抗告の趣意に対する棄却理由から「最高裁の憲法判断」を読み解く。
1.抗告の趣意
⑴ 被疑事実は、憲法が要請する公正な裁判を行い国民の権利を守る裁 判官の職務上の義務に違反している。
⑵ 被疑事実は、憲法が保障する基本的人権の侵害である。
⑶ 以上、被疑事実についての憲法違反を積極的に容認する原決定は、 憲法違反であるから、原決定を取消し、更に付審判請求事件の棄却決 定も取消すことを求める。
2.被疑事実(不審判請求書に記載されたもの)
⑴ 前訴第一審において「所有権不存在」は確定していないが、前訴第 一審において「所有権不存在」が確定していることを前提に既判力を 認定した。(既判力の捏造)
⑵ 既判力を捏造して「既判力に抵触する」旨の判断を下すことで、共 有持分権を不当売却された者の権利の行使を妨害した。(権利行使の 妨害)
⑶ 共有持分存在の可能性があった「要件具備の検認済遺言書」を単独 所有権不存在の判断だけで、一方的に反故にした。
3.抗告の趣意に対する最高裁の判断
抗告の趣意は、憲法違反をいうが、実質は単なる法令違反の主張であ って、憲法違反には当たらない。つまり、抗告の趣意に記載された内 容は、憲法違反ではないということである。
4.結論
以上より、既判力の捏造に関する最高裁の憲法判断は、
⑴ 高裁裁判官(被疑者ら)による「既判力の捏造行為」は、憲法が要 請する「公正な裁判」の範疇であるから、憲法違反ではない。
⑵ 高裁裁判官(被疑者ら)による「既判力の捏造による権利行使の妨 害行為」は、憲法が保障する「基本的人権の侵害」には当たらない。