【創作びより】

夢見る主婦

朝、いつものようにコーヒー豆をひこうとして、そうだと思いついたんで、夫に聞いてみた。
「多めに作って、学校に持って行く?」
すると、思いがけない答えが、返ってきた。
「今日、休みとってん」
「いいいぃぃぃぃ!」
思わず、キッチンから飛び出していったほど、驚いた。吉本新喜劇並みのリアクションだ。
「集中して絵描きたいから、3連休にしてん」
夫はかなり上向き。でも、わたしの心は下降気味。やばい…。絵が進むのはいいけど、わたしのペースは確実にくずされる…。モンモンとしながら掃除機をかけていて、ふと、いいことを思いついた。
「インフルエンザ、受けなあかんのちゃう?」
夫はそやなそやなとうなずいて、近くの診療所に電話をかけた。すると、もう在庫がないという。
「しゃあないな、がんばるわ」
と言うんで、がんばれるわけないやろっと、別の病院をすすめた。在庫はあって、今から受けに行くと言う。
ヨッシャァー! 心の中でガッツポーズ。
にこやかに送りだし、さっそく原稿に向かう…と2メートルほど先にある黒いゴミ袋がどーも気になる。長女が片づけてて、途中でほったらかして学校へ行ってしまった。ん……、どうしても目線に入るんで、電話の横のケースやファイルを整理しはじめた。あぁ、こんなことしてる間に、夫が帰ってくるぅ~と思ってたら、案の定、帰りますメール。よし、昼からは集中しようと思ってたのに、運命は皮肉。
帰ってきた夫が、東京へ行く手配をするのに、次女のつくえを使った。仕方なく、長女のつくえへ。っと、汚いっ。本だの、消しゴムだの、ビーズだの、あらゆるものが渾沌としてて、あまりの汚さに、また片づけてしまった。
さぁ、今度こそ集中するぞぉと思ったら、夫が「このベンチ、むこう持っていこか」と言い出した。木のベンチ4つ。キッチンカウンターの下に置いてあったけど、かなり邪魔だった。
「そしたら、中にあるもの片付けるわ」と言ったけど、これがまた大変な作業。古いものを処分してる間に、気がついたらお迎えの時間。あわてて、迎えに行って帰ってくると、次女が「クリスマスツリーや、クリスマスツリー!」と騒ぎ出した。物置きの奥から出してきて、飾りつけ……。
うぅぅぅ、何もでけへんかったやないかいっ!!
母、非行に走る。次女と三女を夫にあずけ、長女を空手に送っていった。すぐ戻ってくるだろうという夫の期待を裏切り、本屋さんへ。財布の中には、1300円。また、中途半端な数字だ。良き妻なら、これを食費にまわすだろう。が……、あたしゃ、不良妻。いえいえ、創作妻。自分のための肥やしを買った。令丈ヒロ子さんの『ホンマに運命?』。あー、救われた! かまえてないのに、コクのある文章が、トコロテンのようにツルツル入ってきた。こんなのを書けたらなぁ!
不良妻から、夢見る主婦へ。あぁ、やっぱり書くことと読むことは、たまらない。

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