水無月某日低気圧でがの日
低気圧の日は商談がまとまりにくいと言います。
かわいそうに営業に出かける日、出かける日、全て雪か雨の人も
どっかのホテルにおります。
日曜日の朝で忙しいのに、朝から機嫌の悪い御仁もここにおります。
さてわたしは戦国時代の人ではなく、直江兼続と面識はありません。
自然と小説の中での交わりとなります。
1、司馬遼太郎 関ヶ原 上・中・下
この小説は私が前橋で高校に通っていた頃、一、二年の頃に読んだと
思います。当時は群馬県庁のすぐ南の通り、通称「食い詰め横丁」に
住んでおりました。
さて、「関ヶ原」の主人公は石田三成で、直江兼続はその盟友として
描かれています。印象に残るのは、兼続が京を去るときに書き残した
漢文の一部、
「春雁われに似たり、われ雁に似たり、洛陽城裏花に背いて帰る」と
言ったくだりに胸のすく思いがしたものでした。
当時テレビでオールスターキャストで「関ヶ原」をやっていて、
加藤剛の石田三成、恋人役の楓は松坂慶子、徳川家康は森繁久弥、
肝心の直江兼続は細川俊之が演じておりました。
私は加藤剛の三成は適役だと思いました。NHK大河ドラマ「黄金の日々」
で演じた近藤正臣と双璧と思います。近藤正臣は「国盗り物語」で演じた
明智光秀も上手かったと思います。
2、藤沢周平 密謀 上下
これも高校時代に月刊プレジデントの書評で見つけて、市内の喚呼堂で購入。
既に越後の国主として春日山城に収まっていた上杉景勝、直江兼続主従、
天下統一前夜の豊臣秀吉に臣従、その頃知り合った石田三成との間に友情が
芽生えると言うもの。サイドストーリーとして、兼続が婿に入った与板城の
直江家が私的に抱えるスパイ集団「草の者」の集落に流れ着いた孤児の牧
静四郎と静四郎を育てることになる、草の者の長の娘との成長物語が語られます。
藤沢周平は普通の身分の人々の身に起きる出来事を歴史小説の中で描く
ことを得手としている作家です。私は実際の歴史に題材を取った小説でないと
読む気が起きないたちなので、架空の話が多い藤沢周平の小説はこの「密謀」
と映画で観た「蝉しぐれ」位しか読んだことがありません。
そう言えば「密謀」の影の主人公は牧静四郎、「蝉時雨」の映画では市川染五郎
が演じていた主人公の名は牧文四郎、藤沢周平のひたむきでまじめな理想の青年
の姿がそれぞれ投影されていると考えられます。
主人公の直江兼続の個性は意外と語られていない小説でした。
でもさわやかな読後感が残ったのは、牧静四郎達のさわやかさからでしょう。
3、童門冬二 北の王国 上下
時はバブル崩壊の兆しが迫りつつあった平成3~4年。
「平成社員」と罵倒された社会人生活を踏み出して私は読書と潤いのない生活
に疲れ始めていました。そのころ妻に頼んで送って貰ったのが、この「北の王国」でした。
私の住んでいる猿ヶ京の地名の由来は越後の戦国武将、上杉謙信がここで見た夢にちなむと言う話が伝わっています。その謙信の見た夢を占ったのが、この『北の王国』の主人公の直江兼続と言うことになっています。
直江兼続は上杉謙信の養子で後を継いだ景勝の臣ですが、謙信の側に
も仕え、その薫陶を受けたようです。
当時辺境であった北関東信越地方にあり信長、秀吉、家康と対抗し謙信
から受け継いだ上杉家を奪った景勝・兼続主従は秀吉によって会津に移さ
れた後も最愛の地越後を回復する野望を持ち続けます。しかし天運は味方
せず関が原の戦いの後、敗れた西軍に加勢したと見なされて、会津からさ
らに米沢に移されます。
その後の兼続は越後の農民の知恵を米沢地方に根付かせることに尽力し
ます。兼続は戦術家でありながら優れた農政家、建築家でもありました。
兼続の側には家中から女家老の扱いを受けた、妻のお船や農家の後家で
兼続と深い仲になるおしのなど頭が良く魅力的な女性達が脇を固めます。
作者は上杉鷹山の小説でも有名でその家中の先祖である直江兼続を紹介し
たのでしょう。
この小説では、兼続の妻の「お船」(おせん)さんが才色兼備のさばけた
考え方の女性に描かれています。かなり男性には都合の良い娯楽小説でした。
4、火坂雅志 天地人 上下
昨年、初めて訪れた上越市の春日山城跡の売店で買い求めました。
本当偶然です。大河ドラマになるとは知らずに。
こちらは来年のドラマか、小説を読んでみてください。
この小説の良いところは、兼続の不遇時代から書き起していること。
特にクライマックスは謙信の死後の「越後の関ヶ原」と言うべき
「御館の乱」で主景勝を勝利に導くところでしょう。
ここはそれまでの1、2、3ともに描いていなかったところです。
また、謙信と兼続との主従関係も描かれ、その関係が師匠と弟子
の関係だったところが感動的です。
妻のお船との関係も始めは親せきでありながら身分の違いから高嶺
の花であったのが、兼続が台頭していくことにより、夫婦になると
言う恋愛物語も描かれています。
いずれにしても来年の大河ドラマが楽しみです。
今の篤姫もなかなか楽しめますが・・・
低気圧の日は商談がまとまりにくいと言います。
かわいそうに営業に出かける日、出かける日、全て雪か雨の人も
どっかのホテルにおります。
日曜日の朝で忙しいのに、朝から機嫌の悪い御仁もここにおります。
さてわたしは戦国時代の人ではなく、直江兼続と面識はありません。
自然と小説の中での交わりとなります。
1、司馬遼太郎 関ヶ原 上・中・下
この小説は私が前橋で高校に通っていた頃、一、二年の頃に読んだと
思います。当時は群馬県庁のすぐ南の通り、通称「食い詰め横丁」に
住んでおりました。
さて、「関ヶ原」の主人公は石田三成で、直江兼続はその盟友として
描かれています。印象に残るのは、兼続が京を去るときに書き残した
漢文の一部、
「春雁われに似たり、われ雁に似たり、洛陽城裏花に背いて帰る」と
言ったくだりに胸のすく思いがしたものでした。
当時テレビでオールスターキャストで「関ヶ原」をやっていて、
加藤剛の石田三成、恋人役の楓は松坂慶子、徳川家康は森繁久弥、
肝心の直江兼続は細川俊之が演じておりました。
私は加藤剛の三成は適役だと思いました。NHK大河ドラマ「黄金の日々」
で演じた近藤正臣と双璧と思います。近藤正臣は「国盗り物語」で演じた
明智光秀も上手かったと思います。
2、藤沢周平 密謀 上下
これも高校時代に月刊プレジデントの書評で見つけて、市内の喚呼堂で購入。
既に越後の国主として春日山城に収まっていた上杉景勝、直江兼続主従、
天下統一前夜の豊臣秀吉に臣従、その頃知り合った石田三成との間に友情が
芽生えると言うもの。サイドストーリーとして、兼続が婿に入った与板城の
直江家が私的に抱えるスパイ集団「草の者」の集落に流れ着いた孤児の牧
静四郎と静四郎を育てることになる、草の者の長の娘との成長物語が語られます。
藤沢周平は普通の身分の人々の身に起きる出来事を歴史小説の中で描く
ことを得手としている作家です。私は実際の歴史に題材を取った小説でないと
読む気が起きないたちなので、架空の話が多い藤沢周平の小説はこの「密謀」
と映画で観た「蝉しぐれ」位しか読んだことがありません。
そう言えば「密謀」の影の主人公は牧静四郎、「蝉時雨」の映画では市川染五郎
が演じていた主人公の名は牧文四郎、藤沢周平のひたむきでまじめな理想の青年
の姿がそれぞれ投影されていると考えられます。
主人公の直江兼続の個性は意外と語られていない小説でした。
でもさわやかな読後感が残ったのは、牧静四郎達のさわやかさからでしょう。
3、童門冬二 北の王国 上下
時はバブル崩壊の兆しが迫りつつあった平成3~4年。
「平成社員」と罵倒された社会人生活を踏み出して私は読書と潤いのない生活
に疲れ始めていました。そのころ妻に頼んで送って貰ったのが、この「北の王国」でした。
私の住んでいる猿ヶ京の地名の由来は越後の戦国武将、上杉謙信がここで見た夢にちなむと言う話が伝わっています。その謙信の見た夢を占ったのが、この『北の王国』の主人公の直江兼続と言うことになっています。
直江兼続は上杉謙信の養子で後を継いだ景勝の臣ですが、謙信の側に
も仕え、その薫陶を受けたようです。
当時辺境であった北関東信越地方にあり信長、秀吉、家康と対抗し謙信
から受け継いだ上杉家を奪った景勝・兼続主従は秀吉によって会津に移さ
れた後も最愛の地越後を回復する野望を持ち続けます。しかし天運は味方
せず関が原の戦いの後、敗れた西軍に加勢したと見なされて、会津からさ
らに米沢に移されます。
その後の兼続は越後の農民の知恵を米沢地方に根付かせることに尽力し
ます。兼続は戦術家でありながら優れた農政家、建築家でもありました。
兼続の側には家中から女家老の扱いを受けた、妻のお船や農家の後家で
兼続と深い仲になるおしのなど頭が良く魅力的な女性達が脇を固めます。
作者は上杉鷹山の小説でも有名でその家中の先祖である直江兼続を紹介し
たのでしょう。
この小説では、兼続の妻の「お船」(おせん)さんが才色兼備のさばけた
考え方の女性に描かれています。かなり男性には都合の良い娯楽小説でした。
4、火坂雅志 天地人 上下
昨年、初めて訪れた上越市の春日山城跡の売店で買い求めました。
本当偶然です。大河ドラマになるとは知らずに。
こちらは来年のドラマか、小説を読んでみてください。
この小説の良いところは、兼続の不遇時代から書き起していること。
特にクライマックスは謙信の死後の「越後の関ヶ原」と言うべき
「御館の乱」で主景勝を勝利に導くところでしょう。
ここはそれまでの1、2、3ともに描いていなかったところです。
また、謙信と兼続との主従関係も描かれ、その関係が師匠と弟子
の関係だったところが感動的です。
妻のお船との関係も始めは親せきでありながら身分の違いから高嶺
の花であったのが、兼続が台頭していくことにより、夫婦になると
言う恋愛物語も描かれています。
いずれにしても来年の大河ドラマが楽しみです。
今の篤姫もなかなか楽しめますが・・・