ひねもすのたりのたり 朝ドラ・ちょこ三昧

 
━ 15分のお楽しみ ━
 

■『かりん』 最終週 (146) ★味噌の袋詰めの開発とあかりの告白

2006-03-27 10:55:21 | ’05(本’93) 50 『かりん』
【146】 3月27日(月)★味噌の袋詰めの開発とあかりの告白

作    松原敏春
音楽  渡辺俊幸 コンセール・レニエ(演奏)
主題歌 井上陽水
語り   松平定知アナウンサー 


時代考証 小野一成
方言指導 有賀ひろみ
味噌指導 松井宏次
撮影協力 (財)日本学生航空連盟



小森千晶   細川直美
小森浩平   榎木孝明
本間あかり  つみきみほ
田上 渉   筒井道隆
宮下みつ   貴島サリオ
川原清三   河西健司
大さん    大塚周夫
小森弥之助  小林桂樹
黒田忠治   佐藤B作
小森晶乃   岸田今日子
小森友行   石坂浩二


制作統括 西村与志木

美術    深井保夫
技術    横山隆一
音響効果 平塚 清
記録編集 阿部 格
撮影    石川一彦
照明    田中弘信
音声    佐藤重雄
映像技術 菊地正佳

演出    兼歳正英 



解説(副音声) 関根信昭


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信州諏訪はすっかり冬です とナレーション

研究室
友行と浩平は机に伏してねてしまっている。
友行はいつも通りの白衣、浩平は小森屋の半纏を着ている。
浩平が目を覚まし、深夜2:30なのに気がつき「お義父さん、お義父さん」と起こす。
「ぉぉ・・」とよだれを拭きながら体をおこす友行。
「もう休んでください」
「君は?」
「もう少し。プロペラの形と角度を決めれば制作にかかれますから。
 設計図は机上のものですからね。
 そこからは造っていく過程で修正していくしかないです」
「浩平君ってのは大したもんだね。発想には毎日ただただ驚くよ。
 ココ(と自分の頭を指さしながら)が違うんだね」
「何をおっしゃってるんです。この袋詰め機は、ヒントはお義父さんの竹筒の心太方式が
 下敷きになってるんですからね」
「しかし、プロペラとはね。こんなところで君の専門の航空力学が役に立つとは‥」
そう言って部屋に戻る。

「あなた」と千晶がお茶とおにぎりをお盆に 入ってくる。
「ごくろう様  」
「お義父さん、今お休みになったよ」
「今会ったわ。明日から制作開始だ って」
「最初っからうまく行かないかもしれないけど、作ってみないとわからない」
設計図を見ながら、千晶が訊ねる。
「このプロペラで、味噌を下に押し出してくのね。
 そして、この先を細く絞って、ビニール袋で受ける」
「このプロペラの次、問題はペダルだ。
 定量の味噌が出てくるようにしなければいけない」
「年内まであと1ヶ月ちょっとあるわ。大丈夫」
「さ、もうお休み」
「あたしがいたらジャマ? 
「ジャマじゃない」
ほほ笑む千晶に「あったかくして寝ろよ」と浩平。
研究室を出る時、入り口で振り向き浩平を見る千晶。


中庭

かりんの木を診ている大さん
「切り倒さなくてもいいみてえだ」
「ホントですか」
「根本まで腐ってたらダメだと思っとったけど、そこまで腐っちゃいねえ。
 回復するのを待てば‥」
「千晶がそれは心配して、毎日さすって」
「木も生き物だでね。目をかけてやればそれなりに応えてくれる」
「味噌も同じだ」と弥之助。
「来年 花咲きますか?」
「花が咲くか実がなるか、そん時になってみないとわからん。
 こいつが咲く気があれば咲くし、当人の気持ちの持ち次第だ」
「そうね。千晶の気持ちが伝われば咲いてくれるわ。実もなる」
「切り倒さなくてよかっただで。ありがてぇ。大さん、ありがとう」
千晶と晶乃・みつも一緒に頭を下げる。

「こんにちは」 とあかりの声。
「みっちゃん、ウエディング・ドレスの寸法とらせて?」
千晶が‘ いいわよ、行きましょ ’という感じでみつの腕をたたくと
「はい」と嬉しそうに返事をするみつ。

研究室では、友行・浩平・忠治が、袋詰め機を組み立てている。
蔵では、清三が味噌を桶に入れ、弥之助に渡す。

千晶夫婦の部屋

「袖丈が50」 「袖丈 50」と千晶がメモする。
「肩幅が32 スカート丈が100」
スタイル・ブックを見ながら、晶乃が言う。
「一口にウエディング・ドレスって言ってもずいぶん違うのね」
「そうですよ」
「あたしも40年遅く生まれてきたら、こんなの着れたのね。
 みんなステキだわ」
「どうです? もう一度それを着ておじい様と写真だけでも」
「よしてよ、あかりさん。想像するだけでも自分が恐ろしいわ」
笑う若い女性3人。

「ねえ、みっちゃん。みっちゃんはどんなのがいいの?」
「わかりませんから、あかりさんにお任せします」
「いいわ。でもイメージだけでも、こんなになったらいいなというのを
 言っといてくれる?」
「私だったら、断然エリザベス・テイラー」と晶乃。
「『花嫁の父』っていう映画の中で着たウエディング・ドレスが・・・」
「わしゃ、白鳥みたくなりゃあいいなぁって」
「白鳥!」
「スワンね。 はい、確かに承りました」
「生意気言ってすみません」
「いいのよ、みっちゃん。新しい女はどんどん自分の思ったこと、言っていいのよ。
 ね、あかりさん」
「はい」

都座

渉が映写機の点検をしている。
「こんにちは」あかりが声をかける。
「おお」
「やってるやってる」
「まあな。そっちは」
「みっちゃんの寸法とって、その帰り」
「式、4月だった」
「ウチでやるのよ」
「儲かるな」
「花山君から儲けてどうするのよ。特別。お安くして・・・」
「あいつ、儲けてるんだからふんだくってやりゃいいんだよ」
「父に言っときます」

「あー、これ、和則に渡してやってくれ」
「何?」
「笛吹童子のスチール写真が入ってる。あいつ喜ぶだろうと思って、取り寄せたのに
 最近来ないんだ」
「あたしが行っちゃだめって言ってるの」
「何で。映画好きなんだから、見せてやればいいじゃないか」
「あたしが和則に来させてるみたいでイヤじゃない」
「誰がそんなこと思うんだ」
「あなた」
「なんだよ、オレそんな風に思ったことないよ」
「ならよかった」
「どうして」
「あたしはもう千晶の防波堤じゃないわ。あなたが好きなの。
 子どもをダシにあなたに会いにきてるって思われるのイヤだったの。
 でもまた来させるわ。
 その時、これ(笛吹童子の写真)本人に渡してやって。
 そのほうが喜ぶと思うから」

小森家、はなれ(弥之助夫婦の部屋)

弥之助は桶の味噌を取り、自分で袋詰めしている。(ちょっと不器用)
「何なさってるんですか?」と晶乃が入ってくる。
「見りゃわかるだで、味噌の袋詰めだ」
「だってそれは今、友行さんと浩平さんが」
「ちっと気になることがあんでな。 アイロンだしてくれんか」
「アイロン?」
「袋に入れたら、ここ封しなきゃいけねずら。アイロンで、ここジューっと」
「わかりました」と立ち上がり、アイロンを出しながら
「でも浩平さん、わざわざ休暇とって小森屋のためにねぇ‥」
「ああ」
「その辺のところ、よーく胸に刻んどいてくださいよ」
「わかっとる。 ‥‥ 小森屋が生き残れたらな」
袋の口をアイロンで閉じる弥之助。
「ここに味噌がついているからうまくつかないんだ」と晶乃。
あたしがやる、オレがやると一悶着。

研究室

深夜1:30 目を覚ました千晶は浩平がいないのに気が付き、研究室に行く。
浩平は独り座っていた。
「どうしたの?」
「これじゃダメなんだ つまらないミスに気がついた」
「ミス?」
「プロペラだ、プロペラの角度が間違ってた」
「ぇっ」
「(プロペラを手にしながら)これじゃ味噌をかき回すだけで、下に押し出さない。
 単純なミスだ」

「何やってんだ、このオレは   ド素人だ 

(つづく)


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