7/26(月) 18:43配信
世界遺産の登録を審査する国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産委員会は26日、日本政府が世界自然遺産に推薦した「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」の登録を決定した。国内の自然遺産登録は2011年6月の小笠原諸島(東京都)以来、10年ぶり5件目。県内では2000年に世界文化遺産となった「琉球王国のグスク及び関連遺産群」に次ぐ登録で、18年の登録延期から3年越しの実現となった。
5月にユネスコの諮問機関「国際自然保護連合(IUCN)」は、沖縄・奄美の自然遺産登録について、4島の生物多様性を評価。世界でも貴重な希少種・固有種の保全に重要な地域として「登録が適当」と勧告。世界遺産委員会は、従来通りIUCNの勧告をそのまま認める形で、世界遺産リストへの登録を認める「記載」と決議した。 登録区域の総面積は4万2698ヘクタール。地域別では、沖縄島北部7721ヘクタール、西表島2万822ヘクタール、奄美大島1万1640ヘクタール、徳之島2515ヘクタール。 4島には、国の特別天然記念物のアマミノクロウサギ(奄美大島・徳之島)、ヤンバルクイナ(沖縄本島北部)、イリオモテヤマネコ(西表島)、など独自に進化を遂げた希少種が生息。環境省によると、日本の国土0・5%に満たない面積に絶滅危惧種が95種、固有種は75種を数える。 沖縄・奄美の登録を巡っては、17年2月に政府がユネスコへ推薦書を提出後、同年10月にIUCNが現地調査を実施した。 だが、本島北部の候補地に隣接する米軍北部訓練場跡地が編入されなかったことで、推薦区域が点在する「飛び地」や、これに関連して希少種・固有種などの生態系が一体的に保全できないことを指摘。18年5月に国内の自然遺産候補では初めて「登録延期」を勧告した。 政府は20年の登録を見据えて推薦区域の見直しに着手。勧告内容を踏まえて訓練場跡地の大半を含む森林地帯を新たに国立公園に編入し、19年2月に推薦書を再提出した。 しかし、20年は世界的な新型コロナウイルスの感染が拡大。同年夏に中国で開催予定だった世界遺産委員会も延期されていた。 遺産委は今月16~31日までの日程で開催。昨年の審議予定分も含めて、ことしは2年分の審査を行っている。
玉城デニー知事「誠に喜ばしい」
世界自然遺産登録が正式に決まり、くす玉を割る玉城デニー知事(右)ら=26日午後7時すぎ、県庁
「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」の世界自然遺産への登録決定を受け、玉城デニー知事は26日、「『生物多様性』に関する顕著な普遍的価値が認められ、誠に喜ばしい」とのコメントを発表した。 知事は、奄美や沖縄島北部、西表島は希少な固有種が数多く生息、生育し、豊かな自然環境を有する地域だと評価。「貴重な自然環境を子々孫々に引き継ぐためSDGsの精神にのっとり、世界自然遺産にふさわしい持続可能な地域づくりに取り組む」とした。 また、自然遺産登録に向け尽力した国や地元の国頭、東、大宜味各村と竹富町に謝意を示した。