新庄で途中下車して、それから古口(フルクチ)へ。駅を出て国道で右折。メンバーの下車確認もせず、私は最上川めがけて国道を一目散。数百メートルあろうか、やっと橋までたどり着いた。
すると前方から大型観光バスが重戦車のごとく、次々と姿を現した。古口駅に電車が着いたのは10:35分、舟の出る時間は10:50分。バスの運転手は乗船時間をちゃんと知ってるのだ。バスは3台、次々に乗客が降り始めた。わあ、大変だ、この渦に巻き込まれたら、帰りの電車に乗れなくなるよー。
何とか添乗員?たちより早く切符売り場の前に立った。「何名ですか?」---「10名」---「予約は?」。 えっ、そんなのしてないよ。してないと駄目なの?「電車で来たので」私は咄嗟に訴えた。「今の電車で?」と相手。ここでJRの威光が発揮されようとは---「じゃあ仕方ない、10名だね?」そういうと、彼は携帯電話でどこかに連絡した。どうやら川面にいる船頭に連絡しているらしい。「10名だね?」再び念を押されると、後ろに沢山人が並んでいるというのに、我々だけ特別に呼ばれた。
行くと舟には先客が座っていたが、我々の分だけスペースがあった。無事に乗り込むことができたが、考えると冷や汗ものだったのだ。私が駅から普通に歩いていたら、どうなったか分らない。
いよいよ、スタート。船頭に全権委譲。注文など、いっさいつけてはいけない。水量はあるほうだろう。天気は薄曇。紅葉は始まりかけた、というところ。(今ごろは見頃かも。) 「五月雨を集めて速し最上川」とは昔のこと。目前の川は激流も無く、ゆったりとして、やや物足りない。中国的かな。天竜下りのように、たまには「しぶきーが、かかーる」になってもらいたい。
[best season にはこうなるようです。以下のHPより転載]
やまがた観光情報センター【設置:山形県 運営:(社)山形県観光物産協会】
途中、川岸の草むらの家を指差して船頭は言う。「あそこには80を越えたおじいさんが一人で暮らしている。ほら、あそこに舟があるね、今日は家にいるよ。」週に一回くらい出かけるとのこと。つまり、この最上川流域でも年寄りと過疎問題があるらしい。船頭もこの地元だが、働いているのは自分一人だとのこと。
船頭が「おしん」の話をして、その歌をうたって、舟旅はそろそろ終わりに近づいた。
「それでは、最上川舟歌を」---「よしっ」と思わず私、大声。これですよ。「秋の川面に最上川舟歌が流れた」というタイトルさえ考えていたのだから。生で聴くためにわざわざ来たようなものだ。
乁ヨーイサノマカショ エーンヤコラマーカセー
エーエンヤエーエンヤエーエ エーエンヤエート
ヨーイサノマカショ エーンヤコラマカセー
酒田さ行(え)ぐさげ 達者(まめ)でろチャ ヨイトコラサノエー
流行風邪(はやりかぜ)など 引がねよに
エーエンヤエーエンヤエーエ エーエンヤエートヨーイサノマカショ
エーンヤコラマカセー
「いいぞ、いいぞ」とは口に出せない。まあ、えがったです。
※挿入;最上川舟唄→
ところが、その後、英語バージョンだと言う。----いやだ、いやだ、聴きたくない。私は日本人ですぞ。最上川の船上で、正調(つまり、なまり入りの)最上川舟歌を聴く為に、はるばるここへ来たのでござんす。外人だって正調舟歌を聴きたいに決まってる。私が、カントリーの本場、例えばナッシュビルに行ったとしよう。そちらなまりの、本場のカントリーソングを聴きたいです。日本語なんかに直さないでチョ。
アイム ゴーイン トウ サカータ
----ああ、始まっちゃった。 ----ここまではいいでしょう。許す。そのあとがいけない。私は子供の頃から鼓膜に穴が開いてて難聴です。その上年寄りです。だから、よく聴き取れない。
何やら、アイ ウオンチュー とか、ゲッチュー ---と言ったの?私の聞き違い?ウオンチューの後には、トゥ ビン グッ ヘルス とくるものと思ってたのに、なにやら ゲッチュウらしきものがきたので、私のリスニングはぶっち切れ。パニック状態なので、その後はフォローできなかった。何やら、ウエルカムだの、バックスーンだのと私の意識のかなたで、ほざいていたようだが---。
始まりはいいだろう、でもその後が(多分、私の聞き違いだろう)いけない。「掘った芋、いじるな!」昭和初期に流行した「トゥデイズ、アドバルーンズ、インザスカイ----ユーアー、ベリー、ビジーナウ」と同類と見た。それならいいですよ。イットイズ、ナーチュラル ですから。---
それにしても、これが噂の Mogami River Boat Song の lyric なんだ。世界三大舟歌の一つだと言う。先ず思い浮かぶのはヴォルガの舟歌。あと一つは何だろう?Banana Boat Song ? (ハリー・ベラフォンテのなら、目の前のハードディスクに入ってるよ)
船頭いい気になって、さらにコリアン バージョンをやりそうになった。---飛び込みたいね、あっしは泳ぎが得意なんで(鼓膜の穴はこれが原因)---。
最初にご馳走、最後にまずいものを食べさせられた気分。