Vol.30 ブルガリ 『オムニア クリスタリン』

　年末の帰省前に父から一本の電話がありました。
　「お母さんの誕生日に香水を贈りたいけど、何を買ったらいいかわからないから、買ってきてくれないか？」
というものでした。それもそうだ（お父さん、失礼！）と思い、数日後近くの香水ショップへ行きました。
　母の香りの好みはだいたい把握しているつもりです。甘すぎず、さわやかで・・でも幼くないもの。どんな香りがいいかなぁ。とあれこれ調べていました。
　当初は銀座の直営店もしくはデパートで・・と思ったのですが都合がつかず断念。直営店ならラッピングが素敵だろうし、デパートなら種類も豊富だろうと思ったからです。同じものを贈られてもラッピングが安っぽいと、ちょっと気分が盛り上がらない・・・のは私だけでしょうか？種類、ラッピングと少々不安でしたが近くのショップに入ってみると・・・。
　意外と、あるものでした（ほっ）。思っていたイメージに近いフレグランスを２，３選び比較して決めようと香りを比べる私。ただ、小瓶にワタが入ったような香りのサンプルしかなく、しかも一番試したい香りは随分古いようで香りがほとんど残っていないのです。そこにあるのは、多くの人が鼻を近づけて香りをかいだ後の、ちょとしめったニオイと香水のラストノートの一部分のみ・・・。
　その香りこそ、ブルガリの『オムニア　クリスタリン』でした。
　説明を読んだ時と、かすかに残る香りから推測する『オムニア　クリスタリン』の香り・・・って、どんなもの？
　店員さんに、
　「この香り、ほとんどわからないのですが試すことはできますか？」
　と聞くと、年配のその女性は
　「でも、これはそんなに(時間が）経ってないハズなんですけど・・・」
　とちょっとムッとしたように答えました。
　「う～ん、でもこれではラストノートしかわからないんですけど」
　と喰いさがったら、明らかにムッとして
　「他には、香りをあけることができないんですよ」
といわれてしまいました。仕方がないので、自分の勘を信じて、このフレグランスを購入することに決定！お母さん、喜んでくれるかな？

　最後には、ムッとした店員さんも
「すみません、そうですね。これは3か月以上前に届いたサンプルでした」
　と話しかけてきました。でしょ、でしょ～？このどこが"開けたて"の香りなんだぁぁぁ～～～！
　なんでも、小瓶入りのワタに浸した香りのサンプルが、商品入荷時におおもとから届いて、それっきりなんですって。デパートだったら、必ず１本サンプルがあり、ムエットにつけて香りを試せるんですけどね。まぁ、安く買えたしよしとしましょう。

　後日、父に渡して、父から母へプレゼントされた『オムニア　クリスタリン』はその場で母が身につけ、たいそう気に入ってくれました。私が想像した以上に清々しく、また女らしい上品な香りだったのでした。
　その詳細は、以下のとおりです。

□ブルガリ　『オムニア　クリスタリン』
格調と革新を見事に捉えた前作「ＯＭＮＩＡ」から一周年にあたる２００４年９月、新たなブルガリの香りが登場いたしました。
「ＢＶＬＧＡＲＩ」フレグランス・ラインの一つの集大成とも言える、透明なる全き女性美を演出するフルーティ・フローラル・ムスキーの香りは、その完成度は言うまでもなく、一つのアジアン・ビューティの詩情をもって貴女に語りかけてきます。
バンブー、ペア、ベルガモット、シトロンなどが溶け合い清流の如く流麗な爽やかさを沸き立たせるトップ。蓮の花（ロータス・フラワー）、白シャクヤク（ホワイトピオニー）、スズランなどが東洋的な悠久と静けさ、和やかさを持ったブーケを綴れ織るミドル。
そしてムスク、アンバー、サンダルウッドなどが全ての香りを調和させ、絶え間なく広がる無限の淑やかさを演出するラスト。
蓮の花の控えめながらもエキゾチックな香りをベースにして、大変にみずみずしく繊細な趣に満ちた香りに仕上がっております。
美しい香りとは、このような香りのことを言うのでしょう。使い勝手も良いことこの上なく、レディスの新たなスタンダードとして確実に残る逸品中の逸品です。
しかし男性がまとっても全く違和感はありません。オリジナル同様「∞」を表すミステリアスなボトルも、その銀色に輝く色合いと相まって、見るものの目をしばし虜にいたします。
TOP：シトラス、梨（豊水）、竹
HEART：蓮の花、シャクヤク（白）、スズラン
BASE：サンダルウッド、アンバー、ムスク
2004年発表　アジア先行発売

う～ん、私も欲しい香りです。