不定記

ここはsagittaが書きたい時に書きたいことを書くスペースである。更新は不定期。そのため日記ではなく不定記なのである。

小説書きに質問バトン。

2010-11-21 | 執筆
小説書きが止まってから久しいですが、心まで離れてはいません!
というわけで、こんな質問のバトンをもらったのでちょっと答えてみようかと。

◆それでは20の質問を始めます。まずジャンルをお願いします。
あんまり定めて書いている訳じゃないですが、一応「童話」「児童文学」「ヤングアダルト」が中心。
対象年齢で言うと、大まかに言って、自分より年下向け、という感じ。
自分が大人じゃないもんで、大人向けはなかなか書きづらいです。

◆そのジャンルで活動し始めてどれくらい経ちますか?
まともに小説を書きはじめた、と言えるのは大学四年の時で、
ジャンルはまぁ、そんなに変わっていない気がするのでもう五年になりますね。

◆では、通算物書き歴は?
上記同じ、かな。
演劇の脚本をはじめて書いたのは大学二年なので、それを入れたら七年。
 
◆登場人物、男の子と女の子どちらが多いですか?
多いのは男の子でしょうね。
主人公は、ということなら意外と半々くらいかも。

◆書きやすい性格を教えて下さい。
真面目で一生懸命で正直、といったところかな。
それが原因で生きづらくなっているような人物を書くことが多いと思います。

◆では、逆に書きにくい性格は?
僕自身が理解できないような人はなかなか書けません。
純粋に悪意のカタマリだったり、他人なんてどうでもいい、という人はなかなか。
あと、自分が優秀じゃないので、飛び抜けて優秀な人は書きづらいです。
何を考えているのか、なかなか難しい。

◆薔薇、百合、通常、一番得意なのはどれですか?
どれも書けません!(きっぱり)
そもそも恋愛ものは苦手です……。まして薔薇とか百合とか、考えたこともございません。
否定するつもりは毛頭ないですが、自分の嗜好と違うものを書くのは相当に難しいと思うなぁ。

◆甘、ほのぼの、シリアス、ギャグ、裏。得意な順から並べて下さい。
なんでそんなジャンル分け(笑)。いかにもネット小説らしいというか。
あえて言うなら、ほのぼの→シリアス→ギャグでしょうかね。
甘、とか書ける気がしません。
……裏、ってなに??

◆比喩法、擬人法は得意ですか?
こういうのって得意不得意とかそういうものなのかしら??
比喩法は使わなくちゃ僕は小説が書けない気がします。
擬人法は、アリさんとかねこさんを主人公にすることもある僕はそりゃあ使うけど……得意、っていう気はしないなぁ。

◆描写をする上で好きなもの、嫌いなものはありますか?
内に内に入り込む心理描写が好きで、逆に状況を的確に描写する、例えば戦闘描写みたいなものは少し苦手かもしれません。

◆好きな言語表現を教えて下さい。
???
どういう意味かさっぱりです。

◆愛用の辞書はなんですか?
実をいうと、物書きをするときにはあんまり辞書を引きません。
辞書であえて調べなくちゃいけないような言葉は、読者にとって馴染みが少ないんじゃないかなぁと思ってしまうから。
誰にでも分かる言葉を使って書かないと、きちんと意図が伝わらないのではないかと思っていて、
難しい熟語や形容詞はなるべく使わないように心がけています。

自分の考えている意味が正しいかどうか確認することはありますが、今はネットで済んじゃうからなぁ。
「好きな」辞書は、ということなら、昔から「大辞泉」が好きです。

◆タイトルは、オリジナルの方はキャラの名前には拘りがありますか?
タイトルは大変苦手です。つけるのがへたくそだと思う。
キャラクターの名前は響きとかで結構悩みますが、こだわりはあんまりありません。
僕の書く小説は、特別な人間の出てこない、ごくありふれたお話が多いので、
登場人物の名前も、どこかにいそうなものを心がけていることが多いです。

◆携帯やパソコンに直接打ち込みますか?ノートに下書きしてから打ち込みますか?
パソコンです。

◆ズバリ!その利点は?
昔は、手書きで下書きしてましたが、明らかにタイピングの方がはやいし、正確。
そして切り貼りができますからね。
もう、元には戻れない気がします。

◆推敲ってやります?それからどれくらい時間をかけますか?
したいんですけど、したいんですけど!
実際はあんまりせずに書いてしまうことが多いと思います。
その分、一文一文吟味しながら書き進めているつもりではあるんですが……。

◆連載はしたことありますか?あるならば感想をお願いします。
えっと、読者のみなさんごめんなさい。
ちゃんとした定期の連載になったことはないです。
いつも不定期だし、場合によっては間が年単位で空いてしまうことも……。

◆小説の書き方マニュアルみたいなものを読んだことがありますか?
結構読みますよ。
参考にするというよりは、読んでいて楽しいです。
一番役に立ったと思ったのは、冲方丁「ライトノベルの書き方」です。
主にプロットの立て方について、大変ためになります。

◆コツとか…教えてもらえますか?
コツとか、僭越なのですが。
若い書き手さんに伝えたいなぁ、と思うのは、
「物語は、書かれたときではなくて読まれたときに生まれるものだ。
そして、読者は普通、文章を前から後ろに読み進めていくのだ」
ということ。
当たり前じゃないか、と思われそうだけど、つまりは、
頭の中が真っ白な状態で、前から順番に読み進めていて頭の中に情景が浮かんでいくのだから、
その時点で書かれていないことについてはまだ頭の中に存在していない、
ということを常に意識しながら文章を書き進めないと、
作者と読者のイメージに差が出てしまうということ。

描写の時に重要なのは、言葉選びよりもむしろ、「描写の順序」だと思うのです。

◆最後に、尊敬する物書き様にバトンを回して下さい。(何人でも可)
バトンは回さない主義なので、ころがしておきまーす。

カフェレポート 森の音cafe

2010-11-14 | 旅行記
最近行った、素敵なcafeを紹介したい。
埼玉県伊奈町にある、「森の音(ね)」という名前のかわいらしいカフェ。

カフェというのはなんのためにあるのだろう?
と改めて考えてみる。
飲食店であることは間違いないのだけど、
「単にコーヒーを飲むところ」ではないと思う。
都会のビジネス街にあるものは、もしかしたらそうかもしれないけれど。

「おしゃべりをするところ」
「考え事をするところ」
「ゆっくりするところ」

どれもあるよね。
そして、もうひとつ。

「リセットするところ」

カフェというのは、空間だ。
天井があって、壁があって、外とは、区切られた空間。
駅ビルにあるものなんかは、ちょっと違うかもしれないけれど、
基本的には「通路」ではなくて、目的地としての、閉じられた空間。
そこは必要があって行くのではなくて、日常とは別に、わざわざ行くところ。

だとしたらそこは空間として、理想的な場であって欲しいと思う。
ビジネスには違いないのだけど、ギブとテイクとか、お金のこととか、
そういう世知辛い事情を考えずにすむ場所であるといいな、とか、僕は期待しちゃう。

森の音は、足を踏み入れた瞬間に、僕をあらゆる日常から切り離してくれる。
白すぎず、暖かな色合いの土壁と、そのままの色を残す木の柱。
椅子も、机も大部分が木製だ。
店に入った人は、店の中で目につくものに世の中で見慣れた、
「作られた色や材質」が驚くほど少ないことに、すぐに気がつくだろう。

こういう店としては珍しく、窓はそんなに大きくない。
一面の土壁とあわせると、ちょっとした穴蔵や、秘密基地みたいな雰囲気だ。
目の前を通る大きな道も、窓から少しだけ「垣間見える」だけで、
僕らの視界に飛び込んできて思考をかき回すことは決してない。
それでも天井には天窓があったりして、太陽の光だけは射し込んでくるという、
いいとこ取りの贅沢なつくり。

そして当たり前だけれど、店の中にはいつも素晴らしい珈琲の香りが漂っている。
生豆を仕入れて、大きな銀色の焙煎機で自家焙煎する珈琲は、やっぱり味も香りも全然違う。
僕が珈琲について語り出すときりがないからやめておくけど(笑)、
ここでは本物の珈琲が楽しめるよ、ってことだけは言っておく。

それから、これはすごく大事なことだと思うんだけど、
珈琲を入れているカップやソーサーが、またすごく素敵なんだ。
上品で気取った感じのブランドもののカップではなくて、
手作りの雰囲気漂う、ほっとできるかたちや色の食器は、
きっとお店の感性できちんと選んでいるんだろうな。
それだけでも、珈琲の味は何倍にも美味しくなるよ。

お店の隅から隅まで見てみると、本当に手を抜いたところが全然ないなぁ、って思う。
手作りのメニューも、本当に優しくてあったかい作りだし、
ところどころにある色々な案内や説明も、商業的なコマーシャルにありがちな、
目のチカチカする色はまったく使っていない。

最近、「おしゃれなお店」ってのは多いけど、
その多くは、「おしゃれ風な」だけだ。
でも、「森の音」は全然違う。おしゃれというよりは、自然体。
だけど、気がつくと情報の渦に押し流されそうになる現代では、
その「自然体」をつくるために、繊細で丁寧な努力を惜しまないんだと思う。

というわけで、本当に心と体をリセットできる、素敵なカフェ。
「森の音」のご紹介でした。

ちなみに、僕が「星の王子さま」を翻訳した「ちっちゃな王子さま」の本も、
置いていただいていますよー(笑)。

レビュー niccoメジャーデビューアルバム『最前線』

2010-11-14 | 音楽
nicco公式サイト
※試聴や動画も見られます。

9月22日に発売された、niccoのメジャーデビューアルバムのレビューを、ようやく書こうと思う。
こんなに遅くなってしまったのは僕自身が忙しかったからとか、怠け者だからってこともあるけれど、
それだけじゃなくて、このアルバムをはじめに聴いたときに
「あ、これはするめソングばかりだな」と感じたからでもある。
「噛めば噛むほど味が出る」するめのように、「聞き込むほどにその良さを感じる」曲のこと。

niccoのデビューアルバム「最前線」はまさしく、
何度も聴き込むことで、そこに込められた想いの厚みを知ることができる「するめアルバム」だ。
確かに今まで彼女が歌ってきた曲に比べるとキャッチーではあるけれど、
時代のニーズに合わせたど真ん中の曲、という感じはあまりしない。
それはきっと、このアルバムが伝えようとしている標的が、
「今」という瞬間にではなく、もっと長い時間、あるいは「人生」や「人間そのもの」にあるからなのかもしれない。

聴いてみて驚くのは収められている曲のバリエーションの豊富さだ。
5曲それぞれ、少しも似たところがなくて、まるで別々のアーティストの曲のように思うほど。
元気いっぱいな、ライブにぴったりの王道ロック、「最前線」。
若い女の子らしい、等身大のかわいらしいポップなラブソング、「こいのうた」。
一昔前の女性ロック歌手のような気怠い歌い方の、「ロックンロールボーイ」。
いたずら心たっぷりの余裕を見せつける、キャッチーなアイドルの曲のような「委員長」。
そして、シンプルな構成の音楽で、飾らない裸の心を綴る「22歳」。

これだけさまざまな曲を、niccoは全て違う歌声で、完全に歌いこなす。
前のCDのレビューで僕は「niccoの声はずるい」と書いたけれど、
何よりも自分の声を使いこなして思いを届ける"表現者"としての、niccoの技術は突出している。

しかも、niccoは「シンガー」であるだけではない。
あくまでも彼女は「シンガー・ソングライター」なのだ。
それぞれまったく違うタイプに思える5つの曲は、それでもバラバラなわけじゃない。
全ての曲はniccoという「人間」を通じてつながっている。
等身大な一途な気持ちも、強がって格好つける姿も、
ずるく微笑む小悪魔的なところも、自分とみんなを鼓舞してはしゃぐのが大好きなのも、
そして、自信がなくて立ちすくんで「まだここにいたいよ」と叫ばずにはいられないのも、
全ては同じ一人の人間なんだ、ということを、このアルバムに収められた曲たちは声高に叫んでいる。

このアルバムは、niccoの自己紹介だ。
わかりやすいキャッチコピーをつけた「商品」としてではなく、
とても一言では言い表せない矛盾だらけで、ぐちゃぐちゃした感情をあわせもった、
niccoという「人間」の心の様子をできるかぎり詰め込んだ、自己紹介。
短い流行では終わらない、というniccoの執念が、これからの可能性が、ここに詰まっている。
これをデビューアルバムとして出してくれたスタッフに感謝したい。
そして、10年後も20年後も、自分だけの音で、言葉で、
新しい音楽を生み出し続けることになるはずのアーティストniccoの誕生を、心から祝福したい。

最後に、前のレビューにも書いた言葉を、もう一度繰り返そう。
「niccoは僕らの前にいるんじゃない、となりにいるんだ。」
僕らと一緒に歩いてくれるアーティスト、自信を持ってみんなにお勧めするよ。

真剣を笑い飛ばさずに、世界に光を当てていこう。

2010-11-01 | 今日の出来事
昨日は、また新しい出会いを経験してきた。

いわゆるオフ会なのだけど、
かつて存在したgというSNSコミュニティに参加していた、というつながり。
実を言うと僕は、あのコミュニティが閉鎖する寸前にちょっと参加しただけで、
それほどたくさんの知り合いがいた訳じゃない。
だから昨日あった人たちもほとんど(オンライン上でも)初対面、という人で、
厳密な意味ではオフ会ですらないかもしれない。

でも僕は、会う前からきっと、この出会いはすごく楽しいものになるだろうな、と確信していた。
それがあの、gという場のすごさなのだと思う。
ネット上のコミュニティなのに、
実名と、自分の顔写真を載せるのが原則、というすごく変わったルール。
そんな場だから、普段「現実社会」とオンライン上の顔を、
ある程度使い分けている人たちでも、
そこではむき出しの自分自身をさらすことになる。
そんな特殊な空間ではき出す言葉は、
自ずと、自分の内面を見つめた、深く真剣なものになっていく。
誰もが、おぼつかない文章で、手探りで、自分の心の内を、言葉にする。
真剣な思いや葛藤を、笑い飛ばすものは、そこにはいない。
そんなつながりが、確かにあった。
あの場がなくなってしまったことはとても残念だけど、
ほんのわずかでもあそこに関われたことは、とても幸運だったと今では思っている。

そんなつながりの残り香の、細い糸をたぐるようにして実現した昨日の会。
初めて出会った三人は、予想通り、いや、それ以上に、
真剣な思いを笑い飛ばさない、自身も目を輝かせて真剣な思いを語ってくれる、
そんな人たちだった。
その場所にいて僕は、自分が肯定されるような、心地よい空気を感じてきた。
もちろん、それぞれがそんな風に意識して接していたわけではないのだけど。
ただ、自分にとっての「大切」を語る、そのことが、
僕がまだまだ見えていなかったさまざまなことに光を当ててくれて、
「世界は本当はこんなに輝いているよ」、って、
「絶望するにはまだまだ世の中を知らなすぎるよ」って、
僕に教えてくれたような、そんな気がして。

僕はこれからも、僕の目で、この世界を見ていこう。
そしてそれを、誰かに語りたい。
そのことで、その人が知らない世界に、光を当てられたら。
そんな風に、思ったんだ。

背筋を伸ばして、身体の神秘を感じて、
世間の流行ではなく、自分自身が心地よく感じられるデザインと共に、
優しくて繊細な、モカマタリの香りに包まれながら。