“散る花と咲く花がいつもここにある”のブログより移行しています
1話~11話はこちらで公開しています
※このドラマは実在した奇皇后の物語ですが 架空の人物や事件が扱われ
史実とは異なる創作の部分があります
第12話 敗戦の計
切実な表情で スンニャンの前に現れた皇帝タファン
そなたはスンニャンか?と… 聞きたくても口に出来ない
『お会いしたい…』とつぶやき涙した相手が ワン・ユであるのは間違いない
だとすれば ワン・ユを陥れて即位した自分は…
スンニャンが最も憎むべき相手となるのだ
パク・オジン様ならお部屋に… というスンニャン
知らぬフリを決め込むなら 自分もそうしようと決意するタファンだった
それからのタファンは 後宮へ行くことを拒み続けた
行けばスンニャンに会わねばならない
※後宮:后妃や女官たちが住む宮中の奥御殿
皇太后が いかにパク・オジンを見舞うよう告げても 行こうとはしなかった
しかし いかに皇帝であっても 永遠に拒み続けることは出来ない
結局はパク・オジンを見舞いながら スンニャンの姿を見ることになる
自分の中の 心を許したスンニャンではない
女の姿のスンニャンの 手の動きや首筋を見つめるだけで動揺してしまう
“恋”というものを経験したことのないタファンは
自分で自分の心が理解できず ただ動揺するばかりだった
スンニャンだけを下がらせるわけにもいかず 全員を人払いする
おかげでスンニャンたち雑用係は 諦めていた昼食がもらえた
食卓もなく しゃがみこんで1つの握り飯を頬張る雑用係たち
その光景を眺めながら 一生雑用係でいろ!と心で叫ぶタファン
気にしない! 考えない!と言いながら 常に心から離れなかった
やるせない苛立ちを 侍従コルタにぶつけ
雑用係の食事は犬にも劣ると激怒するタファン
そんなことを言われても 侍従のコルタの管轄外であった
飯釜を洗うスンニャンのところへ イ・ホンダンが来て庭園へ行こうと誘う
王様からねぎらいの食事が用意されているというのだ…!
さぞ喜んで食べているだろうと 宴の席を覗くタファンだが
騒々しく食べ散らかす雑用係の中に スンニャンの姿だけが無かった
もうあの娘のことは気にしないと言ったのに…
やっぱり… と笑うコルタに タファンは また食事を用意しろという
そして今度は 必ずスンニャンを連れて来いと…!
その夜 スンニャンの為だけに豪華な食事が用意された
しかしスンニャンは 食べないどころかご馳走を見ようともしない
空腹ではないと告げて立ち去ろうとするスンニャン
皇帝タファンがその手を握り 引き止めた瞬間…!
コルタをはじめとする すべての女官と宦官が背中を向けた
たとえ寵愛するパク・オジンを よく世話してくれるという理由でも
たかがひとりの雑用係の為に ここまで豪華な宴の席は不自然だ
おそらく スンニャンだと気づかれた… 間違いない
西の辺境では
奇妙な仮面をつけたチュルクの猛将パトルが
精鋭を率い ワン・ユの先鋒隊を猛追していた
その動きを偵察していたヨム・ビョンスが すぐさまペガンに報告する…!
ペガンの秘策は 猛将パトルと同じ仮面をつけ 敵の陣地に入ることだった
大将が たった1人で敵に追われているとなれば 簡単に門は開くだろう
その思惑通り ペガンは 敵陣へ乗り込んだ…!!!
ワン・ユの先鋒隊を追跡する猛将パトルが 馬の手綱を引き 止まれと合図する
仮面を取ると それはパトルではなく側近の将軍であった!
最後までパン・シヌを信用しなかった将軍が 今はシヌの策で動いている
追撃していた敵が 陣地へ引き返したということは
パトルが シヌを信用して動いている証拠だった
ここからいよいよ ワン・ユの策で動くことになる…!
うまく敵の陣営に入ったペガン将軍率いる主力部隊は…!
突然に鳴り出した太鼓の音に 馬が動揺し次々に落馬していた
毎晩のようにやって来ては打ち鳴らされる太鼓に 馬は嫌悪感を持ち
その音を聞いただけで拒否反応が出たのだ
そこへ ワン・ユを追撃したはずの猛将パトルが!!!
すぐさま罠だと見破ったタルタルが 退却を!と叫ぶが
細かな推測が出来ないペガンは せっかく敵陣に入ったのだと叫び
剣を抜いて敵の中へ突っ込んでいく…!!!
しかし ペガンが斬り殺した猛将パトルは 偽者だった
それが分かったのは 本物の猛将パトルが現れてからだった
タルタルは 再び退却を!と叫ぶ 退却しなければ全滅すると…!!!
しかし 我が甥を軍師としながら こんな時のペガンは聞く耳を持たない
あとから現れた将軍パトルもまた偽者だとは 想像すらしていないのだ
『あの男がペガンか?』
『はい 実に凶暴で危険極まりない男です』
遠目に戦いを見ているパトルは ペガンを生け捕りにしろと命じた
危険な虎は始末すべきというシヌに ニヤリと笑って見せるパトルだった
やがてペガンの主力部隊は 数人を残すのみとなる
取り囲まれたペガンとタルタル そしてチョチャムとビョンス…!
暗闇から投げ縄が飛んできたかと思うと ペガンだけが捕えられていく
タルタルは 直ちに武器を捨てろと叫んだ!
命惜しさにすぐさま剣を捨てるチョチャムとビョンス…!
陣営の外から その光景を眺めるワン・ユ
そして これは“敗戦の計”なのだとつぶやく
本物のパトルを捕えてこそ この戦いは終わると…!
後宮では
皇太后が禁じたにもかかわらず パク・オジンが茶会に招かれていた
いつものように菓子を口にしようとして スンニャンをチラと見るオジン
そして スンニャンの言葉通りに具合の悪いフリをして退室する
残されたスンニャンに 皇后から次の命令が言い渡された
それは “パク・オジンの懐妊は偽り”との噂を流せというものであった
さらに皇后タナシルリは 明日から菓子の飾りをすべてナツメにしろという
数種類の菓子のうち パク・オジンはナツメが乗った菓子しか食べていないと…
噂を流すことは 実に簡単だった
口さがない雑用係たちは面白おかしく噂を広げ やがて皇太后の耳にも…
この噂を盾に パク・オジンの再診を迫る皇后タナシルリ
自ら女官の懐妊に関わり それを疑われ再診したとなれば権威が揺らぐ
しかしタナシルリは 皇太后の権威より後宮の名誉を守らねば!と主張する
もし再診の結果 懐妊が真実だった場合
噂の出所を突き止め 張本人を厳しく罰するという皇太后…!
ならば懐妊が偽りと証明された場合
パク・オジンの“背後”にいる人物も含め 直々に罰するという皇后
互いに引こうとせず いずれが正しいかは再診の結果に委ねられた
同じ時 イ・ホンダンが血相を変えてスンニャンのもとへ!
頼まれてヨンファを尾行したところ タンギセ将軍と密会していたという…!
スンニャンはヨンファに会い 見返りは何か?と 単刀直入に聞く
女官か… それとも尚宮になることかと
『そっちの見返りは? 尚宮? …それとも側室?!』
そっちもそうじゃないの?と聞き返すスンニャンに ヨンファは動揺する
同じ目的を持つ… という仲間意識で 口が軽くなるヨンファ
もっとも スンニャンの見返りが“側室”だなんて凄過ぎる…!
フジモドキも煎じ薬も 全部自分がしたことだというヨンファ
(薬を… 飲ませたの?!)
手柄を横取りしたら承知しないと言い捨て ヨンファは出て行く
そんなヨンファの野心などどうでもいい 本当に薬を飲ませたのか?!
主治医の再診をと命じる皇后タナシルリ
パク・オジンは 命ぜられるまま皇后のもとへ行こうとするが倒れてしまう
すでに 皇后の部屋で待つ皇帝タファンと皇太后
オジンが倒れたとの知らせに どうせ芝居だと言い出すタナシルリ
皇太后は 血相を変えて出て行く…!
皇后を睨み付け 口を慎め!と一喝し タファンも出て行こうとする
止めるタナシルリの手を 冷たく振り払うタファン…!
ギロリと蔑むような視線を送られ さすがに動揺するタナシルリ
再診など必要ないというタファンに タナシルリは頑として譲らない
いくら皇帝と言えど 後宮の長は自分であると言い放つ…!
丞相ヨンチョルの娘として 何不自由なく育ち 父親さえ意のままにしてきた
王宮の実験を握る父親を盾にして この世で怖いものなど無かった
しかし 失望したと言われ 悔しさに涙ぐむ…!
いくら政略結婚とはいえ 愛情の欠片も示さないタファン
このような屈辱を受けたことは 人生で初めてのことだった
『命令だ!!! 私は許可しない!』
皇帝として タファンは皇后に命じたのだ
それを覆すことは いかにタナシルリとて不可能なのだ
皇太后は パク・オジンの寝所に医官を連れて来ていた
遅れて現れたタファンと共に 医官の診察を見守る
しかし 付き添っているホンダンが 高熱で汗をかき衣服を脱いでいるので
診察は脈診だけにしてほしいと言い出す
御簾の下から差し出された手を 脈診した医官は 恐れおののき後ずさる…!
以前は感じられた 懐妊の印となる滑脈が消えてしまったと!!!
この事実を 誰にも話してはならぬと 口止めする皇太后
もちろんですと答えながら 医官はその足で丞相ヨンチョルのもとへ!!!
タンギセは 皇太后が頑として再診をさせぬはずと読む
丞相ヨンチョルは ならば臣下を動かすという
何も遠回りせずとも すぐさまパク・オジンを捕えるべきというタンギセ…!
父親は 息子の愚かな判断をたしなめる
『戦には剣を使うが 政(まつりごと)では大義が重要だ
皇太后を大義なく殺めれば 後に憂いが残る』
西の辺境では
ワン・ユが本陣に戻り タプジャヘに報告していた
軍は全滅し ペガン将軍は生け捕りにされたと…!
今にも猛将パトルが攻めてくると聞き すぐにも退却だと叫ぶタプジャヘ!
捕えられた部下を救うなどという考えは微塵もない
あとをワン・ユに任せ さっさと逃げ出すつもりであった
『我々を盾にするのか!!!』
『お前の役目は 我々のために死ぬことであろう!!!』
チュルクの陣営では
パン・シヌが 軍師としての役目を果たし 大勝利の宴をと提案している
しかしパトルは まだ残党が残っていると言い 気を緩める気はない
残党は 異国から配置された兵であり もはや反撃も出来ないというシヌ
パトルは その指揮官が高麗(コリョ)王だったことを承知していた
ワン・ユと剣を交えたことを思い出し 並外れた意志が見えたというパトル
そこへ 元の本陣から兵が撤退しているとの報告が入る
あの高麗(コリョ)王が 簡単に諦めるはずがないと感じていたパトルは
ようやく安心してシヌの提案を受け入れ 盛大な宴を開いた
チョンバギが 兵士たちの間を練り歩き 酒を振る舞う
しかし パトルだけは シヌの勧めも断り 酒を飲むことはない
牢獄では 深手を負った将軍ペガンが苦しんでいた
そんな叔父を気遣うタルタル
肉を焼くにおいがここまで流れて来て 空腹のヨム・ビョンスが唸る
そこへ 猛将パトルが現れた
女のパトルを まさか将軍とは思わない3人
それを承知のパトルは 部下になり切って話す
元の兵はすべて退却していったと…!
見捨てられたことに 茫然とする3人
パトルは こちらの陣営に寝返らないかと持ちかける
ペガンの耳元で 考えてみては?と囁くビョンス
しかし 恥辱を受けて生きるより 将軍として死を選ぶというペガン!
一方 すぐさまタプジャヘの後を追い
チュルクの間者に すべて撤退したと思い込ませたワン・ユは
川のほとりに佇んで スンニャンと別れた時の光景を思い出していた
自分の中の想いを確信し スンニャンのもとへ行くために
ワン・ユはすべてを懸けている そして二度とスンニャンを離さないと…
チュルクの陣営で 大宴会が開かれているという報告が入る
パトルが策に嵌まったと知り 出撃命令を出すワン・ユ!!!
元々は 討伐隊として辺境に送られた者たちである
それがいつの間にか労役兵となり 奴隷のような扱いを受けてきた
そんな兵士たちに これが最後の戦いだと檄を飛ばすワン・ユ!
チュルクの偵察兵に その存在を知られてはならない兵士たちは
声なき声を上げ 静寂の中で 互いに士気を高め合う!!!
チュルクの陣営近くに忍び寄ると そこまで酒の匂いが漂ってくる
到着したことを知らせる合図を送ると シヌからも合図が返ってきた
2人が飲ませた酒には 眠り薬が仕込んであったのだ…!
死んだように眠る兵士たち
将軍パトルは 湯浴みを楽しんでいる
あとはシヌとチョンバギが ワン・ユの陣営に戻るだけである
しかし!!!
懸命に合図を返すシヌの横で チョンバギが凍りついている!
2人は いつの間にかパトルの側近らに取り囲まれていたのだ…!!!
もう ごまかしなどは通用しない
絶体絶命になった2人は 必死に門の方へ逃げ 味方を呼び入れる!!!
用心深いパトルの指令により 酒を飲まなかった側近たちだが
とてもワン・ユの軍勢に応戦できるような数ではない
敵襲の騒ぎは 牢まで聞こえたが タプジャヘが来たとは考えにくい
騒ぎに気づいたパトルは 慌てて身支度をする!!!
しかし間に合わず シヌに案内されたワン・ユが剣を突き付けた!
元の都 大都 では
丞相ヨンチョルが 大臣らの上奏を突き付け 玉璽をと迫っている
皇帝タファンは まったく字が読めず 上奏文が逆さまでも気づかない
しかし 字は読めずとも オジンの再診を迫る上奏だと予測し
丞相に対し 初めて『許可できない』と告げた
どんなに脅されようとも これだけは決して許可出来ないのだ…!
皇太后と共に消されたいのかと あからさまな言葉で脅す丞相
玉璽を掴み さあ押せ!とばかりに突き付ける!
それを拒めるほど タファンは強くなかった
涙ぐみ 静かに受け取ると いつものように玉璽を押す…
そこへ 皇太后が奏請の為に謁見を願っていると コルタが告げに来る
一切の装飾品を外し 上着も脱ぎ去り 大明殿の石畳に座る皇太后
そして 断じて再診の許可を出してはならないと叫び
皇太后である自分が 皇帝陛下に諫言すると言い放つ…!
この光景を 遠目に見たタナシルリは 忌々しく睨み付け
パク・オジンの流産を確信しているタンギセが あと少しの辛抱だとなだめる
皇帝タファンは 皇太后の姿に驚き すぐにやめるよう告げるが…
たとえ石になろうとも 再診を禁じる王命が下るまでは動かないという皇太后
『石になりたければ 出家してからなることです!』
『陛下に諫言しています! 見えないのですか!!!』
『再診の上奏は後を絶たない! 陛下を苦しめるのは不忠ですぞ!』
『臣下を操って苦しめてるのは 丞相ではありませんか!!!』
厳しい顔つきで 再診の王命をと迫る丞相!
半狂乱で それを拒む皇太后!
タファンは またしても2人の間で苦悩する…!!!
もうたくさんだ!と叫び その場から走り去るタファン
同じ時 パク・オジンの傍には スンニャンが付き添っていた
皇太后と丞相の衝突を知り 不安におののくオジン
しかしスンニャンは 騒ぎが大きくなるほど皇后の罪は重くなるという
今こそ 再診の許可を出すよう 陛下に願う時だと…!
スンニャンが 皇帝タファンのもとへ行こうとすると
夢中で走っていくタファンを コルタが 必死に追いかける光景が…!
『死にたい…』とつぶやくタファン
自分の背後に スンニャンが立っているとも知らず…
『こんなことなら 大青(テチョン)島で死んだ方がよかった…!』
気配を感じ振り返り スンニャンに気づくタファン
最も聞かれたくない弱音を聞かれたと その表情は怒りに満ちている…!
『何しにここへ?』
『皇帝陛下にお話があり…』
『あざ笑いにでも来たのか?! 所詮王座など この程度だと?
こんなものの為に お前を裏切って即位したのかと?!!!』