the Saber Panther (サーベル・パンサー)

トラディショナル&オリジナルの絵画芸術、化石哺乳類復元画、英語等について気ままに書いている、手書き絵師&リサーチブログ

パレオ・ジャガー

2011年05月20日 | ネコ科猛獣の話

The Paleo jaguar transforming phase into notoriousPanthera atrox

Paleo jaguar

Wt.
190 kg

パレオ / ヨーロッパジャガー Panthera gombaszoegensis / Panthera toscana


:History: 
                                                

パレオジャガー、ないしヨーロッパジャガーという呼称がある本種は、ヨーロッパに出現した最古
のヒョウ属種として知られている。イタリア、オリヴォーラのヴィラフランカ期地層(約
160万年前)か
ら見つかった化石骨格を皮切りに、西ヨーロッパの各地から骨格が出ており、中期・更新世まで存
続していたことが分かっている。当初の文献には、
Panthera toscana というシノニムも散見される
よう


:Morphology and Habits:

本種は、大型で非常にロバストな体形のヒョウ属種であったと考えられる。氷期の北米ジャガー
Panthera onca augusta)と似通ったサイズであり(Turner, 1997
)、すなわち現生のパンタナルジャ
ガーよりもずっと大型であった。極めて類似性の強い骨格が東アフリカ
やインド前期・更新
世の地層からも出土しているのだが、
その形態はライオン的ともトラ的とも
表現され、歯型や歯列
にはいずれとも異なる細かい特徴がみられるという
(Kurten, 1968)

Panthera gombaszoegensis 生態には不明瞭な点も多いが、ジャガーの場合ほど密な森林生態
に適合していたわけでは
ないようである(O' Regan & Turner & Willkinson, 2002)

:Phylogeny:

形態学的
分析法を用いた近年の分岐分類研究
(Christiansen & Harris, 2009)において、Panthera
atrox
(アメリカライオン)が、いずれのヒョウ属種からも独立に分類し直されたことは知られるところ
である。同研究では、北米に進出したパレオジャガー
の系統から直接的にP. atroxP.onca とが
分岐した説が
提示されているのだが、パレオジャガーと現生ジャガーの類縁性は古くから
縷々主張
されてきた
一方アメリカライオンとジャガーの関連性については、遺伝子分析を手段とした一部
の分類研究の結果とは
相容れないともされる。

いずれにせよP. gombaszoegensis いわば、ジャガーとライオン双方の特徴を併せ持ったごとくの
外観であったらしいことは推察できるし、上の復元図ではその考えを採用したものである

 

~サーベル・パンサー


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2 Comments

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Unknown (Unknown)
2011-11-04 01:14:22
何かレオポンを彷彿とさせますね。本種とジャガーが近縁という事は、ジャガーは現生のヒョウ属の中ではユキヒョウに次いで古い時代に生まれた存在、って事になるんですかね?
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Unknown (サーベルパンサー)
2011-11-05 16:52:23
ありがとうございます。ジャグリオンの雄をメインイ
メージとして-と言っても成獣は見たことはないので
すが-描出してみました。
本種からジャガーが派生していったという説が有力視
されているようですが、ジャガーの種としての歴史自
体はユキヒョウより大分浅いのだろうと思います。
ユキヒョウへとつながる系統はかなり古くから分岐し
独自の道を歩んだようなので、「ユニークさ」はヒョ
ウ属種の中でぴか一でしょうね。
返信する

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