S多面体

集会報告、読書記録、観劇記録などの「ときどき日記」のショート版

コロナ禍の銭湯巡り・十思湯

2021年06月01日 | 銭湯・居酒屋

東京では、新型コロナウィルス対策の緊急事態宣言が長引いている。免疫力を強化するため週3回の運動を続けているが、ジムもプールも閉鎖されていて(6月1日から再開)、仕方なく川沿いのジョギングを続けている。ジョギング後はたいてい銭湯に立ち寄り汗を流す。本当は銭湯上がりに立飲み居酒屋に立ち寄りたいところだが、そちらも閉鎖中だ。
同じ店ばかりではあきるので、今回久々に区内全銭湯巡りをした。2巡目だ。といっても小さい区なのと、土地代が高いのでたった8店しか営業していない。この5年くらいで残念なことに2店廃業した。
8店でも、なかには昔ながらの熱くて浴槽が深い銭湯、青山の清水湯の小型のような現代的な風呂もある。銭湯絵(タイルも含む)も絵柄は富士山とは限らず、永代橋や日本橋、銀座4丁目と多彩だ。
そのなかで、今回は小伝馬町駅西側にある十思湯を紹介する。前に来たのは3年くらい前のような気がしたが、調べてみると1年半ほど前のことだった。持続するコロナの異常事態で時間感覚までおかしくなったようだ(そのときにも記事を書いていた)。
この場所は1990年まで区立十思小学校があった場所だ。1878(明治11)年開校なので創立112年の歴史と伝統を誇りながら廃校したことになる。校舎を再利用し保育園、デイルーム、訪問看護ステーション、おとしより相談センターなどが入居する十思スクエアがあり、新築の別館2階に、銭湯と小ホール、3階から上には特別養護老人ホームなどがある。

それで、2階銭湯入口の右手にトイレ、左手にエレベータというちょっと変わったつくりになっている。またロッカー36と普通のサイズなのだが、カランが12しかない。手すり付きの浴槽への通路が確保されていたり、カランも完全セパレートで隣の人とのあいだに黒い石貼りの仕切りがあるからだ。それもレストランのアクリル板仕切りのようなものでなく、高さ90㎝、厚さ3㎝もあり、黒の御影石に似せた黒のパネル貼りのしっかりしたものだ。めいめいにシャンプーとボディソープのボトルが置かれ温泉風だ。
浴槽は熱い風呂、ジャグジー付きのふつうの風呂、水風呂の3つだが定員12にしてはずいぶんゆったり大き目だ。照明も大きな球の黄色の光で落ち着いている。全体的にぜいたくな作りだ。

コロナ禍なので、銭湯にもこんなポスターが
わたくしが行ったときは、ずいぶん混んでいて、帰りに受付の方に伺うと、たまたまこの日は近隣の銭湯2軒が休日とのことで、特異日だったようだ。なおこういう公共の場所にあるので、公設民営かと思ったら、やっている方は家族で浅草橋から通いで来られているそうだ。おそらく近隣に銭湯がないため、地域からの要望で2014年7月こういう銭湯が生まれたのだろう。

この光景も、銭湯というより学校に近い気がする
なおこの場所は、江戸時代は伝馬町牢屋敷、案内板によると江戸初期の慶長年間に設置され、1875(明治8)年に市ヶ谷に移るまで270年間存続し、入牢者は数十万人とある。広さも小学校跡地と公園だけでなく、通りを隔てた大安楽寺、身延別院の土地も含め2618坪(約8600平方メートル)もあり、旗本用の揚座敷、士分僧侶用の揚屋、平民用の大牢、百姓用の百姓牢、婦人のみの女牢の牢舎があった。身分別だったわけだ。死刑は代々山田浅右ヱ門家と同心たち、刑場の場所は大安楽寺(真言宗 1875年創建)で供養のための延命地蔵が祀られている。
その他、公園には江戸で一番古い時の鐘(江戸時代は日本橋本石町にあったが1930年にこの場所に移設)や吉田松陰辞世の碑、顕彰碑などもある。「十思」という珍しい名は、北宋の歴史書「資治通鑑」(1084)の天子がわきまえるべき十か条の戒め「十思の疎」からきているそうだ。歴史的に興味深い地である。

隣は花屋の金春湯
☆5月26日から東京銭湯フェスティバル2020が始まった。5月26日というのは「ゴー、ふろ」の語呂合わせとのこと。東京の4つの銭湯で、ヤマザキマリさんの古代バラネイオン、大塚いちおさんの「みいつけた!」などのアートプロジェクトを展示している。わたくしは銀座8丁目の金春湯でグラフィックデザイナー大原大次郎さんと映像デザイナー井口皓太さんのプロジェクションマッピング「湯覧線」をみた。
金春湯は、中央通りから1筋西・その名も金春通りの銀座8丁目、銀座金春ビルにある。同じビル内の隣は花屋さん、通りの向かいは伊勢由という呉服屋さんだ。
女湯は富士(上のほうだけ見えるようになっている)だが、男湯は峰がちょっと違うので、アルプスとスイスの湖(たとえばレマン湖)かと思った。あとで聞いてみるとエベレストとのこと。たしかにイムジャ湖ゴーキョ湖などがあるようだ。かつて赤富士が描かれていたが、最近書き換えたそうだ。
プロジェクションマッピングは日光や風、雲、さざ波、空気などが動いているような不思議な作品だった。3分間のルーティンの作品で常時流れている。ただし撮影は場所柄できず、1日だけ特別な日にできるようだ。
機会があれば、他の3つの銭湯にも行ってみたい。2020東京オリ・パラ用のイベントのようだが、本家のオリパラの行方は怪しい。しかしこのイベントは9月まで続けるようだ。

☆アンダーラインの語句にはリンクを貼ってあります。
  2022.7.8多面体Fに転載ずみ



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