28分49秒 | 読書感想
ネタバレ注意。


DNA捜査システム。

事件現場に残された犯人の毛髪などからDNAを採取し、それを膨大な人数のDNAデータと照らし合わせることで犯人を特定するという捜査方法。

そのためには、より多くの国民のDNA情報が登録されている必要がある。

そこで国会はDNA法案をつくり、国民のDNAを管理しようとする。

主人公の刑事・浅間はそのやり方に反対する。

実際、国民の中にも自分のDNAの登録をためらう者が多い。

この小説では、そうあることが当然で、国が国民のDNAを管理しようとすることが間違っているみたいな書かれ方をしています。

実はこれに関して個人的にあまり納得できませんでした。

絶対そのほうが犯罪は減るし、近い将来、本当にそうなってほしいとすら思いました。

結局なぜそれが駄目という風に書かれていたかというと、そのDNA法案を国会で通すにあたり、裏では一部の政治家や官僚などがDNA検索されないように仕組まれていたから、ということでした。

たしかにそんな特別扱いは間違っています。

ましてやそれを国民に隠そうなんてもってのほか。

でも、まだそのことをわかっていない浅間が、この法案にケチをつけるのもおかしな話です。

「魔王」 伊坂幸太郎

2013年05月24日 16時20分50秒 | 読書感想
図書館で「モダンタイムス」って本を見つけました。

挿絵とかあってライトノベルみたいな感じがして、読んでみたいなって思いました。

家でネットで調べてみたら、この小説、漫画雑誌「モーニング」に連載されていたらしいです。

「魔王」って小説の50年後を描いた続編らしいので、それじゃあ先に「魔王」を読もうってことにしました。


内容については事前情報ゼロのまま読みました。

ただ、続編の「モダンタイムス」がマンガ雑誌に連載されていたことや、「魔王」ってタイトルから、なんとなくファンタジーものを想像していたのですが、全然違いました。

むしろ政治がかった内容です。

ファシズムとか、憲法改正とか。

超能力といえるような特殊能力が出てくるので、その辺はファンタジーっぽいんですが、肝心の犬養との対決みたいなものは描かれることなく終わっています。

伊坂幸太郎の小説を読むのは、たぶんこれで5冊目です。

伊坂幸太郎は村上春樹と作風が似てるそうですが、はたしてそうかな、って思ってました。

でも、この小説を読んで、たしかになんか似てるわ、って思いました。


僕自身に政治的な観念や理念が無いからでしょうか、さほどおもしろいとも感じませんでした。

いい職場に恵まれますように

2013年05月23日 17時42分06秒 | 過食症
通常状態63日目。

2カ月が過ぎました。

アルバイトしてみようかな。

派遣会社の登録がまだ生きているみたいで、たまに「仕事の予約お願いします」っていう一斉メールが私のところにも届きます。

とりあえずメールで予約を入れてみる。

予約日の前日になると、こちらから「明日の仕事の有無」を確認するため派遣会社に電話しなければならない。

ケータイを手に取るも、電話するのをためらう。

仕事はしたい。

でも、どうも踏ん切りがつかない。

過食発作がでるのが怖いわけじゃない。

これまでのことを思い出すと、どうも怖気づいてしまう。

過食症が発症して以降、楽しい仕事なんてなかった。

楽しい職場なんてなかった。

借りてきた猫のようにただそこにいるだけ。

ただ一人ぼっちで。

会社に電話して「紹介できる明日の仕事は今のところありません」と言われてホッとした。

なんか前よりさらに弱くなってる?おれ。

「ナミヤ雑貨店の奇蹟」 東野圭吾

2013年05月22日 22時45分19秒 | 読書感想
推理小説と思って読んだ本がそうじゃないとわかったとき、たいていはガッカリするのですが、この本に関しては例外でした。

本を読んで涙を流したのは初めてかもしれません。

私が泣いたのは「第三章 シビックで朝まで」です。

小説内の文章が登場人物からの「手紙」という体の文章だったので、読みながら小説を読んでるという感覚が薄れていき、思わず涙しました。

アニメを見るに最適

2013年05月21日 20時39分16秒 | Weblog
通常状態61日目。

通常状態のときは、一日に2回、食事をとります。

ここ最近は、ブルーレイ・レコーダーに入っているアニメ「ナルト」を見ながらご飯を食べるのが日課でした。

まえの通常状態のときに録画していたものです。

CSのキッズステーションで、平日の夕方、毎日一話ずつ放送されていました。

溜まったらあとで一気に見ようと考え、とりあえず録画だけしていました。

でも、79話まで録画したとき、私が過食状態に転じてしまい、録画もそこで中断。

そのためレコーダーには79話までしか入っていません。

それらが結局、未再生のまま削除されることもなく放置されていたので、このたび食事の際に見ることにしたのです。

アニメやドラマ、それに映画もそうですが、私はそれらをおとなしくじっと見ることが苦手です。

とくにここは静けさに欠けるし。

でも食事をしながらなら、まだ苦も無く見ることができます。

アニメを見るにはもってこいです。


先日、「ナルト」79話までをすべて見終えました。

さて次はどうするかな、ってことで、今度は「バクマン」を見ることにしました。

このアニメ、いわば青春アニメみたいなもんで、見ていると「おれも頑張らなくちゃ」って気になります。

「流星の絆」 東野圭吾

2013年05月20日 22時50分11秒 | 読書感想
長編小説を読んだのは久しぶりです。

約一年ぶりです。


おもしろかったです。

なんとなく、「白夜行」や「幻夜」を思い出させる作品でした。

がしかし、復讐劇になるかと思いきや、最後は正当なハッピーエンド。

静奈の恋愛がそれなりにウエイトを占めます。

推理小説に恋愛の要素は不要、という考え方もあり、私もどちらかというとそう考えていて、最初は静奈の行成に対する恋愛感情の描写をしつこく感じる部分もありました。

というより、私的にはどちらかというと静奈が悪女に徹している方が楽しめたようにも思います。

それこそ「白夜行」や「幻夜」のように。

それでも、いざ予想通りに二人が上手くいく結末を読んでみると、それもまあいいだろう、とも思えます。

あの人と私を繋ぐベイブ

2013年05月16日 23時40分23秒 | Weblog
通常状態56日目。

久しぶりに映画「ベイブ」を見ました。

この映画は字幕じゃなく、吹き替え版で見るに限りますね。

ベイブ役の声優さんが完璧です。

好きな映画の一つです。


私は中学のころ、不登校でした。

それで、カウンセリングを受けたことがあります。

月に1,2回ほど、夜に母親が運転する車に乗って、2人で遠くの創価学会の会館まで足を運んでいました。

カウンセラーの人は2人いて、私と母はそれぞれ別々にカウンセリングを受けます。

私を担当していたカウンセラーの人、今となってはなんて名前だったかすら忘れてしまっています。

でも、たぶん、私にとっての恩人だと思います。

母は必ず毎回私もカウンセリングに連れて行こうとしましたが、その人は「セヴン君が来たくなかったら来なくても全然大丈夫だから、無理に来る必要はないよ」と言ってくれてました。

私も最初のうちは正直いって行きたくはありませんでした。

でも、気がつけばわりと前向きに通っていました。

とにかく優しい人でした。

不登校である私を一切否定することなく受け入れてくれてる感じがしました。

今思い出しても心が休まる気がします。

結局不登校は治らず中学を卒業することとなり、それにともないカウンセリングも終了を迎えました。

最後の日、別れが惜しく感じられて、こんなの人生で初めてだなって思いながら夜の空を見上げていたのを覚えています。

カウンセリングでその人とどんなことをしていたかというと、箱庭治療みたいなこともしましたが、基本的には世間話のような気楽な会話でした。


「どんな映画が好き?」って訊かれて「ベイブ」って答えました。

私にとって「ベイブ」ってそんな映画です。

壊れない心

2013年05月12日 22時59分52秒 | Weblog
通常状態52日目。

法事がありました。

おばあちゃんの四十九日です。

読経や焼香を終えたあとで、用意された会席料理を食べました。

食事に関して、過食状態のときは制限なく食べますが、通常状態のときには私の中でそれなりのルールがあります。

今日はそれを無視して食べました。

とりあえず出てきた料理は一通り食べることにしたのです。

そんな「自分の中のルール」を破ったときは、通常状態が崩壊し過食状態となりがちなのですが、今日はそんなこともなかったです。

これは実は大きな進展ではないかと思っております。