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還暦おやじの洋楽日記

「レココレ」女性アイドル特集(2014年9月号・11月号)

レココレ=レコードコレクターズってのは、ずっと硬派の音楽雑誌のイメージがあったから、2014年9月号で70年代の女性アイドルソングのベスト100なんて特集したのは、ちょっとたまげた。

でもそれは決して否定的な意味ではない。70年代、邦楽を聴いていた奴がどれだけ洋楽を聴いていたかは非常に怪しいが、逆に洋楽を聴いていた奴は絶対に邦楽も併せて聴いていたに違いないのだ。だって当時は洋楽聴いている奴は変わり者のマイノリティ。クラスの皆が郷ひろみや西条秀樹、天地真理や桜田淳子にキャーキャー言っていた頃、洋楽好きはラジオ番組に齧りついて邦楽の海を掻き分け洋楽を探していたので、邦楽でどんな曲が流行っているのかは当たり前に判っていたし、その頃台頭してきたアイドルの楽曲だって当然把握していた。あまつさえ思春期の頃、洋楽好きは普通の人以上にアイドルにも精通していたのである。だから、ちょっとおすましさんのレココレがこういう特集を組んだことは素直に評価する。あくまでも箸休めなので、本気でこの路線に変更されると困るという但し書き付きで。

前述の9月号は、レココレ常連の評論家達が現在の視点で選んだ70年代女性アイドルの楽曲ベスト100という内容で、ベスト10は以下の通り。
1.木綿のハンカチーフ/太田裕美
2.17才/南沙織
3.わたしの彼は左きき/麻丘めぐみ
4.年下の男の子/キャンディーズ
5.真夏の出来事/平山三紀
6.赤い風船/浅田美代子
7.初恋のメロディー/小林麻美
8.横浜いれぶん/木之内みどり
9.微笑がえし/キャンディーズ
10.ひと夏の経験/山口百恵

うーん、そうなのかなあ。勿論、売れた曲とか有名な曲を選んでいる訳ではないので偏りはあるけれど「木綿のハンカチーフ」が70年代を代表するアイドルソングとはとても思えないよなあ。南沙織が何と2位に入っている。俺にとって初めてときめいた女性アイドルだったけど当時は恥ずかしくて公言できなかったが、なーんだ、みんな南沙織が好きだったんじゃないの。その他の曲はベスト10に相応しそうなものは半分ぐらいかなあ。

先日出た11月号はその続編で、80年代女性アイドルの楽曲ベスト100。俺が思うに、アイドルの全盛期は80年代の前半。70年代のような「顔は可愛いけど歌唱力に難あり」は淘汰されて歌唱力は向上しているし、ニューミュージック界とクロスオーバーして斬新な楽曲も次々と出てきた。「ザ・ベストテン」なんて番組がその隆盛を牽引していたが、やがて80年代半ばにおニャン子クラブあたりが出てきた頃から、スタイルというかアイドルの定義が変わってしまった感がある。
ベスト10は以下の通り。
1.時をかける少女/原田知世
2.夏色のナンシー/早見優
3.スローモーション/中森明菜
4.風立ちぬ/松田聖子
5.セーラー服と機関銃/薬師丸ひろ子
6.なんてったってアイドル/小泉今日子
7.卒業/斉藤由貴
8.風の谷のナウシカ/安田成美
9.センチメンタル・ジャーニー/松本伊代
10.TVの国からキラキラ/松本伊代

いや、これは違うだろ。選者の好みが偏りすぎで全然ピンと来ない。原田知世がエバーグリーンな80年代アイドルとは思えないし、曲だってそう。レココレははっぴぃえんど大好きなので11位以下も大瀧詠一や細野晴臣作品が目白押しだが、それも違和感があるな。上に書いた通り、80年代はアイドルポップ百花繚乱の時代で良い曲はいっぱいあったのに、どれもこれも選外になっているのは、そもそも選考基準に問題があるのかな。

結果はちょっと残念だったけど企画としては面白かった。まあ、レココレは洋楽で勝負の雑誌だから、そちらで頑張って貰えば良いけれど、選者の好みが硬直化しているように思えるのが気になるな。だって、この人達がいつも誌面を彩る人達だもの。

(かみ)
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