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水曜どうでしょう 「迷走中」…最大の見所はエンディング?

『彰義隊』 吉村昭

2009-08-08 00:47:20 | 読書
シウは歴史好きだけど
幕末から以降は弱い。
(ま、他の時代にすごく詳しいってわけではないけどね。)
考えてみると昔学校での日本史の授業なんかでも
このあたりからはけっこう駆け足な気がする。

というわけで
幕末のころを扱った小説は
『燃えよ剣』(これはもう、大大大好きな本だけど)
位しか思いつかないシウ。

彰義隊って聞いた時も
白虎隊といまいち区別がつかない程度の
アホな知識だった。

で、読んでみたのがこれ。

吉村昭さんという作家は何年か前にお亡くなりになっているよう。
読むのは今回が初めて。
日暮里の生まれで開成を出ているとのこと。

==========

上野寛永寺の最後の輪王寺宮、
能久親王の波乱万丈の生涯を描く。
(のちに北白川宮)

上野を戦争の地にしたくない一心で取り続けた行動のせいで
22歳の親王は上野戦争に巻き込まれ、
仙台藩に落ちのび、
そこで奥羽列藩同盟の盟主にかつぎあげられる。

皇族(明治天皇の叔父)の生まれなのに
はからずも朝敵になってしまうの。

会津の戦争のあとは
政府に自首し、
しばらく謹慎したのち、
ドイツに留学。
最終的には
日清戦争で活躍し、台湾でマラリアで死んでしまう。

日本武尊と尊敬されている人とのこと。

作者は調査に調査を重ね、
(それがこの作家の特徴らしい)
宮が上野界隈の人々に大変尊敬され、愛されていたことをつきとめ、
それを存分に描いている。

彰義隊敗走後、
命からがら上野から仙台に落ちていく過程が
本当に哀れ。
それでも民や家臣への愛情を示し、
宮が上野戦争に巻き込まれるきっかけを作ってしまった
覚王院という執刀役の僧をも許す。

前半の優雅な様子と対比する哀れな逃避行と、
後半、一気に海外にまで出て活躍しようとするのが
本当に同じ人物なのかと思うほど。
2人の人を描いたような物語。
調べてみると
宮はドイツでも婚約までしたドイツ人女性と知り合っていたようだ。
当時だから許されなかったみたいだけど。

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上野界隈のものすごくなじみ深い地名がたくさん出てきて
シウはそれでもとても楽しめた。
根津でピアノを習っていたし
西日暮里の塾に通っていたし。
千駄木や町屋にも友達がいたし
箕輪(今は三ノ輪)とか南千住、千住大橋とか。
子どものころから慣れ親しんだ地名ばかり。

特に
千住大橋のところにある円通寺!

小さなころからしょっちゅうその前を車で通っていて
大きな観音様(?)みたいのがそびえている
ちょっとビックリスポットだったんだけど
そこが彰義隊の人々が祀られている場所だったなんて!!
(そもそも、円通寺っていう名前だってこともこの本で知った。)
上野戦争の象徴、寛永寺の黒門もそこに移築されているとか。

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ところで
輪王寺宮はドイツに留学したことで
ドイツ協会の学校を設立するのに尽力したとか。
現在の独協大学や独協中学、独協高校。
実はそこもシウには少し縁がある。

いろいろな発見の多い本だったよ。

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