オーディオというカテゴリーを設けてはいるが、実はあまり興味がない。今まで書いてきたのもサックスの練習に使う機材ばかりで、オーディオとはいえないようなものである。
家でCDを聴くのは、10年以上前に買ったBoseの初代WestBorough。当時
渡辺貞夫がCMをやっていたから言うわけでもないのだが(最初にこの広告を見たのは彼のコンサート会場だった)、とても落ち着いたいい音がすると思う。Boseの音づくりにはクセがあって玄人は背を向けるといわれているが、これは素直な音で好感がもてる。これで15万は安い。
友人にオーディオマニアがいる。もう何百万つぎ込んでいるのかわからないという。ひょっとしたらもう一桁上かもしれない。門外漢である私はメーカーやブランドを聞いてもよくわからないが、水道のホースのように太いスピーカーケーブルを初めて見たときはびっくりした。
以前、自分のCDを持参してこの友人の自慢のオーディオセットで聴かせてもらったことがある。
インストゥルメンタルとしては爆発的大ヒットを記録し、ケニーGの名を世界に轟かせたアルバムである。ソプラノサックスの独特の音色が美しい。
ところが、ン百万のセットで聴いてみたところ、ごくわずかだがシャリシャリしたノイズが入っていて耳障りなのである。普段はこんなことはないのに。友人が言うには、これはおそらく録音の時に発生したノイズであろうとのこと。つまり、録音機材にその原因があるというのである。このアルバムはケニーGの自宅のスタジオで録音されたものだ。きっとリラックスできていい環境なのだろうが、設備のグレードは超一流というわけではないということか。
比較のためにこのCDも聴いてみたところ、
こちらはノイズは全くなかった。ニューヨークのスタジオ録音だそうだが、マーカス・ミラーがプロデュースしてサンボーンが演奏するのだから、すばらしいスタジオなのだろう、きっと。サンボーンのアルバムの中でもイチオシである。
この日以降、私のケニーGに対する評価は、もともとさほど高くはないが、暴落してしまった。もう「ブレスレス」を聴く気にはならなかった。
そして考え込んでしまった。録音機材のアラが見えてしまうほどのオーディオセットというのは、はたして、どんなものなんだろう。マニアの世界の深淵は、外からうかがい知れるものではないとは思うが……。
加えて、この当時友人が好んで聴いていたのは、アイドル小泉今日子であった。謎は深まるばかりである。