「傾国のラヴァーズ」

ボディーガードの翔真は訳有の美青年社長・聖名(せな)の警護をすることに…(閲覧者様の性別不問) 更新情報はX🐦にて

◆小説「傾国のラヴァーズ」その56・聖名の体温、聖名の匂い

2023-06-01 21:47:00 | 傾国のラヴァーズその51~60
 さらにはこの人が 世襲議員ということがわかって、ますます がっかりしてしまった。
 
 それもよく読むと 三代目だという。

 初代である彼の祖父は自憲党を与党にするために先頭に立ったが、
実現直前で病に倒れた。
 そうでなければ 初代総裁、総理大臣になれたはずという。
 
 そして2代目である父は政局の混乱のため 2度目の総裁選を辞退するはめになり…

 それでこの伸一郎という人が、今度こそと周囲の期待を背負っているらしい。

 まあ俺の目には、庶民の暮らしも苦労も知らない坊ちゃん育ちのエリート おじさん。そんな風に見えた。

 金絡みより女性絡みのスキャンダルに引っかかりそうな脇の甘さがどうしてか感じられた。
 …まあこんな時代に生きている若者としては、政治家にはいい仕事をしてもらわなければ困るのだ。

 …聖名のお祖父さんのように。


 …隣で 聖名がもぞもぞ と動く。

「センパイ、 肩貸してもらっていい? 寂しいけどやっぱりベッドで寝る」


 俺は言われるがままに聖名に肩を貸して、ベッドまで連れて行った。

 聖名の体温。
 聖名の匂い。
 
 それを感じた時…その時俺の中で、何かが変わった。


 でもそれは自分でも認められない。目をそらすしかない。

でも、この聖名の案件が終わったら、転職はしようかと思い始めていた…




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