おすすめ度:☆☆★★★(2/5)
その筋では超有名な、
日日日(あきら)氏の作品。
高校生にしてデビュー時に5つの賞を同時受賞した、とんでもない作家だ。
そんな彼がいったいどんな作品を書くのか、非常に楽しみにしていたのだが……。
意外と普通だった。
ちょっと変わった考え方を持つ若い女の子の主人公の一人称で進む話。
砕けた口調やうがった世界の見方が特徴と言えば特徴だが、最近ではめずらしくもない。
とは言っても、独特の視点でごく普通の日常を切り取って、ああでもないこうでもないと思案を重ねていくような作品は、読むのも書くのも好きなのでなかなか楽しく読みすすめていたのだが。
どうも、後半の強引な展開についていけなかった。
ありふれた日常をつづる話かと思ったら、突然の急展開。
しかもそのストーリーはどちらかと言えば陳腐な感じで、リアルさに欠ける。
何よりも問題なのは、主人公と準主役以外の登場人物たちが、人間に見えないことだ。
どのキャラも極度にデフォルメされていて、ストーリー展開のためのコマ、という感じがしてしまう。
どう考えても主人公たち以外には感情移入しようがないから、主人公のたどり着いた論理に思わず賛成してしまいそうになるのだが、どうも騙されているような気がしてならない。
個人的には、前半の雰囲気のまま最後まで日常を書ききってほしかった。
でもそれで長編にするとしつこすぎるので、すっきりと短編にしてしまった方がよかったように、僕には思われた。
もちろん、個人的な趣味にすぎないが。
まぁ、そうは言っても、文体や視点の切り取り方、文章のスピードなどはなかなか好みだったので、他の作品も読んでみようと思った。
もしかしたら、非常に僕好みの作品を見つけられるかもしれない、と期待している。