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世界の中心で吉熊が叫ぶ2

身長15センチの吉熊くんと生きる独身OLの暮らし

ブラボー! べらぼう!

2025年07月15日 | 日記
晴れたかと思いきや、突然の雨が降り出し、まるで熱帯雨林のような気まぐれな陽気だった。
湿気を帯びた強風にあおられながら、白杖を手に慎重に出勤する。
今日は夏のボーナス支給日。
毎年この日は、ちょっと気合を入れて正装する。今はなきレッセパッセのワンピース、裾の縁に施された刺繍が愛らしい一着に、嶽本野ばら先生から購入したどんぐりブレスレットを合わせるのである。


ボーナスの額は微増。社長に感謝である。

ほんの少し、懐が温かくなるこの日は、気分も軽くなる。
夕食は、奮発して「ねぎし」へ。
エレベーターに乗る際、後から入ってきたお姉さんがねぎしの店員さんだと知った。
「これからバイトなんです」と言う彼女に、つい「私、今日、夏のボーナスが出たの。だからちょっと贅沢しにねぎしに来たの」と話したら、彼女の顔がパッと明るくなった。
なんだか、その笑顔にこちらまで嬉しくなる。
注文したのはわんぱくセット。
「お疲れさま、自分」


硬い牛タンも柔らかい牛タンも、どちらも甲乙つけがたい。


とろろをかけた麦ご飯がまた、箸を進ませる。おかわりまでしてしまった。

テールのスープも上品な風味がして好き。


会計のとき、さっきのお姉さんがさりげなくアテンドしてくれて、ほのかな気遣いが心地よかった。
ねぎしは、なかなか高級なお店ゆえに普段はそう頻繁に来られないけれど、ボーナス月でなくても、頑張ってまた訪れたいと思う。


駅前の喫煙所で一服。白杖を片手に斜めに構え、ぷはっと豪快に煙を吐き出すと、ふと「私、まるで侍みたい?」と自分で笑ってしまった。刀を手に身を守る侍のごとく、この白杖は私の防御の要だ。
弱視の私にとって、人の流れや段差から身を守ってくれる頼もしい愛棒。

今日は雨で、白杖を使うのは一苦労だった。傘を乾かすついでに、白杖もタオルで丁寧に拭いてあげた。「お疲れ、今日もありがとう」と心の中で呟く。



入浴中、角田光代先生の「方舟を燃やす」を読み始めた。林真理子先生がYouTubeで紹介していた一冊だ。序盤から、ページをめくる手が止まらない。物語の濃密な空気に引き込まれ、湯船の中で時間が過ぎるのも忘れる。


家族のLINEには、美容師の弟が父クマパパの髪を切っている写真が、母ヨーコたんによってアップされていた。弟の親孝行ぶりに、グッと来た。偉いぞ、弟。


天気は気まぐれだったけれど、美味しい牛タンを食べ、面白い本に出会い、平穏無事に過ごせたのだから、まあ、悪くない一日だ。

夜、ふとYouTubeでN響と広上マエストロによる「べらぼう」のオープニングを見つけた。

べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜(2025/ジョン・グラム)|広上淳一 - NHK交響楽団
【配信期間:2025年7月5日(土)~2026年7月4日(土)】

広上マエストロの豪快な指揮に、曲が一気に盛り上がる。

ブラボー! べらぼう!
そんな気分で、今日を締めくくる。

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