「傾国のラヴァーズ」

ボディーガードの翔真は訳有の美青年社長・聖名(せな)の警護をすることに…(閲覧者様の性別不問) 更新情報はX🐦にて

小説「傾国のラヴァーズ」その28・シャワーは済ませた?

2023-04-05 22:02:00 | 傾国のラヴァーズその21~30
 そして彼は、
「ごめんね、それじゃおやすみなさい」
と、自室に引き上げていった。
 風邪薬とか…と、俺はその背中に問いかけたが、彼は振り向かず、大丈夫だから、とドアを閉めた。

 俺は何だか悪いなと思いながらも、シャワーを使わせてもらうのも仕事のうち、と割り切ってバスルームに向かった。

 髪も乾かし終わり、リビングまでやってくると、部屋着姿の彼がぼーっとソファに座っていた。
「大家さん、どうしました?」
すると彼は思わず苦笑しながら、
「い、いや、センパイにおやすみなさいをきちんと言いたかったから待ってた」
 センパイか、今度は俺が笑ってしまった。彼も笑顔になって、
「じゃぁおやすみなさい」
「おやすみなさい。温かくして寝てください」


 次の朝は…いつもより1時間早く目が覚めて、鳴る前のスマホのアラームを解除することができた。
 この広いベッドでの寝心地は最高で、今日が休日だったら、どれだけよかっただろうと思ったくらいだった…が、

 カチャカチャという音が聞こえてきた。

 朝食の準備か…

 せっかく大家さんより早く起きて手伝いをしようと思ったのにこれでは何にもならない。
 俺はあわてて、部屋着のままで部屋をとび出した。
「おはようございます」
「あ、センパイ、おはようございます…」
 目をあげずに、アボカドを切っていた彼は挨拶を返してくれた。
「大家さん、何から手伝いましょうか? っていうか、ここは俺がやりますから、シャワーあびてきてくださいよ」
「いや、シャワーはゆうべ浴びちゃった。大丈夫そうになったから」
「…あ…それはよかった…」





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