星尋山荘's blog

彗星発見で知られたアマチュア天文家、故・本田実の最晩年の観測所です。

本田実先生 肉眼でスバル27個 逸話実証のはがき

2017-12-28 20:07:26 | 日記
世界的アマチュア天文家 逸話実証するはがき発見
日本海新聞 2017年12月28日

 旧八東町(現八頭町)出身で多数の彗星(すいせい)発見で知られる世界的アマチュア天文家、本田実氏(1913~90年)が41年、従軍中の旧満州(中国東北部)で行った天体観測の成果を伝える軍事郵便のはがきが京都大理学部(京都市)で見つかった。「プレアデス星団(日本名・すばる)の星が肉眼で27個見えた」という本田氏の逸話を実証する貴重なはがきで、発見した鳥取市のアマチュア天文家は「すばるは通常、肉眼で5~7個しか見えない。27個は驚異的だ。本田氏は素晴らしい鋭眼(とめ)の持ち主だった」と驚いている。

 本田氏は若いころ、京都大の山本一清教授が主宰する天文同好会(現東亜天文学会)に入会。本部は滋賀県の田上(たながみ)天文台にあり、本田氏は黄道光や黒点の観測結果を封書やはがきで送っていた。田上天文台はその後閉鎖され、膨大な資料は現在、京都大花山天文台に保管されている。




 鳥取天文協会の多賀利寛会長と同会員で旧八東町出身の山脇京さん、元因幡万葉歴史館学芸員の田鍬美紀さんの3人は、本田氏の観測資料が京都大理学部に研究用として保管されていることを知り、12月13日に調査。その中から、本田氏が41年11月21日、従軍中の旧満州から田上天文台の山本教授に送った軍事郵便のはがきを発見した。

 表には「満州國牡丹江第十九軍事郵便所氣付 満州城第三九六九部隊 岡崎隊 本田實」と差し出し場所が書かれ、裏には「實に美しい空で かに座のプレセペ星団をみましたところ 星団の星々が肉眼で分離して見えますので驚きました。驚いたついでに プレアデスを数へてみますと、實に27個の星を数へました。『27個』自分ながら驚いてしまいました 空氣が良いとずいぶん見えるものです」(原文)と11月20日の旧満州の砂漠での星空を報告している。

 鳥取天文協会の多賀会長は「語り継がれていた『すばる27個』の逸話が実証され、価値の高いはがきだ。肉眼ではボーとしか見えないプレセペ星団の星々も分離して見えたとは、考えられない」と当時の旧満州の良好な自然環境と本田氏の驚異的な視力に感銘している。

 本田氏は40年に初の彗星を発見したのを皮切りに戦前戦後を通じて彗星12個、新星11個を発見し、日本の彗星ハンターのパイオニアとして活躍。倉敷天文台の台長を務め、86年に旧八東町の名誉町民第1号に選ばれた。

 多賀会長は「鳥取県星空保全条例が制定され、星空への関心が高まっている。すばるを観測して本田氏を思い出すとともに、すばるの星が何個見えるか毎年チェックして、星空の環境保全に役立ててれば」と話している。

 ミニクリップ
 すばる 冬の星座おうし座にある散開星団で、正式名称は「プレアデス星団」。約440光年の距離にあり、約6千万~1億歳と若く青白い500個以上の星の集まり。肉眼では5~7個、双眼鏡では数十個の星が観測できる。ギリシャ神話ではプレイアデス7人姉妹として登場。日本では、すばるのほか六つら星、ごちゃごちゃ星、羽子板星など多数の呼び名がある。
(森原昌人)

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