goo blog サービス終了のお知らせ 

ちっちと一緒に

線維肉腫と闘ったちっちとの大切な時間
ぼーちゃんとの出会いと別れ。珠ちゃんとの愛しい日々のこと。

命の輝き2

2010-10-11 | ちっちの闘病記
ちっちが残してくれた
最後の命の輝き。

それを記しておかなくてはと思ったのに、
わたし自身がそれを冷静に振り返れるようになるまで
ずいぶん時間がかかってしまいました。

命の輝き1

その間に、わたしの心の中にも
様々な変化がありました。

けれど、
その輝きを記しておきたいという思いは
薄れることはありませんでした。

ちっちが残してくれた
最後の日々。

大切な大切な思い出。

悲しみの中で
悲しみの一部として
綴りたくなかったのかも
しれません。

今、ようやく
しっかりとふりかえれるような気がしています。

長くなりますが、おつきあいください。



**************

あれほど恐れた腫瘍の脳への転移。

背中にできたワクチン性線維肉腫が
最も転移しやすい部位は肺。
それから足。

厳密にいえば、ちっちは脳腫瘍では
なかったと思います。
でも、限りなく脳に近い部分、
首にできた腫瘍が、
神経を刺激し、
それによるさまざまな諸症状に
苦しめられることになってしまいました。



ちっちの背中の内側を這うように
じわじわと広がりを見せた腫瘍は、
いつのまにか、ちっちの首の根元を内側から押し上げ、
こぶ、というよりは、
背中につながる首の根元全体を盛り上げていました。

その部分は、温熱療法により、
ふくらんだりしぼんだりを繰り返していたように見えました。

それよりももっとひどかったのが、
そのさらに上部、
後頭部、といえる部分にできた、
大きくて硬い塊でした。

それは石のように固く、
細胞とも思えないほど固く、
重さすら感じさせ、
あまりの不自然さに
触ることもはばかれるものでした。

その腫瘍には、
先生ももう、手をつけませんでした。

下手に刺激をして、
活動が活発になってしまった時の危険性は
あまりに高かったからです。

ちっちが時折
「う~。。。。。」
小さくうめきながら首をすくめる時、
ちっちの首の上に、
重い石がどっかり乗っているように見えました。

血液検査では、最後まで
異常値は見られず、内臓の疾患の可能性は
少ないと言われました。

けれど、さまざまな症状が次から次へとあらわれ、
ちっちから自由を奪っていきました。
症状に追いつこうと、
先回りして食い止めようと、
追いかけても追いかけても、
追いつくことができませんでした。

腫瘍が脳や神経を刺激したことが
諸症状の主たる要因だったことは
ほぼ間違いないと思います。

だからこそ、次にどのような症状が現れるのか、
それを予測することは
誰にもできなかった。



腫瘍部分が熱を持ち、
その活動が一気に活発になると
腫瘍部分自体が痛みや熱をを発し、
ちっちは瞬く間に衰弱していきました。
みるみる体重は落ち、
食欲が失われ、
多飲多尿がはじまりました。

そして、
徘徊や粗相などの痴呆症状
瞳孔不動
耳の痙攣
貧血
全身の痙攣発作

見た目の変化も激しく、
駆け足で年をとっていっていくかのように、
ちっちは小さく小さくしぼんでいってしまいました。

最後は完全に寝たきりでした。

まだ11才とは思えない姿でした。


でも。

それでも。

どうしてなのでしょうか。

以前はあれほど恐ろしかった
その衰弱の過程が、
決して考えたくないと思っていた
その姿が、
目の前にあるのに、

その時
わたしの中にあったのは、
ただちっちへの愛おしさだけでした。

確実に迫りくる死や喪失の恐怖さえも、
そこにはありませんでした。




小さく短いリズムで弱々しく上下するお腹、
投げ出されたかのように力なく寝そべる姿
遠い呼吸、
うつろな視線
小さな体
しがみつくかのように、毛布をつかむ丸い前足



わたしの目の前にあったのは、
『死』や『衰弱』ではなく、

ただまっすぐに
ひたむきに生きようとする

『生』

そのもの

『命の輝き』

そのものでした。



それは
あまりに純粋で、尊いものでした。

その強い輝きを前に、
目をそらすことはできませんでした。

たくさんの幸福をくれたちっちに
わたしができることは、
泣き崩れ、不安におびえ、
目をそらし、逃げることではないと、
その輝きが、はっきりと伝えていました。

ちっちの姿を最後まで見つめ、
自分が愛した、
たったひとつの尊い命を
しっかりと目に刻みつけ、
記憶することだと
思いました。

だから、
どんなことがあっても、
決して目をそらさない。
全て受け止めるのだと
心に誓いました。

なにも怖くありませんでした。

わたしは、ちっちのことが
本当に大好きでした。






もし、これを読んでくださる人の中に、
自分のペットの末期に不安を感じている方がいたら、
わたしは、だいじょうぶです、
と言いたい。

愛があれば、
なにも怖いことはありません。
愛しい存在のすべてを
受け止めてあげられるのは、
その子を心から愛してるあなただけです。
だから、だいじょうぶです、と
きっとだいじょうぶです、と
言いたいのです。


***************


長くなりましたが、
最後に、わたしの宝物のメールを
ここに記録しておきたいと思います。

ちっちの闘病の末期、
仕事に出てるわたしのかわりに、
昼間ちっちを看病してくれた母親が
わたしに送ってくれたものです。

このたどたどしくて(ごめん)
短いメールが、
眩しい輝きを放った
ちっちの最後の日々を
どんな言葉よりも正確に伝えてくれます。

わたしの一生の宝物です。



6月10日 
11:35

11時30分に 無事 ちっちは、お薬を飲みました。
うんちは、小さいのが3こくらいありますので、
とります。しばらく様子を見て、帰ります。


14:48

今ちっちはちっちボックスで、ぐっすり眠っています。
2時までうとうとしていたので、しばらくは、熟睡すると思います。
あれから うんちも おしっこも、ありません。
もうしばらくいてから、帰ります。


6月21日 
15:37

11時30分 お水をたくさん飲んですぐおしっこ多い。
1時30分お水を飲んですぐおしっこ少ない。
すぐ下に降りて、トイレの前でしばらく眠って、
二階に登ってお水を飲んでおしっこ無し。
ベッドですやすや。
部屋の室温は、最適。
涼しい風がふいてなんと気持ちいいことだろう。
夕方からは涼しくなるだろうから、除湿は、切っていきます。

6月22日
15:54

今日のちっち、おしっこ 1回しておりました。
ベッドからまったく降りてこなかったので、
口もとまでお水を持っていったら、少しお水を飲んで
トイレをベッドのそばまで運んだら、おしっこと
緩いうんちをして、又自分でたくさんお水を飲み
階段に10分くらい寝そべって 自分でまたベッドにのぼって
寝そべっています。
今日は、昨日より室温は涼しいけど、
風がないので除湿して気持ち良さそうに、眠っています。
昨日より 元気は、ありません。
空気が触れるほどの接触でも不快を表します。
もしかしたら痛みがあるのかもしれない。
4時までは、おしっこお水無し。

16:36

帰ろうとして、ちっちを見に行ったら、
ちっち、おしっこのそそうをしたばかりで、
なんともいえない、かおりを、していました。
ベッドから、間に合わなかったと、思います。
お水をたくさん飲んで、ケースの中に
入っていきました。

6月23日
13:12

今日のちっち、昨日よりは調子良さそうに
すやすや眠っていました。
11時に おしっこ。
上手くやったー。
あれ?おしっこない!
そうです、水色のケースにシャーシャー。
周りに漏らさず上手にはいりました。
その後 お水たくさん。
つめとぎにゆったりと、50分くらい寝そべっています。
その後上手におしっこをして、気持ち良さそうに
ベッドで眠っています。

16:04

4時に日が照ってきたので、クーラーをつけて
帰ります。
2時からずっとケースの中ですやすや眠っています。
おしっこは、全部で4回です。

6月30日 
16:49

ちっち、4時に下からベッドに運びました。
その時はすんなり抱かれましたが、その後不機嫌になり、
ちょっとのことでも怒ります。
お水は、たくさん飲みました。
今はすやすや、安定した呼吸です。

7月3日
12:49

おまたに、テッシュを挟んで、
すやすや眠っている。
おしっこ一回しました。





15:42

気持ち良さそうに、眠っています。
しっぽも、力強くバタバタと、すごい勢いで振ります。
今日は安心して、少し早めに
帰れそうです。

17:36

ちっち、おしっこ3回しました。
まったく立ち上がることなく垂れ流し状態なので、
やはりおむつを使ったほうがいいと、思いました。
おまたのテッシュのおかげで、そそうなく
無事クリア。
ちっち、気分良さそうに、穏やかな瞳でじっと見てます。



これが、
ちっちの様子を告げる最後のメールになりました。
旅立つ3日前の様子を告げる最後の一文は

『ちっち、気分良さそうに、穏やかな瞳でじっと見てます。』

でした。




お母さん、

本当に、ありがとう。






虹の橋









最新の画像もっと見る

9 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

コメント日が  古い順  |   新しい順
愛があれば (さよ)
2010-10-11 23:28:19
はじめまして。
ずっと拝見していました。
今回はじめてコメントさせていただきます。

わたしも末期癌の猫を飼っています。
衰弱していく姿を見るのがつらく、でもどうすることもできず、
ただ声をかけ、撫でることしかできません。

それでも、ゆうさんのおっしゃるように、見つめていこうと思います。
残された時間が、めいいっぱい愛に満ちた時間になるよう、
寄り添っていこうと思います。

とても励みになりました。
ゆうさんとちっちちゃんの絆、
とても素敵です。



返信する
Unknown (p)
2010-10-12 15:44:23
私も以前ブログに書きましたが、ゆうさんとちっちちゃんと同じ気持ちでした^^

闘病当時は、混乱して、がんをやっつけるために色んな情報を手にして、
探しまくって、でも、その情報に気持ちが押しつぶされて、どうしていい
かわからなくなって、混乱しつつも病気は進行して・・・、毎日泣いて暮らす
日々になると思っていました。
思っていました、と書いたのは、闘病を始めた当時は、毎日泣いて暮らして
いて何の希望も見いだせなかったから。
でも、不思議なもので、答えは猫が出してくれた気がしました。
涙は出るけど、なんというか、死の恐怖やさみしさは当然あるけど、なんと
いうか、猫の生きようとする姿に、励まされる部分も多くて。末期の末期は、
混乱よりも幸せな時間を過ごせたなぁと、今はしみじみ想い出せます。

私も闘病している猫さんを持つ人たちに、「大丈夫。大好きなら大丈夫」と
伝えたいですね。

ちっちちゃんやB.C.が残してくれたとても大事なメッセージだと思うから^^
返信する
愛情 (もん)
2010-10-19 00:36:15
ちっちちゃんに対するあなたの愛情は、本物だと思います。
ペットに対する愛情は、動物が純粋な分だけ、純化されるように思います。
あなたに精一杯愛されて、ちっちちゃんも幸せだったことでしょう。
姿かたちはなくなっても、
きっといつも見守っていてくれますよ。
がんばってくださいね。
返信する
Unknown (茶々にゃん)
2010-10-25 13:18:38
ゆうさん、何回ももこの記事を読んでたんだけど、コメントを書く事ができなかった。。。

今でも海の事を思い突然大泣きするけど、
いつもずっと思っています。
海は最期まで生きようとしていたと。
愛してやまないこの子達は、こんなにも強いのだと。

だから、「大丈夫です。」と私も言えます。
返信する
Unknown (ゆう)
2010-10-30 14:47:24
☆さよさんへ

猫ちゃんの具合はいかがですか・・・?
大事な大事なわが子の末期。
つらいですよね。。。
お気持ちお察しいたします。

どうか気持ちを強く持って、
声をかけてあげて、撫でてあげて、
猫ちゃんが不安にならないよう、
さよさんがそばにいてあげてくださいね。

コメントありがとうございます。
返信する
Unknown (ゆう)
2010-10-30 14:50:54
☆Pさんへ

あーー^^
ほんとうだ。
Pさんのその記事、しっかり記憶にあります!
そうですよね、
好きなら大丈夫!
そうでしたよね。

Pさんの記事を読んだ時は、
まだヨロヨロしていて、その記事にとても
慰められ、励まされた記憶があります。

でも今は、わたしもはっきりそう思えるようになりました!

好きならだいじょうぶ。

ほんとうにそうですよね^^

返信する
Unknown (ゆう)
2010-10-30 14:53:18
☆もんさんへ

はじめまして。
コメントありがとうございます。

本物、なんて^^
うれしいです。

わたしもちっちは今でもわたしのすぐそばにいて、
見守っていてくれてると感じます。
いつもそばにいてくれていると
感じます。

ちっちに出会えて本当によかったと思っています。
ありがとうございます。
返信する
Unknown (ゆう)
2010-10-30 15:01:29
☆茶々にゃんさんへ

茶々にゃんさん、いつもありがとうございます。
コメントうれしいです^^
わたしも海くんのことが書かれた記事、、、、
最後までしっかり読めるようになるには、
時間がかかったことを、思い出しました。
あまりに胸が痛んで、悲しくて読めなかったんです。
でも、全部ちゃんと読んだあとは、
とても勇気づけられ、逆に胸がしゃん、としたのを
覚えています。
それは、懸命に生きようとする海くんの姿と、
茶々にゃんさんの必死に看病する姿に励まされたのだと思っています。
全部読んでいただいて、感謝します。
ありがとうございました。

でも今は海くんもちっちも、
もうどこも痛くもつらくもなくて、
のびのび過ごしているんですよね。

そう考えると、とてもうれしい。
海くん、ちっち、
見てるかな~~~^^
(空に向かって手をふる、の巻)

返信する
ありがとうございます (くにこ)
2022-07-06 09:55:10
二日前、わが子(心臓奇形を持ってる猫)の注射部位肉腫の手術中にゆうさんのブログを見つけ、
すごくすごく救われました

このブログが2016年に突然ぷっつりと更新が止まっている状態なのがとても心配ですが
闘病記を残してくださったこと、
本当に感謝します

今後も参考にさせていただき精一杯の愛情をわが子にそそいで後悔の無い生き方をしようと思います

今日はちっちちゃんの命日ですね・・・
勝手ながらブログで紹介させていただきました

愛しかない。本当にその言葉につきます
本当にありがとうございます。
返信する

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。